145 / 153
第二章 神竜の守護者
EP 75
しおりを挟む
決戦の後、パーティー編成、そして神竜の遠足
マモルの家のリビング。
灼熱のうどん対決を終え、テーブルの上には、空になった鍋と、満足げにメロンジュースを飲むヴァルキュリア、そして勝利の余韻に浸るエルミナの姿があった。
「で~、結局、誰がダンジョンに行く事になったんだ?」
マモルは、このカオスな選抜試験の結果を、恐る恐る尋ねた。
デュラスが、やれやれといった表情で、最終的なメンバーを発表する。
「マモルと私、そして弓兵のフィリアと、今回の勝者であるエルミナ。この四人が、最もバランスが取れているだろう」
「そ、そうか……」マモルは、メロンジュースをごくごく飲んでいるヴァルキュリアに、申し訳なさそうに声をかけた。「ヴァルキュリアさんは、また今度な。埋め合わせに、今度どこかランチでも行こう」
その言葉に、ヴァルキュリアの瞳が、カッと輝いた。
「え!?本当ですの!?では、わたくしの行きつけの、神界の絶景スポットがありますから!雲海を眺めながらいただく聖鳥のグリルは絶品ですのよ!」
「はいはい、そこまで~」フィリアが、二人の間に割って入る。「残念ながら居残りになった人は、大人しくメロンジュースでも飲んでなさいな」
「そうですぅ。後は、まだ残っている鍋焼きうどんをお一人でどうぞですわ」
エルミナが、慈悲のない追い打ちをかける。
「くっ……!」
ヴァルキュリアは、悔しそうに唸るしかなかった。
「え、えっと、じゃあ、そろそろ行こうか!準備をしないと!」
マモルは、これ以上、女の戦いが激化する前に、慌ててその場を収めようとする。
「「はい!」」
フィリアとエルミナが、元気よく返事をした。
そして、四人が装備を整え、玄関の扉に手をかけた、その時だった。
「まもるぅ~!」
後ろから、小さな影が、とてとてと駆け寄ってきた。神竜アルカだ。彼女は、マモルの服の裾を、ぎゅっと握りしめる。
「マモル、あのね、明日、学校で『えんそく』があるの!だからね、新しいお洋服と、お菓子と、お弁当がいるよ!」
「…………何!?」
マモルの動きが、完全に止まった。
「え、遠足……!?そ、そうだった!リンゴのうさぎさんと、タコさんウインナーの練習しなくちゃ……!お菓子も、300円……いや、300銅貨までだったか!?新しい服もいるのか!?」
(やばい!完全に忘れてた!)
「わ、悪いみんな!今日、俺、その買い物に行かなくちゃいけないから……!俺、パス!」
マモルの、あまりにも突然な、そしてあまりにも父親的な理由での、ダンジョン攻略辞退宣言。
「何だと!?」デュラスが、絶句した。「お前が抜けて、一体、誰がこのパーティの主戦力を務めるんだ!」
その言葉に、アルカが、ぱあっと顔を輝かせ、元気よく、小さな手を挙げた。
「――アルカ、行く~!」
「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」
フィリアとエルミナとデュラスの、魂からの絶叫が、マイホームに響き渡った。
S級ダンジョンに、先日、校庭にクレーターを作ったばかりの、歩く最終兵器を連れて行く。
それは、あまりにも無謀で、あまりにも危険で、そして、最高に面白い冒険の始まりを、予感させていた。
マモルは、そんな仲間たちの悲鳴を背に、アルカの手を引き、雑貨屋へと向かうのだった。
(……お菓子、何が好きかな、アルカは……)
彼の頭の中は、もはや、ダンジョンのことなど、欠片も残っていなかった。
マモルの家のリビング。
灼熱のうどん対決を終え、テーブルの上には、空になった鍋と、満足げにメロンジュースを飲むヴァルキュリア、そして勝利の余韻に浸るエルミナの姿があった。
「で~、結局、誰がダンジョンに行く事になったんだ?」
マモルは、このカオスな選抜試験の結果を、恐る恐る尋ねた。
デュラスが、やれやれといった表情で、最終的なメンバーを発表する。
「マモルと私、そして弓兵のフィリアと、今回の勝者であるエルミナ。この四人が、最もバランスが取れているだろう」
「そ、そうか……」マモルは、メロンジュースをごくごく飲んでいるヴァルキュリアに、申し訳なさそうに声をかけた。「ヴァルキュリアさんは、また今度な。埋め合わせに、今度どこかランチでも行こう」
その言葉に、ヴァルキュリアの瞳が、カッと輝いた。
「え!?本当ですの!?では、わたくしの行きつけの、神界の絶景スポットがありますから!雲海を眺めながらいただく聖鳥のグリルは絶品ですのよ!」
「はいはい、そこまで~」フィリアが、二人の間に割って入る。「残念ながら居残りになった人は、大人しくメロンジュースでも飲んでなさいな」
「そうですぅ。後は、まだ残っている鍋焼きうどんをお一人でどうぞですわ」
エルミナが、慈悲のない追い打ちをかける。
「くっ……!」
ヴァルキュリアは、悔しそうに唸るしかなかった。
「え、えっと、じゃあ、そろそろ行こうか!準備をしないと!」
マモルは、これ以上、女の戦いが激化する前に、慌ててその場を収めようとする。
「「はい!」」
フィリアとエルミナが、元気よく返事をした。
そして、四人が装備を整え、玄関の扉に手をかけた、その時だった。
「まもるぅ~!」
後ろから、小さな影が、とてとてと駆け寄ってきた。神竜アルカだ。彼女は、マモルの服の裾を、ぎゅっと握りしめる。
「マモル、あのね、明日、学校で『えんそく』があるの!だからね、新しいお洋服と、お菓子と、お弁当がいるよ!」
「…………何!?」
マモルの動きが、完全に止まった。
「え、遠足……!?そ、そうだった!リンゴのうさぎさんと、タコさんウインナーの練習しなくちゃ……!お菓子も、300円……いや、300銅貨までだったか!?新しい服もいるのか!?」
(やばい!完全に忘れてた!)
「わ、悪いみんな!今日、俺、その買い物に行かなくちゃいけないから……!俺、パス!」
マモルの、あまりにも突然な、そしてあまりにも父親的な理由での、ダンジョン攻略辞退宣言。
「何だと!?」デュラスが、絶句した。「お前が抜けて、一体、誰がこのパーティの主戦力を務めるんだ!」
その言葉に、アルカが、ぱあっと顔を輝かせ、元気よく、小さな手を挙げた。
「――アルカ、行く~!」
「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」
フィリアとエルミナとデュラスの、魂からの絶叫が、マイホームに響き渡った。
S級ダンジョンに、先日、校庭にクレーターを作ったばかりの、歩く最終兵器を連れて行く。
それは、あまりにも無謀で、あまりにも危険で、そして、最高に面白い冒険の始まりを、予感させていた。
マモルは、そんな仲間たちの悲鳴を背に、アルカの手を引き、雑貨屋へと向かうのだった。
(……お菓子、何が好きかな、アルカは……)
彼の頭の中は、もはや、ダンジョンのことなど、欠片も残っていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる