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第二章 神竜の守護者
EP 76
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公爵の買い物、神竜の初冒険、そして最強の切り札
翌朝。アルニア公爵領の城門前。
S級ダンジョン「妖精女王の悪戯」の新たなる階層へと向かう、三人の冒険者の姿があった。しかし、そのパーティのリーダーであるはずのマモルの姿はない。
代わりに、彼の隣には、新しいフリルのついたワンピースを着て、水筒とお菓子が入ったリュックサックを背負った神竜アルカが、嬉しそうに立っていた。
「……じゃあ、みんな。悪いけど、アルカのこと、よろしく頼むな」
マモルは、これからアルカの遠足用の弁当の材料を買いに行くため、大きな買い物カゴを手に、仲間たちに頭を下げた。
「任せておけ」デュラスは、深すぎるため息をついた。「……まさか、S級ダンジョンの攻略パーティのリーダー代行を、この私が務めることになるとはな。しかも、主戦力は、そこの小さな暴君だ」
「あるか、暴君じゃないもん!」アルカが、ぷくっと頬を膨らませる。
「大丈夫だよ、マモル!アルカちゃんのことは、私たちがしっかり見てるから!」
「はい!マモル様の分まで、わたくしたちが頑張りますわ!」
フィリアとエルミナが、力強くマモルを送り出す。
こうして、リーダー不在、そして歩く最終兵器がメンバー入りするという、あまりにもアンバランスなパーティは、キュルリンの新作ダンジョンへと、その第一歩を踏み出した。
【キュルリンダンジョン - 第三階層:水没した古代遺跡】
「……なるほど。今度のテーマは『水』か。厄介だな」
デュラスは、足元を流れる清らかな水と、壁から滴る雫、そして空間全体を覆う湿った空気を感じ取り、冷静に分析する。
ダンジョンの内部は、美しいが不気味な、水没した神殿のようだった。
「わー!お魚さんがいるー!」
デュラスが警戒を強める横で、アルカは早速、足元の水路を泳ぐ、発光する小魚を、キャッキャと追いかけ始めている。
「アルカちゃん、危ないから、あまり離れちゃだめだよ!」
フィリアが、母親のように、その後を慌てて追いかける。
「ふふっ、まるで本当の遠足のようですわね」
エルミナは、その微笑ましい光景に、思わず笑みをこぼした。
その時だった。
前方の水路の奥から、ぬらり、と複数の影が現れた。半魚人のような姿に、鋭い三叉槍を構えた、水棲の魔物「ギルマン」の一団だ!
「――来たか!」デュラスが杖を構える。
「私が前に!」「援護します!」フィリアとエルミナも、即座に戦闘態勢に入る。
しかし、ギルマンたちを最初に認識したのは、水遊びをしていたアルカだった。
彼女は、自分たちの遊び場に土足で踏み込んできた、その不作法な魔物たちを見て、少しだけ、むっとした。
「……あっち行って」
アルカは、ただ、そう呟いただけだった。
しかし、その言葉は、神竜が放つ、絶対的な命令「エンペラーズ・ヴォイス」。
「「「ギョッ!?」」」
ギルマンたちは、まるで天敵に出会った蛙のように、その場で硬直した。そして、本能的な、抗いようのない恐怖に駆られ、一斉に背を向けると、我先に、と来た道を引き返して、水の中へと逃げ帰っていった。
「…………え?」
杖を構えたデュラス。
弓を引き絞ったフィリア。
盾を構えたエルミナ。
三人は、武器を構えたまま、あっけにとられて、その光景を見送るしかなかった。
「うん!お水、きれいになった!」
アルカは、ギルマンたちが去って静かになった水路を見て、満足そうに頷いた。彼女は、ただ、自分の水遊び場を荒らされたくなかっただけなのだ。
デュラスは、天を仰ぎ、再び、深すぎるため息をついた。
(……なるほど。これが、神竜アルカを連れての、ダンジョン攻略か)
それは、もはや「冒険」などではない。
最強の王女様が、お付きの者たちを引き連れて、自らの庭を散策するようなものだ。
(……ある意味、これまでのどんな冒険よりも、心臓に悪いかもしれん……)
デュラスの、そしてフィリアとエルミナの、前代未聞の「お守り役」としてのダンジョン攻略が、今、始まった。
その道のりが、平穏無事に終わるはずがないことを、彼らはまだ、本当の意味では理解していなかった。
翌朝。アルニア公爵領の城門前。
S級ダンジョン「妖精女王の悪戯」の新たなる階層へと向かう、三人の冒険者の姿があった。しかし、そのパーティのリーダーであるはずのマモルの姿はない。
代わりに、彼の隣には、新しいフリルのついたワンピースを着て、水筒とお菓子が入ったリュックサックを背負った神竜アルカが、嬉しそうに立っていた。
「……じゃあ、みんな。悪いけど、アルカのこと、よろしく頼むな」
マモルは、これからアルカの遠足用の弁当の材料を買いに行くため、大きな買い物カゴを手に、仲間たちに頭を下げた。
「任せておけ」デュラスは、深すぎるため息をついた。「……まさか、S級ダンジョンの攻略パーティのリーダー代行を、この私が務めることになるとはな。しかも、主戦力は、そこの小さな暴君だ」
「あるか、暴君じゃないもん!」アルカが、ぷくっと頬を膨らませる。
「大丈夫だよ、マモル!アルカちゃんのことは、私たちがしっかり見てるから!」
「はい!マモル様の分まで、わたくしたちが頑張りますわ!」
フィリアとエルミナが、力強くマモルを送り出す。
こうして、リーダー不在、そして歩く最終兵器がメンバー入りするという、あまりにもアンバランスなパーティは、キュルリンの新作ダンジョンへと、その第一歩を踏み出した。
【キュルリンダンジョン - 第三階層:水没した古代遺跡】
「……なるほど。今度のテーマは『水』か。厄介だな」
デュラスは、足元を流れる清らかな水と、壁から滴る雫、そして空間全体を覆う湿った空気を感じ取り、冷静に分析する。
ダンジョンの内部は、美しいが不気味な、水没した神殿のようだった。
「わー!お魚さんがいるー!」
デュラスが警戒を強める横で、アルカは早速、足元の水路を泳ぐ、発光する小魚を、キャッキャと追いかけ始めている。
「アルカちゃん、危ないから、あまり離れちゃだめだよ!」
フィリアが、母親のように、その後を慌てて追いかける。
「ふふっ、まるで本当の遠足のようですわね」
エルミナは、その微笑ましい光景に、思わず笑みをこぼした。
その時だった。
前方の水路の奥から、ぬらり、と複数の影が現れた。半魚人のような姿に、鋭い三叉槍を構えた、水棲の魔物「ギルマン」の一団だ!
「――来たか!」デュラスが杖を構える。
「私が前に!」「援護します!」フィリアとエルミナも、即座に戦闘態勢に入る。
しかし、ギルマンたちを最初に認識したのは、水遊びをしていたアルカだった。
彼女は、自分たちの遊び場に土足で踏み込んできた、その不作法な魔物たちを見て、少しだけ、むっとした。
「……あっち行って」
アルカは、ただ、そう呟いただけだった。
しかし、その言葉は、神竜が放つ、絶対的な命令「エンペラーズ・ヴォイス」。
「「「ギョッ!?」」」
ギルマンたちは、まるで天敵に出会った蛙のように、その場で硬直した。そして、本能的な、抗いようのない恐怖に駆られ、一斉に背を向けると、我先に、と来た道を引き返して、水の中へと逃げ帰っていった。
「…………え?」
杖を構えたデュラス。
弓を引き絞ったフィリア。
盾を構えたエルミナ。
三人は、武器を構えたまま、あっけにとられて、その光景を見送るしかなかった。
「うん!お水、きれいになった!」
アルカは、ギルマンたちが去って静かになった水路を見て、満足そうに頷いた。彼女は、ただ、自分の水遊び場を荒らされたくなかっただけなのだ。
デュラスは、天を仰ぎ、再び、深すぎるため息をついた。
(……なるほど。これが、神竜アルカを連れての、ダンジョン攻略か)
それは、もはや「冒険」などではない。
最強の王女様が、お付きの者たちを引き連れて、自らの庭を散策するようなものだ。
(……ある意味、これまでのどんな冒険よりも、心臓に悪いかもしれん……)
デュラスの、そしてフィリアとエルミナの、前代未聞の「お守り役」としてのダンジョン攻略が、今、始まった。
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