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第二章 神竜の守護者
EP 52
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女子会という名の戦場、ゲームと若さと保湿クリーム
マモルとヴァルキュリアが、高尚な「菜園」と「武術」の話題で盛り上がっている。その一方で、フィリアとエルミナは、少しだけ、ほんの少しだけ、つまらなかった。
その空気を、変えたのはエルミナだった。彼女は、ふわりと長い銀髪をかき上げると、思い出したかのように、そしてヴァルキュリアに聞こえるように、言った。
「そういえば、この前の夜のことですけれど」
「この前~、マモルさんと一緒に『どるまぐる戦記』という電子遊戯をしていたら、夢中になりすぎて、徹夜してしまいまして~。そのまま、朝を迎えて、みんなで遊んだのですよね~」
「ああ、あれは楽しかったな。時間を忘れるくらいに」
マモルは、純粋に楽しかった思い出として、にこやかに相槌を打ってしまう。それが、新たな地獄の始まりとも知らずに。
「そーそー、すっごく楽しかったの~」
フィリアが、待ってましたとばかりに会話に加わる。そして、その純粋な瞳を、キラキラと輝かせながら、ヴァルキュリアへと向けた。
「ねぇ、ヴァルキュリア様は、徹夜とかって、出来ます~?」
その言葉は、悪意のない、子供のような質問。しかし、その裏には「若くて楽しい私たちと違って、お堅い貴女には、そんな無茶はできませんわよね?」という、鋭い棘が隠されていた。
「……いえ」ヴァルキュリアは、表情を変えずに答える。「わたくしは、常に心身を最高の状態に保つため、不健康なことは致しません。規則正しい生活こそ、騎士の基本ですので」
それは、完璧な正論。しかし、この場においては、ただの「付き合いの悪い、面白みのない年長者」の言い分にしか聞こえなかった。
「そんな~」エルミナは、わざとらしく頬を膨らませた。「わたくしたち~、若いから~、徹夜したってへっちゃらですのに~。ねー、フィリアさん?」
「うんうん!若いからね!」
「「キャッキャッ♡」」
二人の強調する「若さ」という言葉が、ヴァルキュリアのこめかみを、ピクピクと引きつらせる。
「くっ……!」
その、あまりにも面白い光景に、黙って酒を飲んでいたサルバロスが、わざとらしく割り込んできた。
「お~、しかし、エルミナ殿やフィリア殿は、徹夜しても、その肌は絹のように綺麗だな~」
その言葉は、火に油を注ぐ、悪魔の囁きだった。
「あ、分かります~?」エルミナは、待ってましたとばかりに、自分の頬に手を当てた。「わたくし、毎晩、マモル様にいただいた専用の『ボディソープ』で身体を清めて、お風呂上りには、この『保湿クリーム』を欠かさず塗っておりますから!お肌の潤いが違うんですのよ!」
「何よりも、若いから~!」
フィリアが、駄目押しの追い打ちをかける。
ヴァルキュリアの、完璧に保たれていたポーカーフェイスが、ついに崩壊した。
「ボ……?ボディソープ……?ほ、保湿クリーム……?」
聞いたこともない、未知の単語。そして、先程から繰り返される「若い」という、自分にだけ突き刺さる言葉。
「(……さっきから、若い、若いと……!一体、何なのですか、この屈辱は……!)」
大陸最強の聖騎士団長は、今、人生で初めて、化粧品と年齢という、二つの巨大な壁の前に、為すすべもなく立ち尽くしているのだった。
デュラスは、その一部始終を、最高の酒の肴にして、静かに、そして実に美味そうに、ワイングラスを傾けていた。
マモルとヴァルキュリアが、高尚な「菜園」と「武術」の話題で盛り上がっている。その一方で、フィリアとエルミナは、少しだけ、ほんの少しだけ、つまらなかった。
その空気を、変えたのはエルミナだった。彼女は、ふわりと長い銀髪をかき上げると、思い出したかのように、そしてヴァルキュリアに聞こえるように、言った。
「そういえば、この前の夜のことですけれど」
「この前~、マモルさんと一緒に『どるまぐる戦記』という電子遊戯をしていたら、夢中になりすぎて、徹夜してしまいまして~。そのまま、朝を迎えて、みんなで遊んだのですよね~」
「ああ、あれは楽しかったな。時間を忘れるくらいに」
マモルは、純粋に楽しかった思い出として、にこやかに相槌を打ってしまう。それが、新たな地獄の始まりとも知らずに。
「そーそー、すっごく楽しかったの~」
フィリアが、待ってましたとばかりに会話に加わる。そして、その純粋な瞳を、キラキラと輝かせながら、ヴァルキュリアへと向けた。
「ねぇ、ヴァルキュリア様は、徹夜とかって、出来ます~?」
その言葉は、悪意のない、子供のような質問。しかし、その裏には「若くて楽しい私たちと違って、お堅い貴女には、そんな無茶はできませんわよね?」という、鋭い棘が隠されていた。
「……いえ」ヴァルキュリアは、表情を変えずに答える。「わたくしは、常に心身を最高の状態に保つため、不健康なことは致しません。規則正しい生活こそ、騎士の基本ですので」
それは、完璧な正論。しかし、この場においては、ただの「付き合いの悪い、面白みのない年長者」の言い分にしか聞こえなかった。
「そんな~」エルミナは、わざとらしく頬を膨らませた。「わたくしたち~、若いから~、徹夜したってへっちゃらですのに~。ねー、フィリアさん?」
「うんうん!若いからね!」
「「キャッキャッ♡」」
二人の強調する「若さ」という言葉が、ヴァルキュリアのこめかみを、ピクピクと引きつらせる。
「くっ……!」
その、あまりにも面白い光景に、黙って酒を飲んでいたサルバロスが、わざとらしく割り込んできた。
「お~、しかし、エルミナ殿やフィリア殿は、徹夜しても、その肌は絹のように綺麗だな~」
その言葉は、火に油を注ぐ、悪魔の囁きだった。
「あ、分かります~?」エルミナは、待ってましたとばかりに、自分の頬に手を当てた。「わたくし、毎晩、マモル様にいただいた専用の『ボディソープ』で身体を清めて、お風呂上りには、この『保湿クリーム』を欠かさず塗っておりますから!お肌の潤いが違うんですのよ!」
「何よりも、若いから~!」
フィリアが、駄目押しの追い打ちをかける。
ヴァルキュリアの、完璧に保たれていたポーカーフェイスが、ついに崩壊した。
「ボ……?ボディソープ……?ほ、保湿クリーム……?」
聞いたこともない、未知の単語。そして、先程から繰り返される「若い」という、自分にだけ突き刺さる言葉。
「(……さっきから、若い、若いと……!一体、何なのですか、この屈辱は……!)」
大陸最強の聖騎士団長は、今、人生で初めて、化粧品と年齢という、二つの巨大な壁の前に、為すすべもなく立ち尽くしているのだった。
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