異世界転生×ユニークスキル マイホームで無双する!?【TOP10入り感謝!】

月神世一

文字の大きさ
93 / 153
第二章 神竜の守護者

EP 23

しおりを挟む
三つの軍勢、頂の会談、そして公爵の余裕
アルニア公爵領の東、広大な平原。その地平線を埋め尽くすように、三つの巨大な軍勢が、互いに距離を保ちながら、静かに、しかし圧倒的な威圧感を放って集結していた。
一つは、魔王サルバロスが率いる魔族軍。魔竜や鬼人、無数の魔獣たちが、混沌とした、しかし底知れぬ魔力の渦を形成している。黒と赤の禍々しい軍旗が、風に不気味にはためいていた。
一つは、神王セラフィナが遣わした天使族軍。純白と黄金の鎧に身を包んだ天使の騎士団が、一糸乱れぬ隊列を組み、天上の秩序を地上に顕現させたかのような、清浄で、しかし冷たい光を放っている。
そしてもう一つは、竜王ドラグニールの名の下に集った竜人族軍。飛龍騎士が空を舞い、地上では屈強な竜騎士たちが、その鱗を太陽に輝かせ、古の竜の誇りを示していた。
その三つの大軍勢が睨む先――アルニア公爵領の真新しい城壁の上に、マモルとその仲間たちは立っていた。
「……壮観だな、こりゃ」
眼前に広がる、大陸の歴史そのものを凝縮したかのような光景に、マモルは、どこか他人事のように呟いた。
「ふん。ラグナログでも始めるつもりか、あの馬鹿者どもは」
デュラスは、そのあまりにも過剰な戦力を前に、冷ややかに悪態をつく。
「こ、この世の終わりですわぁ~……」
エルミナは、腰を抜かさんばかりに震えている。
「マモルぅぅ……!」
フィリアもまた、恐怖でマモルの腕にぎゅっと抱きついた。
その時だった。三つの軍勢の中央から、それぞれの王が、供も連れずに、ゆっくりと歩み出てきた。
魔王サルバロス、神王セラフィナ、そして竜王ドラグニール。
三人の頂点が、アルニアの城門前で、足を止める。
マモルは、フィリアとエルミナの肩を優しく叩くと、一人、城壁の階段を下り、彼らの前に立った。
そして、臆することなく、不敵な笑みさえ浮かべて言った。
「――始めまして、三柱の王の方々。ようやく、高みの見物は終わりですかな?」
そのあまりにも大胆不敵な挨拶に、三人の王は、それぞれ異なる反応を見せた。
「ほぉ……」魔王サルバロスは、感心したように喉を鳴らした。「この光景を目の前にしても、少しも動じないか。面白い小僧だ」
「肝が据わっているのか、それとも、ただネジが外れているだけか……」竜王ドラグニールもまた、その底知れぬ器に興味を引かれたように呟く。
唯一、神王セラフィナだけが、その完璧な微笑みを崩さず、しかし目の奥に冷たい光を宿して言った。
「始めまして。わたくしが天使族を束ねるセラフィナと申します、マモル公爵閣下」
その言葉に、マモルはにっこりと笑い返した。
「ようこそ、アルニアへ。では、せっかくお越しいただいたのですから、俺が自慢の領地を案内しますよ。どうぞ、こちらへ」
マモルの、あまりにも予想外な、まるでただの観光客をもてなすかのような提案に、三人の王は一瞬、虚を突かれた。彼らは、威嚇し、要求し、あるいは断罪するためにここに来たのだ。もてなされるためではない。
しかし、ここで断れば、自分たちがただの野蛮な侵略者だと認めることになる。
マモルは、たった一言で、この会談の主導権を、完全に自分のものにしてしまったのだ。
「……くくく、面白い!良いだろう、その案内、受けて立とうじゃないか!」
サルバロスが、真っ先にその提案に乗った。
ドラグニールも、静かに頷く。
セラフィナだけが、屈辱に微かに唇を噛み締めながらも、「……ええ、お手並み拝見と、いきましょうか」と、静かに後に続いた。
こうして、大陸最強の三人の王は、それぞれの軍勢を背に、一人の異世界人が創り上げた、奇跡の都市へと、その第一歩を踏み入れた。
彼らがこれから目にするものが、そして交わされる言葉が、アルカシア大陸の新たな歴史を創り出すことを、まだ誰も知らなかった。
ただ、空からその様子を見ていた神竜アルカだけが、「まもる、すごい…!」と、嬉しそうに呟いていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...