異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

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第二章 神竜の守護者

EP 80

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三人の英雄と、おもちゃの心
​『……オヒメサマ……ノ……オアソビ……ジャマ……サセナイ……』
おもちゃの番人(トイ・ボックス・センチネル)が、その巨大な体を軋ませながら、三人へと迫りくる。その動きは鈍重に見えるが、振り回されるガラガラは凄まじい風圧を伴い、風車からは鋭い真空の刃が絶え間なく放たれる。
​「――散開しろ!フィリアは後方から牽制!エルミナは防御に徹し、私が攻撃の隙を作る!」
デュラスが、即座に指揮官となり、的確な指示を飛ばす。
「分かった!」
「はいっ!」
​フィリアが俊敏に後方へと下がり、風の刃をかいくぐりながら、おもちゃの番人の関節部分を狙って矢を放つ。しかし、矢はブリキの装甲に弾かれ、有効なダメージを与えられない。
エルミナは、聖なる盾を構え、巨大なガラガラの強打を受け止める。
「くっ……!重いですわ!」
聖騎士である彼女ですら、その一撃は、腕が痺れるほどの重さだった。
​「――闇よ、彼の者の動きを縛れ!シャドウ・バインド!」
デュラスが、番人の足元から影の触手を伸ばし、その動きを拘束しようとする。しかし、番人は、いとも容易くその触手 を引きちぎり、攻撃を続行する。
「チッ、魔法耐性も高いか!」
​マモルの突破力も、アルカの絶対的な力もない。三人だけでは、じりじりと追い詰められていく。
(……まずいな。このままでは消耗するだけだ)
デュラスは、冷静に、しかし焦りを滲ませながら、この悪趣味な番人の弱点を探していた。
(ただの操り人形ではない。これほどの力を持つからには、必ず核(コア)があるはずだ。どこだ……?どこにある……?)
​その時だった。
「デュラスさん!」フィリアが叫んだ。「あの人形、胸のあたり!リボンで隠れてるけど、何か、光ってる!」
彼女の「鷹の目」が、番人の胸元、古びたリボンの結び目の奥で、微かに明滅する、赤い光を捉えていたのだ。
「――そこか!」
デュラスは、その一点に、全ての活路を見出した。
「エルミナ!今から私が最大級の魔法を放つ!奴は必ず、その両腕で胸の核を守ろうとするはずだ!その一瞬の隙に、お前の最強の一撃を叩き込め!」
「ですが、それではデュラス様の魔力が……!」
「構わん!やるぞ!」
​デュラスは、もはや魔力の消耗など度外視していた。彼は「夜詠みの魔杖」を天に掲げ、その身に宿る魔力の全てを解き放つ!
「――集え、万象の闇!我が声に応え、全てを飲み込む虚無となれ!アビス・エンド!」
デュラスの杖先に、空間そのものが歪むほどの、漆黒の破壊エネルギーが収束していく。
​その、あまりにも強大な魔力を前に、おもちゃの番人は、初めて、明確な防御行動を取った。その両腕を交差させ、胸の中心にある赤い核を、必死に守ろうとする。
ガラガラも、風車も、今はただの盾と化していた。
​その、一瞬の、完全な無防備。
「――今ですわ、エルミナ様ッ!」
デュラスの絶叫が、響き渡る。
​エルミナは、既に、動いていた。
彼女は、聖騎士としての、そしてマモルを守りたいと願う一人の乙女としての、全ての想いを、その手に持つ聖なるランスへと注ぎ込んでいた。
その背中の翼は、神々しいまでの黄金の輝きを放っている。
「――マモル様と、アルカ様の元へ……!帰るのです!」
​聖なる流星と化したエルミナは、おもちゃの番人ががら空きにした、ただ一点――脇腹から心臓部へと続く、最短ルートを、一直線に駆け抜けた!
そして、その聖なる槍の切っ先が、リボンの奥で輝く、赤い核を、寸分の狂いもなく、正確に貫いた!
​『………………アリ……ガ……ト……』
​赤い核から、光が溢れ出す。
そして、三人の脳裏に、どこか懐かしい、優しい声が響いた。
それは、かつてこのおもちゃで遊んでいた、持ち主の子供の、感謝の声だったのかもしれない。
おもちゃの番人は、その役目を終えたことに満足したかのように、ゆっくりと、光の粒子となって、キラキラと輝きながら、消滅していった。
​後に残されたのは、静寂と、三人の疲労困憊の英雄たち。
そして、部屋の奥の壁が、ゆっくりと開き、その先から、待ちわびた光が差し込んできた。
​「フィリアー!エルミナー!デュラスー!」
そこには、心配そうに、しかし誇らしげな表情のアルカが、立っていた。
彼女は、もう一人ではなかった。
その隣には、このダンジョンの真の主、妖精姫キュルリンが、満足げな笑みを浮かべて、三人の帰還を待っていた。
「見事じゃ、見事じゃ!妾の最後の試練、よくぞ乗り越えた!」
​三人は、互いの顔を見合わせ、そして、笑い合った。
マモルがいなくても、アルカがいなくても、自分たちは、やれる。
その揺るぎない自信と絆を胸に、彼らは、ダンジョンの出口へと、確かな足取りで、歩き始めるのだった。
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