魔法障壁?知らねぇな、俺の銃が貫通する。元SWAT隊長の異世界警察24時!パチンコとタバコと現代兵器で、ブラックな太郎国の治安を守ります

月神世一

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EP 9

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激突! 破壊者 vs 機動隊
「……そうですか。No.0(ゼロ)は『未来』を見ている、と」
リベラ法律事務所、応接室。
リベラは優雅に紅茶を啜りながら、先日釈放させた構成員から情報を引き出していた。
ゴルド商会製の最高級マカロンと、彼女の巧みな話術によって、男は完全に籠絡されていた。
「は、はい。ボスは全てを知っているんです。だから誰も逆らえない……」
「なるほど。予知能力の一種、というわけですね」
リベラが眼鏡の位置を直し、核心に迫ろうとしたその時だ。
キィィィィン……
耳鳴りのような高周波音。
直後、事務所の強化ガラス製の入り口が、音もなく「消失」した。
破片も残らず、ただ空間ごと削り取られたように。
「なっ……!?」
リベラが立ち上がるより速く、土煙の中から一人の男が歩み寄ってきた。
無機質な白い仮面。その額には、禍々しい刻印。
『1』
「邪魔だなぁ。建物も、裏切り者も、女も」
男――ナンバーズNo.1『ヴォルグ』が、だらりと右手を上げた。
殺気などという生易しいものではない。純粋な「破壊」の意思。
「ひぃぃっ! No.1様! お許しをぉぉ!」
構成員が失禁しながら床に這いつくばる。
「リセットするより、壊した方が早いしね」
ヴォルグが手のひらを向けた瞬間、空気が歪んだ。
リベラは反射的にドレスの懐から『SIG P365』を抜き、構成員を蹴り飛ばして射線から外した。
ズォォッ!!
構成員がいた場所の床板、そして壁が、円形に抉り取られて消滅した。
分子崩壊波動。物理防御も魔法防御も貫通する、防御不能の砲撃。
「……野蛮な方ですこと」
リベラは冷や汗を流しながらも、銃口をヴォルグに向けた。
(私の弾丸では通用しない。……あの男(鮫島)が来るまで、持ちこたえるしかありませんわね!)
***
「現場へ急行せよ! 目標、リベラ法律事務所!」
ブラック・バイソン号の中で、俺はKorthのシリンダーを開き、弾薬を入れ替えていた。
通常の.357マグナム弾ではない。
先端が黒く塗装された、リュウ(ウェポンズマスター)との共同開発弾。
『対魔破甲弾(アンチ・マジック・ホローポイント)』。
魔力を帯びた防壁を物理的に食い破り、内部で炸裂する対異能者用の切り札だ。
「隊長! 事務所が半壊してるよ!」
キャルルが窓から叫ぶ。
「突入する! イグニス、盾を構えろ! キャルル、散開して囮になれ!」
「了解(ラジャー)!」
俺たちは走行中の馬車から飛び降り、戦場へと躍り出た。
***
「ちょこまかと……うざいんだよ!」
ヴォルグが苛立ち紛れに波動を放つ。
リベラは合気道の体捌きで辛うじて回避し続けていたが、事務所は既に蜂の巣(というより虫食い状態)だ。
「終わりだ」
ヴォルグが両手を構え、広範囲の消失波を放とうとした瞬間。
「オラァァァァ! 通行止めだ馬鹿野郎!!」
ドォォォォォォン!!
上空からイグニスが急降下し、ヴォルグの前に立ちはだかった。
展開した特注のバリスティック・シールドが、波動を真正面から受け止める。
「グググッ……! なんだこの威力は……! 盾が溶けていきやがる……!」
「イグニス! 耐えろ!」
俺は瓦礫の影から滑り込み、Korthを構えた。
イグニスの盾が、ジュワジュワと音を立てて粒子化していく。
どんな物質も消滅させる力。だが、その発動にはコンマ数秒の「溜め」と「指向性」がある。
「あたしを捕まえられるー? この仮面野郎!」
キャルルが超高速でヴォルグの周囲を走り回る。
安全靴の足音が四方八方から響き、ヴォルグの意識を散らす。
「ハエが……! 消えろぉぉ!」
ヴォルグが標的をキャルルに変えようと腕を振った。
その瞬間、イグニスへの圧力が弱まる。
「今だ」
俺は遮蔽物から身を乗り出し、両手でKorthを保持した。
距離、15メートル。
風、なし。
ターゲット、白い仮面の中央。
この世界に来てから、何度も修羅場を潜り抜けてきた。
魔法だのスキルだの、理屈の通じない力ばかりだ。
だが、物理法則(フィジクス)は裏切らない。
火薬の爆発力と、ライフリングの回転と、鉛の重さは、平等に敵を砕く。
「消滅させるより速く、鉛をブチ込めばいいだけの話だ」
呼吸を止める。
トリガーを絞る。
ハンマーが落ちる。
ズドンッ!!
轟音と共に、黒い弾丸が放たれた。
ヴォルグが反応して障壁を展開しようとする。
だが、対魔破甲弾は展開されかけた魔力の波を物理的に食い破り、螺旋回転しながら突き進んだ。
パァァァァン!!
乾いた破砕音。
ヴォルグの白い仮面が粉々に砕け散った。
「が、ぁ……!?」
ヴォルグが仰向けに吹き飛ぶ。
その額からは鮮血が流れ、白目を剥いて痙攣している。
即死は免れたようだが、脳震盪と出血で戦闘不能だ。
「確保(ターゲット・クリア)」
俺は残心(ザンシン)を解かず、銃口を向けたままゆっくりと近づいた。
イグニスが半分消滅した盾を投げ捨て、肩で息をする。
キャルルが安全靴でコツコツとヴォルグのわき腹をつつき、反応がないことを確認する。
「……間に合いましたわね」
瓦礫の山から、埃まみれのリベラが出てきた。
ドレスは破れ、髪も乱れているが、その表情だけは気丈なままだ。
「怪我は」
「かすり傷ですわ。……事務所の修理費は、ゴルド商会から太郎陛下に請求させていただきますけど」
リベラはふぅ、と息を吐き、足元の瓦礫を蹴った。
「……認めますわ、鮫島隊長。法では止められない暴力には、より強い暴力(正義)が必要ですのね」
「正義なんて立派なもんじゃない。俺たちはただの『掃除屋』だ」
俺はKorthをホルスターに戻し、ポケットから赤マルを取り出した。
手が少し震えている。武者震いか、ニコチン切れか。
「……火、あるか?」
俺が聞くと、リベラは懐から破壊された家具の破片(まだ燻っている)を拾い上げ、俺のタバコの先に押し当てた。
「どうぞ」
「……ワイルドだな、アンタ」
紫煙を吸い込む。
肺に染み渡る感覚と共に、緊張が解けていく。
ナンバーズの幹部を一人狩った。
だが、これで終わりではない。No.0(ギアン)はまだ、盤上のどこかで笑っているはずだ。
「帰るぞ。今日はタローキングで祝勝会だ」
「やったー! パフェ食べるー!」
「俺様はハンバーグ10個な!」
部下たちの元気な声を聞きながら、俺は破壊された街を見渡した。
この国を守るための戦いは、まだ始まったばかりだ。
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