異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

文字の大きさ
3 / 153

EP 3

しおりを挟む
アルニア村の温もりと、未知なるスキル

フィリアに導かれ、真守はアルニア村へと足を踏み入れた。

街道から続く緩やかな坂道を下ると、眼下に広がるのは穏やかなアクアマリン湾と、そこに寄り添うように広がる村の家々。潮の香りが鼻をくすぐり、どこか懐かしいような安心感を覚える。

「こちらが村長の家、私の父の家でもあります。そして、あちらが自警団の詰め所。村の男衆が交代で見張りをしています」

フィリアは、村の入り口近くにある一際しっかりとした造りの家や、その隣で槍の手入れをする獣人族(犬耳の青年だ)の姿を指差しながら、優しく説明してくれる。

村の中は、様々な種族が自然に共生している様子が見て取れた。道端で談笑する人間のおばさんと猫耳の商人。力強く槌を振るう音と火花の匂いが漂ってくるのは、少し離れた場所にあるドワーフの工房群だろうか。石畳の道を、魚を入れた籠を運ぶ子供たちが元気に走り抜けていく。武器屋の軒先には、この世界の標準的なものだろう剣や槍、弓などが並んでいた。活気がありながらも、どこかのどかな空気が流れている。

「私の家はこっちです」

フィリアが案内してくれたのは、村の少し奥まった、陽当たりの良い場所にある可愛らしい一軒家だった。質素だが手入れの行き届いた木造の家で、窓辺には色とりどりのハーブが植えられた鉢が並び、庭には様々な種類の薬草が整然と植えられている。彼女の丁寧な暮らしぶりが伺えた。

「どうぞ、お入りください。狭いところですが……」

招き入れられた家の中は、木の温もりと、微かに甘い薬草の香りに満ちていた。壁にはドライフラワーが飾られ、小さなキッチンには使い込まれた調理器具が綺麗に並べられている。

「すぐに薬草茶をお淹れしますね。少し疲れを癒す効果があるんですよ」

フィリアは慣れた手つきで棚から薬草を取り出し、ポットにお湯を注ぐ。その間、真守は部屋の隅に置かれた小さな弓や矢筒に目を留めた。彼女もまた、この世界で生きるために戦う一人なのだと改めて感じる。

やがて、ふわりと優しい香りが漂い、木のカップに入れられた琥珀色のお茶が真守の前に差し出された。

「どうぞ」

「ああ、ありがとう」

一口飲むと、花の蜜のようなほのかな甘みと、草原を思わせる爽やかな後味が口の中に広がり、強張っていた心身がじんわりと解けていくのを感じた。

「……美味しい。すごく落ち着く味だ」

素直な感想に、フィリアは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は、彼女の美しさを一層引き立てている。

「あの……マモルさんは、先程の盗賊たちをいとも簡単に……何か特別な武術をされているのですか?」

フィリアがおずおずと尋ねる。

「真守で良いよ。そんなに固苦しくされると、なんだかむず痒い」

「え……あ、はい!分かりました。でしたら、私もフィリアと呼んでください。マモルさんと私、歳もそう離れていないようですし……」

「ああ、よろしくな、フィリア」

真守が名前を呼ぶと、フィリアは「エヘヘ」と嬉しそうに顔を綻ばせた。

「なんだか嬉しいです、マモル。この村には、私と歳が近い人があまりいないので……話し相手ができて」

その言葉に、彼女が少し寂しさを抱えていたのかもしれないと真守は感じた。

「さっきは盗賊みたいな連中に襲われていたけど、ここは治安があまり良くないのか?」

真守が尋ねると、フィリアの表情が少し曇った。

「えっと……このアルニア村の中は、父や自警団の皆さんが守ってくれているので比較的安全なのですが、一歩村の外に出ると、やっぱり……。街道沿いでも、今日のような盗賊が出没しますし、森や山には凶暴な魔物もたくさんいますから」

「そうか……俺が森の中で魔物に会わなかったのは、運が良かっただけみたいだな」

真守は内心で冷や汗をかいた。異世界の厳しさを改めて認識する。

「マモルは、これからどうされるご予定ですか? もし、行くあてがないのでしたら……う、うちの家に、良かったら……住んでも、良いのですが……」

フィリアが頬を染め、俯きながら遠慮がちに提案してくる。その健気な申し出に、真守の心は温かくなった。

「ありがとう、フィリア。その気持ちだけで十分嬉しいよ。実は……俺にはスキルがあって、それで家が出せるみたいなんだ」

「えっ!? スキルで……家を出す、ですか?」

フィリアは驚きに目を見開いた。

「そんなスキル、聞いたことがありません……! それって、もしかしてユニークスキルなのでは……?」

「ユニークスキル? 珍しいものなのか?」

「はい! ユニークスキルは、歴史に名を残す英雄や勇者、あるいは各分野で頂点を極めたような、本当に一部の選ばれた方しか持たないと言われています! マモルは、もしかしたら凄い人なのかもしれません……!」

フィリアは興奮した様子で真守を見つめる。彼女自身「鷹の目」というスキル持ちだからこそ、スキルの希少性や価値をよく理解しているのだろう。

(英雄級……か。女神アクア、とんでもないものをポンと寄越してくれたもんだな……)

真守は、自分のスキルの重大さを改めて認識し、少しだけ眩暈がした。

「もし良かったら、この村のどこか空いている場所に、その家を置かせてもらうことはできないだろうか? 皆に迷惑がかからないような場所で……」

「えっ……!?」フィリアはぱっと顔を輝かせた。「本当ですか!? それなら……うーん、村の中には大きな空き地はあまりないかもしれないけど……。分かりました!一度、父に相談してみましょう!父なら、きっと良い場所を見つけてくれると思います!」

フィリアは力強く頷き、立ち上がった。

「さあ、マモル!一緒に行きましょう!」

こうして、真守はフィリアに連れられ、彼女の父でありアルニア村の村長であるラミアスに会うため、再び村の中心部へと向かうことになった。

真新しい家と35年ローンから解放されたと思ったら、今度は英雄級(?)のユニークスキルと、異世界の家。加藤真守の波乱万丈な異世界生活は、まだ始まったばかりだ。

そして、彼のスキルボードには、フィリアには見えない小さな文字で【善行ポイント:盗賊撃退 +30Pt】と表示されていたことを、真守はまだ気づいていなかった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...