​簿記1級とネット通販スキルで異世界無双! ~隣のポンコツエルフ王女が善意でハイパーインフレを起こすので、俺が経済を牛耳ることにしました~

月神世一

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EP 22

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重機と魔法でリゾート開発! ~ネギオ、現場監督になる~
​「いいか、リゾート開発の基本は『インフラ整備』だ。客を呼ぶ前に、ここを快適な空間にするぞ」
​ 常闇の洞窟の入り口。
 俺は黄色い鉄の巨獣――『小型油圧ショベル(ミニユンボ)』の運転席に座り、レバーを握った。
​ 本来なら、この洞窟の瓦礫を撤去するだけで、冒険者を雇って数週間はかかるだろう。
 だが、俺には現代文明(と通販)がある。
​「エンジン始動!」
​ ブルルルルンッ!!
​ ディーゼルエンジンの重低音が山岳地帯に響き渡る。
 排気ガスの匂いに、ニャングルが鼻を押さえた。
​「くっさ!? なんやこの煙! それにこの轟音、魔獣の咆哮よりうるさいで!」
「文句言うな! 見てろよ……!」
​ 俺はレバーを操作する。油圧のアームが唸りを上げ、巨大なバケットが岩の山に食らいついた。
​ ガガガガッ! グオォォン!
​ 人間が数人でやっと動かせるような巨岩が、飴玉のように軽々と持ち上げられ、脇へと退かされる。
​「「「おおぉぉぉぉッ!!」」」
​ ニャングルとルナ、そして見物していたルチアナまでもが感嘆の声を上げた。
​「すごーい! 優也、それ楽しい? 私にも運転させて!」
「女神様はポテチ食って見ててください! 危ないんで!」
​ 俺は次々と岩を撤去し、道を切り開いていく。
 道ができれば、次は設備の搬入だ。
​「龍魔呂! その『業務用ディーゼル発電機(100kg)』を奥まで運んでくれ!」
「……チッ。俺は運送屋じゃないんだがな」
​ 龍魔呂は文句を言いながらも、重いはずの発電機を片手でひょいと持ち上げ、スタスタと洞窟内へ歩いていく。
 やはりこいつの筋力は重機並みだ。
​ ◇
​ 洞窟内部。
 入り口付近は広くなっているが、地面はデコボコ、壁は崩れかけ、湿気でジメジメしている。
 とても客を呼べる環境ではない。
​「ネギオ! 出番だ!」
「承知しました。……私の庭にして差し上げましょう」
​ 植物執事ネギオが、通販で買った『工事用ヘルメット』を被って前に出た。
 彼は地面に手を突き、魔力を流し込む。
​「展開(グロウ)!」
​ ズズズズズ……!
​ 地面から無数の太い「根」が這い出した。
 それらは意思を持った蛇のように動き回り、崩れかけた壁や天井に張り付いて補強していく。
 さらに、デコボコだった地面を木の根が隙間なく埋め尽くし、まるで「ウッドデッキ」のように平らに整地した。
​「完璧だ……! さすがネギオ、天然の鉄筋コンクリートだな」
「フン、植物の生命力を舐めないでいただきたい。ついでに湿気取りの苔も生やしておきました」
​ 基礎ができれば、次は快適性だ。
 俺は発電機を始動させ、ケーブルを繋いだ。
​ ブォォォォォ……。
​ 設置した『業務用スポットクーラー』と『大型扇風機』が唸りを上げ、洞窟内の淀んだ空気を強制的に循環させる。
 ジメッとした空気が、さらりとした涼風に変わった。
​「す、涼しいですぅ! 風の魔法道具ですか!?」
「ただの家電だ。そして……点灯!」
​ パッ!!
​ 設置した『LED投光器』が一斉に点灯した。
 太陽光に近い強烈な白昼色の光が、薄暗い洞窟の隅々までを照らし出す。
 闇に包まれていた空間が、一瞬で近代的な「地下空間」へと変貌した。
​「ま、眩しっ! なんやこの光! 太陽を閉じ込めたんか!?」
「これで24時間、昼間と同じように作業ができるし、客も怖がらない」
​ 順調だ。順調すぎる。
 だが、洞窟の「奥」にはまだ問題があった。
​ キィィィィィッ!
 ギギギギッ!
​ 奥の暗闇から、無数の赤い目が光った。
 光と騒音に驚いた、洞窟の住人――『ジャイアントバット(吸血コウモリ)』の大群だ。
​「ひぃっ! 魔物ですぅ! いっぱい来ますぅ!」
「チッ、害虫駆除か。……俺がやる」
​ 龍魔呂が前に出ようとした時、ルナが名乗りを上げた。
​「待ってください! ここは私がやります!」
「お前が? 大丈夫か?」
「任せてください! さっきのLEDを見て閃きました! 洞窟の中なら、こういうのが効果的ですよね!」
​ ルナは杖を掲げ、光魔法の詠唱を始めた。
 嫌な予感がする。彼女の「閃きました」は大抵ロクなことにならない。
​「いっくよー! えーいっ! 『聖なる閃光(ホーリー・フラッシュ)』!!」
​ カッッッッッッ!!!!!!
​ 俺は反射的に目を覆った。
 LEDどころではない。
 まるでカメラのフラッシュを100万倍にしたような、あるいは超新星爆発のような、純白の閃光が洞窟内を埋め尽くした。
​「ギャァァァァァァッ!?」
「目が! 目がぁぁぁ!」
​ 俺たち全員の視界がホワイトアウトする。
 そして、暗闇に適応していたコウモリたちにとっては、それは致死的なダメージだった。
​ バタバタバタバタッ……。
​ 数秒後。
 視界が戻ると、地面には数百匹のコウモリが、目を回してピクピクと痙攣していた。
 全滅だ。一撃で気絶させやがった。
​「……やりすぎだ馬鹿野郎!!」
「えへへ……眩しかったですか?」
​ ルナも目を回して千鳥足になっている。
 俺たちが涙目で目を擦っていると、背後でポテチを食べていたルチアナが、感心したように手を叩いた。
​「やるわねぇ。今の閃光、ここ(入り口)だけじゃなくて、最深部まで届いたんじゃない?」
​ 最深部。
 その言葉に、俺の背筋が凍った。
​ ズズズ……。
​ 洞窟の奥底から、地鳴りのような重低音が響いてきた。
 それは、ただの音ではない。
 空間そのものが軋むような、圧倒的な「魔力」の波動。
​「……おい、優也」
 龍魔呂が、楽しそうに獰猛な笑みを浮かべた。
​「なんか、デカイのが起きたぞ」
​ ルチアナが楽しそうに付け加える。
「あーあ。ラスティアちゃん、寝起き悪いのに。あんなピカピカさせたら……怒るわよ?」
​ 次の瞬間。
 洞窟の奥から、全てを飲み込むような「漆黒の闇」が溢れ出してきた。
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