社畜ホームセンター店員、神殺しの武具で異世界DIY!女神のミスで貰った最強武器を電動工具に変えて、S級美少女たちと快適シェアハウス作ります

月神世一

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EP 2

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悪徳弁護士お嬢様と、一等地の幽霊ビル
​「……で、陽太君。家はあるの?」
​ オーガの死体が粒子となって消えた後、キャルルは小首を傾げて聞いてきた。
 俺は膝の「人参柄のハンカチ」を見つめながら、力なく首を振った。
​「いや……さっきこの世界に来たばかりで、金も住む場所もないんだ」
「そっかぁ。じゃあ、私の友達を紹介してあげる! ちょうど『管理人がいなくて困ってる物件』があるって言ってたから!」
​ キャルルは俺の手を引くと、驚異的な脚力で森を駆け抜けた。
 ……速い。速すぎる。俺、今、時速60キロくらいで引きずられてないか?
​ ◇
​ 到着したのは、王都の一等地にある5階建ての雑居ビルだった。
 周りにはお洒落なカフェや雑貨屋が並んでいるのに、そのビルだけが異様なオーラを放っている。
​ 壁は蔦に覆われ、窓ガラスは泥汚れで真っ黒。
 入り口には『立入禁止』の札。
 まさに、都会の真ん中に放置された廃墟――幽霊ビルだ。
​「あら、キャルルさん。その薄汚れた男性は?」
​ ビルの前で待っていたのは、この廃墟には似つかわしくない、最高級スーツに身を包んだ金髪の美女だった。
 知的な銀縁メガネ。胸元には弁護士バッジが光っている。
 彼女こそ、このビルのオーナーにして、敏腕(悪徳?)弁護士、リベラ・ゴルドだ。
​「リベラ! この子、陽太君っていうの。住む場所がないんだって。ここ、空いてるでしょ?」
「ええ、空いてはいますけれど……」
​ リベラは眼鏡の奥から、値踏みするように俺をジロジロと見た。
 まるで、裁判で被告人の支払い能力を見極めるような目だ。
​「初めまして、月田陽太です。あの、家賃はおいくらで……?」
「この立地ですもの。相場なら金貨10枚(約10万円)ですが、お友達紹介ということで金貨8枚にして差し上げますわ」
「は、8枚!?」
​ 無理だ。今の俺の所持金はゼロだ。
​「払えないなら、契約は不成立ですわね。ボランティアではありませんのよ?」
「そこをなんとかなりませんか! 出世払いで!」
「ふふ、出世払いほど信用できない言葉はありませんわ。……まあ、内見だけならタダです。見てみます?」
​ リベラは意地悪そうに微笑むと、錆びついた鉄の扉を開けた。
​ ギギギギ……と嫌な音がして、中から淀んだ空気が溢れ出す。
​「うぷっ……!?」
​ 俺は思わず鼻をつまんだ。
 1階の元事務所スペースらしき場所は、地獄絵図だった。
 床は見えないほどのゴミ、ゴミ、ゴミ。
 壁には謎の粘液(スライムの跡?)がへばりつき、天井の隅には巨大な蜘蛛の巣。そして何より、カビ臭い!
​「こ、これは……」
「前の借主が夜逃げしましてね。片付けるのも面倒で放置していたんですの。これでも住みます?」
​ リベラはハンカチで口元を覆いながら、「どうせ無理でしょう」という顔をしている。
 キャルルも「うわぁ……人参が腐った匂いがするぅ」と耳を垂らしている。
​ だが。
 俺の目は違った。
​(……待てよ?)
​ 俺はゴミの山をかき分け、壁をコンコンと叩いた。
 さらに床の汚れを靴底で擦り、柱の状態を確認する。
 ホームセンター社員として、数々の資材を見てきた俺の直感が告げている。
​(この柱、魔導コンクリート製だ。ヒビ一つ入ってない。構造自体は頑丈そのものだ。配管も……生きている!)
​ ただ汚れているだけ。
 ただ手入れがされていないだけ。
 磨けば光る原石どころか、ダイヤの原石だ。
​ 俺の中の「職人魂」に火がついた。
​「リベラさん」
「はい? お断りなら出口はあちら……」
「ここ、俺がリフォームします」
「は?」
「ゴミを全部片付けて、カビも落として、新品同様に磨き上げます。配管も直します。だから――」
​ 俺はキッとリベラを見据えた。
​「管理人として、家賃タダで住まわせてください!」
​ リベラは目を丸くした。
 だがすぐに、面白がるような笑みを浮かべる。
​「大きく出ましたわね。専門の清掃業者でも匙を投げたこの惨状を、あなた一人で? 魔法も使えなさそうなのに?」
「魔法じゃありません。……技術(DIY)です」
​ 俺は右手に握った【雷霆】(まだ孫の手)を持ち上げた。
​『おい主よ。嫌な予感がするぞ。貴様、我を何に使う気だ?』
​ 脳内で雷霆が焦った声をあげる。
 俺はニヤリと笑って、心の中で相棒に呼びかけた。
​(頼むぜ相棒。お前は「何にでもなれる」んだろ?)
​『ま、まさか……我は神殺しの武具だぞ!? 誇り高き伝説の……!』
​「いくぞ! 形状変化(トランスフォーム)!」
​ 俺は叫んだ。
​「【雷霆】――業務用高圧洗浄機モード!!」
​『ふざけるなあああああああああ!!』
​ 雷霆の絶叫と共に、孫の手が眩い光を放ち、巨大なタンクとノズルがついた機械へと姿を変えていく。
 伝説の始まりは、掃除からだ。
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