異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

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EP 5

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マイホーム狂騒曲、かくして英雄(?)は隠遁を図る

目の前にそびえ立つ、白亜の二階建て住宅。そのあまりにも現代的で、あまりにも場違いな威容に、フィリアはただ息を呑むばかりだった。

「わ……わぁ……! すごい……こんな綺麗な建物、生まれて初めて見ました……! まるでお城みたいです、マモル!」

彼女の澄んだ青い瞳は、興奮と純粋な驚きでキラキラと輝いている。そのスキル「鷹の目」は、滑らかな壁の質感、寸分の狂いもなく組み上げられた窓枠、屋根の瓦(に見えるが、おそらくは特殊な素材だろう)一枚一枚の精密さまで克明に捉えているに違いない。アルニア村の素朴な木造家屋とは、文明レベルが数世紀は違うように感じられた。

一方、召喚を終えた真守は、フィリアの感動とは裏腹に、急速に血の気が引いていくのを感じていた。

(や、ヤバい……!ヤバすぎるぞ、これ!!こんなもん、白昼堂々とアルニア村の隣に出現させちまったら、違和感どころの騒ぎじゃねぇ!「ここに何かヤバいものがありますよー!」って、大声で宣伝してるようなもんだろ!)

女神アクアの「快適にしといた」という言葉は、物理的な快適さだけでなく、異世界基準で言えば「超弩級のオーパーツ」をポンと渡されたに等しい。ユニークスキルは英雄級、というフィリアの言葉が脳内で警鐘を乱打する。このままでは、面倒事が向こうから列をなしてやってくるのが目に見えていた。

「……フィリア、ちょっとマズいことになったかもしれん」

真守は額に脂汗を滲ませながら、目の前の空間に再び意識を集中し、スキルボードを呼び出した。

【所持ポイント:5410 Pt】

(ボロ屋解体で得たポイントがある。これで何とか……!)

彼は必死にカテゴリをスクロールし、「生活雑貨」「工具」……あった、「日曜大工」!

「これだ!」

真守は藁にもすがる思いで「日曜大工」カテゴリを選択。表示されたアイテムリストの中から、偽装に使えそうなものを片っ端から選び、ポイントを消費していく。

「『天然素材風カモフラージュネット(枯れ草ミックス)』、これを10セット! 『超軽量・古びた木材風パネル』、これも20枚! 『泥土風テクスチャ塗料(速乾性・大容量)』を5缶! それから、『リアル人工蔦(グリーンフェイク・30m巻き)』を……ええい、これも10セットだ!」

真守がボードをタップする度に、彼の足元に次々と偽装資材の山が出来上がっていく。まるで手品のように現れる大量のネット、パネル、塗料缶、そして緑色の蔦の束に、フィリアは再び目を丸くした。

「ひ、ひえぇ……! また何か出てきましたけど……!? マモル、一体何を……?」

「見ての通りだよ、フィリア! この家、あまりにも目立ちすぎる! 少しでも周囲に馴染ませるために、ボロ家みたいに偽装するんだ!」

真守は焦りを滲ませながら言った。

「面倒な連中に目をつけられる前に、なんとかしないと……。だから、頼む、フィリア! 手伝ってくれないか!」

「ふぇ……? わ、私が、ですか?」

突然の頼みに戸惑うフィリアだったが、真守の切羽詰まった表情と、目の前の家の異様さを改めて認識し、こくりと頷いた。

「……分かりました! マモルを助けてもらったお礼もありますし、この村の近くで変な騒ぎが起きるのは私も困りますから! 何をすればいいですか?」

「助かる!」

こうして、現代日本の一戸建て住宅を、異世界の片田舎の風景に馴染ませるという、前代未聞の偽装工作が始まった。

「フィリア、そのネットをもう少し右に! そう、そこだ!」

「マモル、この『つた』って、本物の植物じゃないんですよね? すごくリアルですけど……」

「ああ、人工のものだが、耐久性はあるはずだ。もっと壁に絡みつかせる感じで頼む!」

真守は脚立(これもポイントで出した)に登り、家の壁面にカモフラージュネットを広げていく。フィリアは持ち前の器用さで、そのネットの上からリアルな人工蔦を自然に見えるように這わせ、泥土風の塗料をハケで大胆に塗りたくって新品の壁を汚していく。彼女の「鷹の目」は、遠くから見た時の不自然な点を見つけるのにも役立った。

「マモル! そこの窓枠、ちょっと色が浮いて見えます! もっと汚しを入れた方が……」

「了解! このパネルで少し隠そう!」

時折、村の方から何事かと様子を伺う村人の姿が見えたが、フィリアが「ちょっと、マモルさんの新しいお家の手入れを手伝ってるだけだから、気にしないでー!」と持ち前の明るさで手を振ると、村人たちも「フィリアちゃんが言うなら……」と納得したように去っていく。村での彼女の信頼の厚さが伺えた。

(もっとも、ドワーフ工房のガンツ親方だけは、遠くから腕を組んで「あの若造、ピカピカの家にわざわざ泥塗って何がしてぇんだか……。だが、あの手際の良さと、見たこともねぇ道具の数々……ただモンじゃねぇな」と、鋭い職人の目で一部始終を観察していたのだが、二人は知る由もなかった。)

作業は数時間に及んだ。新品の白い外壁はくすんだ茶色や緑色が混じり、窓枠には古びた木の板が打ち付けられ(たように見え)、家全体がまるで何十年も風雨に晒されたかのような蔦に覆われた。ピカピカの現代住宅は、どこか謎めいた「古びた大きな館」へとその姿を変貌させていた。

「……ふぅ。これで、どうだ?」

真守は汗を拭い、完成した(?)我が家を見上げる。

フィリアも額の汗を手の甲で拭い、「鷹の目」で遠景を確認する。

「うん……! これなら、森の中に突然現れたとしても、以前よりずっと目立たないと思います! ……なんだか、すごく立派なお家なのに、勿体ない気もしますけど……」

彼女は少し残念そうに微笑んだ。

「ありがとう、フィリア。君のおかげで助かったよ。これで少しは安心して眠れる……かな」

真守は心からの感謝を述べた。完璧ではないかもしれないが、何もしないよりはずっとマシだろう。

しかし、この偽装がいつまで通用するのか、そしてこの家の持つ本当の価値が知られた時、一体どんな騒動が巻き起こるのか……。真守の異世界での悩みは尽きそうにない。

偽装作業を終えた頃には、太陽が西の空に傾き始めていた。心地よい疲労感と共に、二人の間には確かな絆が芽生え始めていた。

「とりあえず、中に入って休まないか? 俺の……いや、俺たちの力作を眺めながら、何か温かいものでも」

真守の誘いに、フィリアは嬉しそうに頷いた。偽装された外観とは裏腹の、快適で近代的な家の中へと足を踏み入れる彼女の驚きの表情を、真守はまだ知らない。

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