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EP 60
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無手の試練、重力の楔、そして騎士の石像
第二階層のボス部屋を抜け、次なる階層へと続く扉を開けた先。そこは、古代の神殿を思わせる、静謐で、しかし重苦しい空気に満ちた広大な石造りの広間だった。
足を踏み入れた瞬間、四人は異変に気づいた。
「――何だ!? 身体が……重い……!」
真守が呻く。まるで全身に鉛の鎧を纏わされたかのように、手足が思うように動かない。強力な重力魔法が、このフロア全体にかかっているようだ。
その時、広間の中央にある祭壇に、古代文字が淡く光りながら浮かび上がった。
『力を捧げよ。さすれば、楔(くさび)は解かれん』
デュラスはその文字を読み上げ、眉をひそめた。
「『力を捧げよ』…か。抽象的だが、意図するところは一つだろうな」
「えっと~、力……って、私たちの持っている武器、ということですの?」
エルミナが、自分の聖なるランスを見下ろしながら推測する。聖騎士にとって、武器は自らの力の象徴であり、魂の一部だ。
「試してみる価値はあるかもしれませんわ!」
エルミナは意を決すると、祭壇へと歩み寄り、愛用のランスと盾をそっと置いた。
その瞬間、彼女の身体を縛り付けていた重圧が、ふっと霧が晴れるように消え去った。
「あ……!身体が、軽くなりましたわ!」
「本当だ!私も!」
フィリアも、不安げな表情で弓を祭壇に置くと、その場で軽やかに飛び跳ねてみせた。
「……マジかよ。武器も無しに、この先で戦えって言うのか?」
真守は、最強の相棒である三節棍「王帝」を名残惜しそうに見つめたが、背に腹は代えられない。彼が王帝を祭壇に置くと、やはり圧し掛かっていた重圧から解放された。
「ふん。杖が無くとも、私には魔術がある。この身一つが、私の武器庫だ」
デュラスは、プライドを滲ませながら最後に魔杖を置いた。これで、四人全員が丸腰となった。
その瞬間だった。
ゴゴゴゴゴ……と、広間の壁の一部が動き出し、そこから二体の騎士型のゴーレムが、重々しい足音を立てて現れた。
一体は、分厚い石の剣と盾を構えた重装歩兵型。
もう一体は、石の大弓を携えた狙撃兵型。
その動きに感情はないが、完璧な連携で侵入者を排除しようという、冷たい殺意だけが感じられた。
「……つまり、素手でこいつらと戦えってことかよ。キュルリンの奴、性格が悪すぎるだろ……!」
真守が思わず悪態をつく。
「いや」デュラスは、冷静にゴーレムたちを分析していた。「これは力比べではない。試されているのは『知恵』と、そして『チームワーク』だ」
「え~、デュラスお父さんが言うと、なんだか学校の先生みたいで、ありがたみが薄れますわ~」
エルミナが、緊張感のないのんびりとした口調でツッコミを入れる。
「誰が、お父さんだと言っている!この状況で、よくそんな軽口が叩けるな!」
デュラスが少しムッとして言い返す。
「も~、二人とも集中、集中!来るよ!」
フィリアが、そんな二人を窘めるように、しかし楽しげに声を上げた。
話している間にも、ゴーレムたちは攻撃態勢に入る。弓兵型ゴーレムが矢を引き絞り、剣兵型ゴーレムがその前に立って盾を構えた。
武器を封じられた丸腰のパーティと、完全武装の石像騎士。
絶望的とも思える状況で、真守たちの真の連携力が、今、試されようとしていた。
第二階層のボス部屋を抜け、次なる階層へと続く扉を開けた先。そこは、古代の神殿を思わせる、静謐で、しかし重苦しい空気に満ちた広大な石造りの広間だった。
足を踏み入れた瞬間、四人は異変に気づいた。
「――何だ!? 身体が……重い……!」
真守が呻く。まるで全身に鉛の鎧を纏わされたかのように、手足が思うように動かない。強力な重力魔法が、このフロア全体にかかっているようだ。
その時、広間の中央にある祭壇に、古代文字が淡く光りながら浮かび上がった。
『力を捧げよ。さすれば、楔(くさび)は解かれん』
デュラスはその文字を読み上げ、眉をひそめた。
「『力を捧げよ』…か。抽象的だが、意図するところは一つだろうな」
「えっと~、力……って、私たちの持っている武器、ということですの?」
エルミナが、自分の聖なるランスを見下ろしながら推測する。聖騎士にとって、武器は自らの力の象徴であり、魂の一部だ。
「試してみる価値はあるかもしれませんわ!」
エルミナは意を決すると、祭壇へと歩み寄り、愛用のランスと盾をそっと置いた。
その瞬間、彼女の身体を縛り付けていた重圧が、ふっと霧が晴れるように消え去った。
「あ……!身体が、軽くなりましたわ!」
「本当だ!私も!」
フィリアも、不安げな表情で弓を祭壇に置くと、その場で軽やかに飛び跳ねてみせた。
「……マジかよ。武器も無しに、この先で戦えって言うのか?」
真守は、最強の相棒である三節棍「王帝」を名残惜しそうに見つめたが、背に腹は代えられない。彼が王帝を祭壇に置くと、やはり圧し掛かっていた重圧から解放された。
「ふん。杖が無くとも、私には魔術がある。この身一つが、私の武器庫だ」
デュラスは、プライドを滲ませながら最後に魔杖を置いた。これで、四人全員が丸腰となった。
その瞬間だった。
ゴゴゴゴゴ……と、広間の壁の一部が動き出し、そこから二体の騎士型のゴーレムが、重々しい足音を立てて現れた。
一体は、分厚い石の剣と盾を構えた重装歩兵型。
もう一体は、石の大弓を携えた狙撃兵型。
その動きに感情はないが、完璧な連携で侵入者を排除しようという、冷たい殺意だけが感じられた。
「……つまり、素手でこいつらと戦えってことかよ。キュルリンの奴、性格が悪すぎるだろ……!」
真守が思わず悪態をつく。
「いや」デュラスは、冷静にゴーレムたちを分析していた。「これは力比べではない。試されているのは『知恵』と、そして『チームワーク』だ」
「え~、デュラスお父さんが言うと、なんだか学校の先生みたいで、ありがたみが薄れますわ~」
エルミナが、緊張感のないのんびりとした口調でツッコミを入れる。
「誰が、お父さんだと言っている!この状況で、よくそんな軽口が叩けるな!」
デュラスが少しムッとして言い返す。
「も~、二人とも集中、集中!来るよ!」
フィリアが、そんな二人を窘めるように、しかし楽しげに声を上げた。
話している間にも、ゴーレムたちは攻撃態勢に入る。弓兵型ゴーレムが矢を引き絞り、剣兵型ゴーレムがその前に立って盾を構えた。
武器を封じられた丸腰のパーティと、完全武装の石像騎士。
絶望的とも思える状況で、真守たちの真の連携力が、今、試されようとしていた。
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