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第二章 神竜の守護者
EP 53
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優しさという名の爆弾、そして完全なる敗北
聖騎士団長ヴァルキュリアは、生まれて初めて経験する「若さ」という名のマウント攻撃に、その完璧な表情を、屈辱に引きつらせていた。
その、あまりにも不憫な姿を見かねたのか、あるいは、ただこの地獄の空気を何とかしたかっただけなのか、マモルは、良かれと思って、助け舟を出してしまった。
それが、最後の引き金になるとも知らずに。
「あー……良かったら、ヴァルキュリアさんも、使ってみますか?その、ボディソープと保湿クリーム」
マモルの、純粋な善意からの申し出だった。
その言葉に、ヴァルキュリアは、はっと顔を上げた。
「まあ……。よろしいのですか?ええ、興味は、ありますわ。マモル様は、お優しいのですね」
彼女は、この戦場で唯一差し伸べられた救いの手に、少しだけ、頬を染めた。
そして、マモルは、致命的な一言を、何の気なしに、付け加えてしまった。
「では、俺の家に来ませんか?お渡ししますよ」
その瞬間、テーブルの向かい側から、ゴゴゴゴゴ……という、地殻変動のような、凄まじいプレッシャーが放たれた。
見ると、フィリアとエルミナが、笑顔のまま、その身体をわなわなと震わせている。その瞳の奥では、嫉妬と怒りの炎が、業火のごとく燃え盛っていた。
(――それでは、完全にお持ち帰りではないか、この朴念仁が)
デュラスは、もはや助ける気も起きず、静かにワイングラスを傾けた。
(――くくく、これは、これは、実に愉快な地獄絵図だわい!)
サルバロスは、最高のショーのクライマックスに、興奮を隠しきれない。
「え?え?どうしたんだ、二人とも……?」
マモルだけが、その地獄の中心で、全く状況を理解できずに、きょとんとしていた。
「さーて!」
全ての元凶であるサルバロスが、満足げに立ち上がり、パン!と手を叩いた。
「どうやら、この勝負、決着もついたことだ!今日のところは……解散ッ!」
その言葉を合図に、フィリアとエルミナが、静かに、しかし地響きがするような迫力で立ち上がった。
そして、マモルを一瞥すると、心の底から軽蔑するような、冷たい声で、一言だけ、言い放った。
「「――ふんっ!この、浮気者っ!」」
二人は、それだけ言うと、すたすたと店を出て行ってしまった。
「え……う、浮気者……?俺が……?」
残されたマモルは、呆然と立ち尽くす。
そこへ、ヴァルキュリアが、一連の痴話喧嘩(?)など全く意に介さず、マモルの隣へと、すっと近寄った。
「マモル様。それで、貴方様のお家は、どちらにございましょう?」
その翠色の瞳は、未知の化粧品への、純粋な期待と好奇心で、キラキラと輝いている。
マモルは、去っていった二人の背中と、すぐ隣にいる、やけに距離の近い美しき聖騎士団長を、交互に見つめた。
そして、ようやく、自らが置かれた状況を、ほんの少しだけ、理解し始めた。
(……あれ?俺……もしかして……やっちゃいました?)
アルカシア大陸史上、最もカオスで、最も気まずい合コンは、主役であるはずの勇者魔王公爵の、完全なる敗北によって、その幕を閉じた。
彼の家に帰ってからの、本当の地獄の始まりを、この時の彼はまだ、想像することすらできなかった。
聖騎士団長ヴァルキュリアは、生まれて初めて経験する「若さ」という名のマウント攻撃に、その完璧な表情を、屈辱に引きつらせていた。
その、あまりにも不憫な姿を見かねたのか、あるいは、ただこの地獄の空気を何とかしたかっただけなのか、マモルは、良かれと思って、助け舟を出してしまった。
それが、最後の引き金になるとも知らずに。
「あー……良かったら、ヴァルキュリアさんも、使ってみますか?その、ボディソープと保湿クリーム」
マモルの、純粋な善意からの申し出だった。
その言葉に、ヴァルキュリアは、はっと顔を上げた。
「まあ……。よろしいのですか?ええ、興味は、ありますわ。マモル様は、お優しいのですね」
彼女は、この戦場で唯一差し伸べられた救いの手に、少しだけ、頬を染めた。
そして、マモルは、致命的な一言を、何の気なしに、付け加えてしまった。
「では、俺の家に来ませんか?お渡ししますよ」
その瞬間、テーブルの向かい側から、ゴゴゴゴゴ……という、地殻変動のような、凄まじいプレッシャーが放たれた。
見ると、フィリアとエルミナが、笑顔のまま、その身体をわなわなと震わせている。その瞳の奥では、嫉妬と怒りの炎が、業火のごとく燃え盛っていた。
(――それでは、完全にお持ち帰りではないか、この朴念仁が)
デュラスは、もはや助ける気も起きず、静かにワイングラスを傾けた。
(――くくく、これは、これは、実に愉快な地獄絵図だわい!)
サルバロスは、最高のショーのクライマックスに、興奮を隠しきれない。
「え?え?どうしたんだ、二人とも……?」
マモルだけが、その地獄の中心で、全く状況を理解できずに、きょとんとしていた。
「さーて!」
全ての元凶であるサルバロスが、満足げに立ち上がり、パン!と手を叩いた。
「どうやら、この勝負、決着もついたことだ!今日のところは……解散ッ!」
その言葉を合図に、フィリアとエルミナが、静かに、しかし地響きがするような迫力で立ち上がった。
そして、マモルを一瞥すると、心の底から軽蔑するような、冷たい声で、一言だけ、言い放った。
「「――ふんっ!この、浮気者っ!」」
二人は、それだけ言うと、すたすたと店を出て行ってしまった。
「え……う、浮気者……?俺が……?」
残されたマモルは、呆然と立ち尽くす。
そこへ、ヴァルキュリアが、一連の痴話喧嘩(?)など全く意に介さず、マモルの隣へと、すっと近寄った。
「マモル様。それで、貴方様のお家は、どちらにございましょう?」
その翠色の瞳は、未知の化粧品への、純粋な期待と好奇心で、キラキラと輝いている。
マモルは、去っていった二人の背中と、すぐ隣にいる、やけに距離の近い美しき聖騎士団長を、交互に見つめた。
そして、ようやく、自らが置かれた状況を、ほんの少しだけ、理解し始めた。
(……あれ?俺……もしかして……やっちゃいました?)
アルカシア大陸史上、最もカオスで、最も気まずい合コンは、主役であるはずの勇者魔王公爵の、完全なる敗北によって、その幕を閉じた。
彼の家に帰ってからの、本当の地獄の始まりを、この時の彼はまだ、想像することすらできなかった。
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