元三つ星シェフ、最強の0歳児になる【ネット通販】で地球の物資を取り寄せ、夜な夜な胡桃割り人形を操って無双中〜元A級両親の英才教育が凄すぎて〜

月神世一

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第五章 4歳児の勇者

EP1

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爽やかな朝の陽射しが、シンフォニア家の庭に降り注ぐ。
空気は冷たく澄んでいるが、そこには熱気が渦巻いていた。
「よおし、リアン! 俺に打ち込んでこい! 遠慮はいらん!」
アークスが自身の腰ほどもある模擬用の木剣を構え、声を張り上げる。
対するリアン(4歳)の手には、子供用に削り出された小さな木剣。
ずっしりとした樫の木の重みが、掌に食い込む。
「うん! ……やあああ!」
リアンは気合一閃、地面を蹴った。
4歳児とは思えない踏み込み。小さな体が矢のように飛び出し、アークスの胴を狙って木剣を振り抜く。
ガギンッ!
乾いた音が庭に響いた。
アークスは片手で軽く木剣を受け止める。衝撃など微塵もないはずだが、その顔はくしゃくしゃに歪んでいた。
「くぅぅ……! 初めて息子から剣を打ち込まれる……。感動だな……」
目尻に涙を浮かべる親バカ全開の父。
だが、すぐに表情を引き締め、指導者の顔に戻った。
「よし! 悪くない踏み込みだ! だが、まだ線が細い! まずは基礎体力だ。素振り100回!」
「うん!」
リアンは位置に戻り、素振りを開始した。
ブンッ、ブンッ。
ただ闇雲に振るのではない。前世の知識を活かし、足腰の連動と、体幹を意識して振る。
「よしよし、筋が良いぞリアン! 流石は俺の息子だ!」
アークスは満足げに頷くと、素振りを続けるリアンに語りかけ始めた。
「いいか、リアン。よく聞け」
アークスの声色が、一段深く沈んだ。
「俺が教える剣術は、王都の騎士様や貴族様がパレードの為に使う、綺麗なお飾りの剣術じゃない」
アークスの脳裏に、かつての戦場の記憶が過ぎる。
「どんな泥沼の戦場でも勝ち抜き、泥水をすすってでも最後迄生き残り……大切な人を守るための『活人剣(かつじんけん)』だ。格好悪くてもいい。勝てばいいんだ」
リアンの手が止まりかけたが、すぐに振り続ける。
(……泥をすすってでも生き残る、か。いい言葉だ)
リアンは心の中で深く同意した。
綺麗事では家族は守れない。だからこそ、自分は裏で毒も闇討ちも使う。父の教えは、リアンのスタンスそのものだった。
「うん、分かったよ。父さん」
「うむ。良い返事だ」
アークスは木剣を地面に置くと、腰に差していた真剣の柄に手をかけた。
「だが、リアンはまだ背も低い。持てる剣も小さいだろう。力で押されれば不利になる」
アークスは標的用の太い竹の前に立った。
「だが……力や体格差を覆す理(ことわり)はある」
アークスが腰を低く落とす。
独特の沈み込み。全身のバネを圧縮するように溜める。
「よく見ておけ」
ザッ!
瞬きすら許されない速度だった。
電光石火の踏み込み。縮地(しゅくち)のように間合いをゼロにする。
そして、鞘の中で加速された刃が、銀色の軌跡を描いて走った。
キィンッ……!
空気を裂く高い音と共に、アークスは既に剣を鞘に納め終わっていた。
「納刀」の音だけが遅れて聞こえる。
ズ……。
目の前の太い竹が、斜めに滑り落ちた。
切断面は鏡のように滑らかだ。
「す、凄い……」
リアンは目を輝かせた。
(居合術だ……! しかも、踏み込みの運動エネルギーを抜刀の回転力に乗せている。無駄がない)
「どうだ? 『閃光(せんこう)』って言ってな。父さんの技の一つだ」
アークスはニカッと笑った。
「この技があれば、背丈の大きさなんて関係ない。相手が剣を抜く前に、あるいは振り下ろす前に、懐に入って斬る。速さこそが最強の武器になる」
「凄いよ、父さん! 教えて! 僕もやりたい!」
リアンは木剣を構え、興奮気味にねだった。
この速度があれば、リボルバーを抜く隙がない近接戦闘でも生き残れる。
「ははは! 分かった分かった。教えてやる」
アークスはリアンの頭をガシガシと撫でた。
「だが、その前に……まずは基本からだ! 下半身が安定しなきゃ、この速度には耐えられんぞ! ほら、素振り100回再開!」
「ええ~!? ……うん!」
リアンは苦笑しながらも、再び木剣を振り始めた。
近道はない。
だが、この「脳筋」の父が持つ実戦剣術は、間違いなく本物だ。
最強の4歳児への道は、この庭の土の上から始まっていく。
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