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EP 29
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出る杭の行方、四つの心、そして新たなる覚悟
アルニア村に冒険者ギルド支部、商業ギルド出張所、そして王国騎士団の駐屯詰所が完成し、村がにわかに活気づき始めて数日。真守の「マイホーム」のリビングでは、いつになく真剣な空気が漂っていた。
テーブルを囲むのは、真守、フィリア、エルミナ、そしてデュラスの四人。窓の外からは、新しい施設への人々の往来や、訓練に励む騎士たちの声が微かに聞こえてくるが、家の中は静まり返っていた。
口火を切ったのはデュラスだった。彼は、いつもの皮肉っぽい笑みを消し、深紅の瞳で真っ直ぐに真守を見据えた。
「マモル。お前の力は、このアルニア村という小さな器には収まりきらん。それは理解しているな?」
「……まあ、なんとなくはな」真守は曖昧に頷く。騎士団やギルドの連中が、自分の家や能力に異常なほどの興味を示しているのは肌で感じていた。
「騎士団、冒険者ギルド、商業ギルド……。これだけの組織が、この辺境の村に注目し始めている。その最大の理由は、キュルリンの創ったダンジョンと、そして何より、お前の持つ異質な力だ、マモル」デュラスは言葉を続ける。「だからこそ、忠告しておく。これ以上、表立ってその力を見せびらかすのは危険だ」
「えっ、何故ですの、デュラス様?」エルミナが純粋な疑問を口にする。
フィリアも「ん~? マモルの力は、村の人たちを助けるのに役立っているのに……?」と首を傾げた。
デュラスはため息をつき、腕を組んだ。
「お前たちの純粋さは美徳だが、時には命取りになるぞ。マモルの持つ『マイホーム』召喚能力、そしてあの『王帝』とかいう規格外の武器を生み出す背景……それは、この世界の常識では測れない。はっきり言って、このまま野放図に力を示せば、マモルは遠からず国家レベルで拘束されるか、あるいはその力を完全に管理下に置かれ、軟禁生活を送ることになるだろう」
「そ、そんな……!まさか……!」フィリアは顔を青くする。彼女にとって、国や王様は遠い存在で、真守のような善良な人がそんな目に遭うとは信じられなかった。
「ユニークスキルを持つ者は、ごく一部の英雄や勇者とされている。その力は、国にとっては計り知れない利用価値があるということだ。それをみすみす野に放っておくほど、王侯貴族という生き物は善人ではないぞ? ましてや、マモルのようにコントロール不能に見える力なら尚更だ」
「で、でも!その勇者や英雄の方々は、どうされているのですか!?皆様、軟禁されたり、拘束されたりしているのですか!?」
エルミナが、聖騎士としての正義感からか、声を震わせて問う。
デュラスは、ふっと鼻で笑った。
「さあな。歴史の表舞台で王となり、国を導いた者もいれば、女を侍らせ贅沢三昧の生活を送る代わりに牙を抜かれた者、あるいは『飴』をしゃぶらされ、国の都合のいいように踊らされている者……。真の自由を謳歌している者がどれほどいることか。多くは、その力を利用されるか、恐れられて封じられるかのどちらかだ」
その言葉には、魔族の貴公子として見てきたであろう、権力の世界の暗部が滲んでいた。
「……まあ、俺のスキルや家のことを詳しく知っているのは、今のところ、ここにいる俺たち四人と、ガンツの親方、ラミアス村長、ボルグ団長、リナ……あとは、村の子供たちくらいか」真守は指を折りながら呟いた。
そして、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「俺の好きな言葉があってな。『出る杭は打たれる。だが、出過ぎた杭は打たれなくなる』って言うんだ」
その言葉に、フィリアの不安げだった表情に、ぱっと光が差した。
「マモル……!うん、そうだよ!私、マモルの味方だからね!だってお隣さんだもん!マモルがどんな道を選んでも、ずっと一緒だよ!」彼女は力強く真守の手を握った。
「あら?フィリアさん、抜け駆けは良くありませんわよ」エルミナも、ふわりと微笑んで続けた。「私だって、マモル様の味方です。その大いなる力が正しく導かれ、決して悪用されることのないよう、この聖騎士エルミナ、命に代えてもお守りいたしますわ!」その瞳には、聖騎士としての誓いと、それ以上の個人的な決意が宿っている。
デュラスは、そんな二人のやり取りを興味深そうに眺めていたが、やがて真守に向き直り、肩をすくめた。
「ふん……出る杭ね。ならば、その杭をどう守り、どう突き出すかだ。国と真っ向から争い、その力を誇示して従わせるか。あるいは、のらりくらりと狸を演じ、その実力を隠しながら裏で糸を引くか。どちらも悪くない。むしろ、私にとっては面白い余興になりそうだ」
その言葉は、彼なりのエールであり、そしてどんな道を選ぼうとも協力するという意思表示のようにも聞こえた。
真守は、三人の仲間たちの力強い言葉と眼差しを受け止め、静かに頷いた。
(一人じゃない。俺には、この家と、そして最高の仲間たちがいる)
異世界に来て手に入れた規格外の力。それは確かに危険を伴うかもしれない。しかし、この仲間たちとなら、どんな困難も乗り越えていける。そして、自分たちの手で、自分たちの居場所を、自由を、勝ち取ることができるはずだ。
「ありがとう、みんな。俺も、どうするかはまだ決めてないけど……ただ一つ言えるのは、誰かの言いなりになるつもりも、この力を誰かに利用されるつもりもないってことだ」
真守の瞳に、静かだが確かな決意の光が灯る。
「俺たちの『マイホーム』は、俺たちが守る。そして、この家で、みんなで笑って暮らせる未来を作る。それが、今の俺の目標だ」
その言葉は、アルニア村の小さなリビングで、四つの異なる種族の心を一つに結びつけた。
キュルリンのダンジョンがもたらした喧騒と、外部からの視線。それは確かに新たな試練の始まりかもしれない。
しかし、彼らには揺るがない絆と、そして無限の可能性を秘めた「マイホーム」がある。
加藤真守とその仲間たちの、本当の戦いと冒険は、まだ始まったばかりだった。
アルニア村に冒険者ギルド支部、商業ギルド出張所、そして王国騎士団の駐屯詰所が完成し、村がにわかに活気づき始めて数日。真守の「マイホーム」のリビングでは、いつになく真剣な空気が漂っていた。
テーブルを囲むのは、真守、フィリア、エルミナ、そしてデュラスの四人。窓の外からは、新しい施設への人々の往来や、訓練に励む騎士たちの声が微かに聞こえてくるが、家の中は静まり返っていた。
口火を切ったのはデュラスだった。彼は、いつもの皮肉っぽい笑みを消し、深紅の瞳で真っ直ぐに真守を見据えた。
「マモル。お前の力は、このアルニア村という小さな器には収まりきらん。それは理解しているな?」
「……まあ、なんとなくはな」真守は曖昧に頷く。騎士団やギルドの連中が、自分の家や能力に異常なほどの興味を示しているのは肌で感じていた。
「騎士団、冒険者ギルド、商業ギルド……。これだけの組織が、この辺境の村に注目し始めている。その最大の理由は、キュルリンの創ったダンジョンと、そして何より、お前の持つ異質な力だ、マモル」デュラスは言葉を続ける。「だからこそ、忠告しておく。これ以上、表立ってその力を見せびらかすのは危険だ」
「えっ、何故ですの、デュラス様?」エルミナが純粋な疑問を口にする。
フィリアも「ん~? マモルの力は、村の人たちを助けるのに役立っているのに……?」と首を傾げた。
デュラスはため息をつき、腕を組んだ。
「お前たちの純粋さは美徳だが、時には命取りになるぞ。マモルの持つ『マイホーム』召喚能力、そしてあの『王帝』とかいう規格外の武器を生み出す背景……それは、この世界の常識では測れない。はっきり言って、このまま野放図に力を示せば、マモルは遠からず国家レベルで拘束されるか、あるいはその力を完全に管理下に置かれ、軟禁生活を送ることになるだろう」
「そ、そんな……!まさか……!」フィリアは顔を青くする。彼女にとって、国や王様は遠い存在で、真守のような善良な人がそんな目に遭うとは信じられなかった。
「ユニークスキルを持つ者は、ごく一部の英雄や勇者とされている。その力は、国にとっては計り知れない利用価値があるということだ。それをみすみす野に放っておくほど、王侯貴族という生き物は善人ではないぞ? ましてや、マモルのようにコントロール不能に見える力なら尚更だ」
「で、でも!その勇者や英雄の方々は、どうされているのですか!?皆様、軟禁されたり、拘束されたりしているのですか!?」
エルミナが、聖騎士としての正義感からか、声を震わせて問う。
デュラスは、ふっと鼻で笑った。
「さあな。歴史の表舞台で王となり、国を導いた者もいれば、女を侍らせ贅沢三昧の生活を送る代わりに牙を抜かれた者、あるいは『飴』をしゃぶらされ、国の都合のいいように踊らされている者……。真の自由を謳歌している者がどれほどいることか。多くは、その力を利用されるか、恐れられて封じられるかのどちらかだ」
その言葉には、魔族の貴公子として見てきたであろう、権力の世界の暗部が滲んでいた。
「……まあ、俺のスキルや家のことを詳しく知っているのは、今のところ、ここにいる俺たち四人と、ガンツの親方、ラミアス村長、ボルグ団長、リナ……あとは、村の子供たちくらいか」真守は指を折りながら呟いた。
そして、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「俺の好きな言葉があってな。『出る杭は打たれる。だが、出過ぎた杭は打たれなくなる』って言うんだ」
その言葉に、フィリアの不安げだった表情に、ぱっと光が差した。
「マモル……!うん、そうだよ!私、マモルの味方だからね!だってお隣さんだもん!マモルがどんな道を選んでも、ずっと一緒だよ!」彼女は力強く真守の手を握った。
「あら?フィリアさん、抜け駆けは良くありませんわよ」エルミナも、ふわりと微笑んで続けた。「私だって、マモル様の味方です。その大いなる力が正しく導かれ、決して悪用されることのないよう、この聖騎士エルミナ、命に代えてもお守りいたしますわ!」その瞳には、聖騎士としての誓いと、それ以上の個人的な決意が宿っている。
デュラスは、そんな二人のやり取りを興味深そうに眺めていたが、やがて真守に向き直り、肩をすくめた。
「ふん……出る杭ね。ならば、その杭をどう守り、どう突き出すかだ。国と真っ向から争い、その力を誇示して従わせるか。あるいは、のらりくらりと狸を演じ、その実力を隠しながら裏で糸を引くか。どちらも悪くない。むしろ、私にとっては面白い余興になりそうだ」
その言葉は、彼なりのエールであり、そしてどんな道を選ぼうとも協力するという意思表示のようにも聞こえた。
真守は、三人の仲間たちの力強い言葉と眼差しを受け止め、静かに頷いた。
(一人じゃない。俺には、この家と、そして最高の仲間たちがいる)
異世界に来て手に入れた規格外の力。それは確かに危険を伴うかもしれない。しかし、この仲間たちとなら、どんな困難も乗り越えていける。そして、自分たちの手で、自分たちの居場所を、自由を、勝ち取ることができるはずだ。
「ありがとう、みんな。俺も、どうするかはまだ決めてないけど……ただ一つ言えるのは、誰かの言いなりになるつもりも、この力を誰かに利用されるつもりもないってことだ」
真守の瞳に、静かだが確かな決意の光が灯る。
「俺たちの『マイホーム』は、俺たちが守る。そして、この家で、みんなで笑って暮らせる未来を作る。それが、今の俺の目標だ」
その言葉は、アルニア村の小さなリビングで、四つの異なる種族の心を一つに結びつけた。
キュルリンのダンジョンがもたらした喧騒と、外部からの視線。それは確かに新たな試練の始まりかもしれない。
しかし、彼らには揺るがない絆と、そして無限の可能性を秘めた「マイホーム」がある。
加藤真守とその仲間たちの、本当の戦いと冒険は、まだ始まったばかりだった。
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