異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

文字の大きさ
57 / 153

EP 57

しおりを挟む
出汁の香る朝、トイレの新聞、そしてギルドへの道
激戦を終えた翌朝。加藤真守の「マイホーム」のキッチンには、懐かしい日本の朝の香りが満ちていた。昆布と鰹節から丁寧に取られた、一番出汁の豊かな香りだ。
「よし、いい匂いだ」
真守は、昨日から水に浸しておいた昆布と、今しがた加えた鰹節が織りなす黄金色の出汁に、満足げに頷いた。
「フィリア、今日の朝食は純和風でいくぞ。俺は味噌汁と卵焼き担当だ」
「はーい!じゃあ私は、昨日獲れたばかりの浜アジを焼くのと、いつもの薬膳サラダの準備をするね!」
フィリアは、すっかり手慣れた様子でキッチンに立ち、七輪(これもいつの間にかマイホームの常備品だ)に炭を熾し始めた。香ばしい魚の焼ける匂いが、出汁の香りと混じり合う。
「味噌汁の具材は、豆腐にネギ、それにワカメだな。シンプルが一番だ」
真守が豆腐を手のひらの上で小気味よく切っていると、二階からエルミナが少し眠そうな顔で降りてきた。そして、家の静けさに首を傾げた。
「あら……?デュラス様はまだ起きていらっしゃらないのですか?」
「ああ、デュラスなら、さっきからトイレに籠りっきりだぞ」
真守の言葉に、エルミナは何かを察したように、ぷくっと頬を膨らませた。そして、トイレのドアに向かって、少し大きな声で呼びかけた。
「もう、お父さ~ん!新聞をトイレで読むのは、お行儀が悪いのでやめてください~」
その声に、トイレの中から、くぐもった不機嫌そうな声が返ってくる。
「……誰が、お父さんだ。それに、私は時間を無駄にはできん。情報収集も、魔術師の重要な務めの一つだ」
(段々と、言うことまで爺臭くなってきたな、デュラスも……)
真守は、クールな魔族の貴公子がすっかり「日本の頑固オヤジ」化していることに、内心で笑いをこらえた。
やがて、全員が食卓につくと、そこには完璧な日本の朝食が並んでいた。炊き立てのご飯、湯気の立つ具沢山の味噌汁、こんがりと焼かれたアジの開き、フィリア特製の薬膳サラダ、そして真守の作ったふわふわの出汁巻き卵。
「「「「いただきます」」」」
四人の声が、心地よくリビングに響く。
「ん~、美味しい~!やっぱりマモルの作るお出汁は最高だね!心がほっとするよ」
「はい!この『みそしる』というスープ、とても滋味深いですわ…。身体の隅々まで、温かな力が満ちていくようです」
フィリアとエルミナは、幸せそうに味噌汁をすする。
デュラスも、先程までの不機嫌はどこへやら、黙々と、しかし明らかに満足げな表情で食事を進めている。「ふん、合理的でバランスの取れた食事だ。悪くない」などと言いながら、ちゃっかりご飯と味噌汁のおかわりをしていた。
食事が一段落した頃、真守が切り出した。
「さて、今日はどうするんだ?」
その問いに、デュラスが新聞から顔を上げた。新聞の一面には「アルニア村の新星パーティ、S級ダンジョン第二階層の主も撃破か!?」という、少し気が早い見出しが踊っている。
「まずは冒険者ギルドへ行き、依頼達成の報告をするのが筋だろうな。正式な功績として記録を残し、報酬を受け取り、そして次の階層に関する情報を集める。我々の地位を確固たるものにするためにも、ギルドとの連携は密にしておくべきだ」
その冷静で的確な提案に、誰も異論はなかった。
こうして、心温まる朝食を終えた一行は、次なる冒険へと向かう準備を始める。
真守は「王帝」を、フィリアは弓を、エルミナは聖なる力を、そしてデュラスは魔導書と……トイレに置き忘れた新聞を。
家族のようになった仲間たちは、それぞれの武器と、そして揺るぎない絆を胸に、今日もまた、アルカシア大陸の常識を覆すための、大きな一歩を踏み出すのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...