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EP 32
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集う力、水晶を砕く一撃
ズドオオオオオオオオッ!!
極太の熱線が直撃し、視界が白に染まった。
光が晴れた後、そこに残っていたのは、ひしゃげた大盾の破片と、壁にめり込んだイグニスの姿だった。
「イグニスさん!!」
キャルルの悲鳴が響く。
イグニスはピクリとも動かない。全身から煙を上げ、意識があるかすら怪しい。
だが、彼が身を挺して射線をずらしてくれたおかげで、勇太たちは無傷だった。
「……オ、オオオ……」
クリスタル・フォートレスが、ゆっくりと首を巡らせる。
その瞳が、次は勇太たちを捉えた。次弾のチャージが始まっている。
「……硬度はダイヤモンド並み。魔法は反射。物理は弾かれる。……詰みか?」
勇太は冷や汗を流しながら思考を加速させた。
いや、諦めるな。科学で考えろ。
この世に「壊れない物質」など存在しない。どんなに硬い物質でも、分子結合で繋がっている以上、弱点はある。
(水晶……結晶体……。硬い、だが脆い。特定の『振動』を与えれば……!)
――共振現象(レゾナンス)。
オペラ歌手の声がワイングラスを割る原理だ。
勇太は弾かれたように顔を上げ、ボードを展開した。
ポイントは6455P。なんでも買える。
「リーシャ! キャルル! ……賭けに出るぞ!」
勇太は叫びながら、**『大音量・災害用サイレン(スピーカー付き)』と『可変周波数発振機』**を購入した。
「キャルル! リーシャに魔力を渡せ! 彼女の魔法で『音』を閉じ込めるんだ!」
「えっ、魔力を……?」
「時間がない! リーシャ、頼む!」
勇太の意図を、リーシャは瞬時に理解した。天才エルフの頭脳が、科学の理屈を魔術式へと翻訳する。
「……分かったわ。キャルル、じっとしてて」
リーシャはキャルルの首を引き寄せると、その額に自分の額をコツンと合わせた。
『マナ・ドレイン(魔力同調)』。
キャルルの身体から、淡い月の光(生命力)が溢れ出し、リーシャへと流れ込んでいく。
「んっ……あ……」
キャルルの力が抜け、逆にリーシャの瞳に強烈な翠色の光が宿る。
魔力充填、完了。
「ユウタ、やりなさい!!」
勇太はサイレンをタートルに向け、スイッチを入れた。
周波数ダイヤルを回し、水晶の固有振動数を探る。
キィィィィン――――……!!
不快な高周波音が洞窟内に響き渡る。
最初は何も起きない。だが、ダイヤルがある一点に達した瞬間。
「――ギ、ギャァァァッ!?」
タートルの動きが止まった。
全身の水晶が微細に震え始め、キーンという共鳴音を発し始める。
「ビンゴだ! リーシャ、音を逃がすな!」
「任せて! 風の精霊よ、音の檻となりて奴を包み込め! 『ソニック・プリズン』!」
リーシャが杖を振るうと、風の壁がタートルを球状に包み込んだ。
勇太の発する高周波が、風の壁の内側で反射し、増幅され、逃げ場を失って水晶を激しく振動させる。
ミシッ、ミシッ、パキパキパキ……!
無敵を誇った甲羅に、無数の亀裂が走り始めた。
「グ、ギャ、アアア……ッ!!」
タートルが苦し紛れに暴れるが、振動で関節がガクガクと笑い、まともに立てない。
「キャルル! 今だ! そのヒビを叩け!」
「はいっ! ……月影流、『破砕衝(はさいしょう)』!!」
魔力を渡し、少しふらつく足で、キャルルが飛んだ。
彼女のトンファーが、振動で脆くなった水晶の装甲に突き刺さる。
パァァァンッ!!
硬度は失われていた。キャルルの一撃は、ガラス細工を砕くように装甲を粉砕し、その奥にある柔らかい肉を露出させた。
「見えた……核(コア)だ!」
勇太が叫ぶ。
だが、誰がトドメを刺す? リーシャは魔法維持で動けない。キャルルは空中にいる。勇太の銃では火力が足りない。
その時。
瓦礫の山が爆発した。
「……待たせたなぁッ!!」
土煙の中から、鬼神が飛び出した。
イグニスだ。
全身血まみれ。だが、その瞳は爛々と燃え盛っている。
彼は戦斧『ヴォルカニック・バスター』の刃を、自身の口に含み――噛みついた。
ガリッ! と火花が散り、竜の唾液(発火液)が付着する。
ボオオオオオオッ!!
戦斧が、マグマのように赤熱した。
自らの熱で武器を過熱状態(オーバーヒート)にする、捨て身の技。
「テメェの甲羅なんざ……紙切れ同然だァッ!!」
イグニスが跳んだ。
勇太の音波と、リーシャの魔法と、キャルルの打撃でこじ開けられた、一点の穴。
そこへ、灼熱の刃が吸い込まれる。
「砕け散れェッ!! 『イグニス・ブレイク』ッ!!!」
ズゴオオオオオオオオオオッ!!!
接触の瞬間、熱衝撃と物理衝撃が同時に炸裂した。
タートルの巨体がくの字に折れ、背中の水晶が一斉に砕け散り、美しいダイヤモンドダストとなって舞い上がる。
戦斧は核を両断し、そのまま地面まで突き抜けた。
「……グ、オ……」
光る苔の光が消える。
巨亀は崩れ落ち、ただの動かない鉱物の山へと変わった。
静寂。
キラキラと舞う水晶の粉雪の中で、四人の荒い息遣いだけが響く。
「……はぁ、はぁ。……やった、のか?」
勇太がサイレンのスイッチを切る。
イグニスが斧を引き抜き、ニカッと白い歯を見せて笑った。
「へっ……。硬いだけで、味気ねえ野郎だったな」
その言葉を合図に、全員の力が抜けた。
キャルルがぺたんと座り込み、リーシャが杖を支えに息をつく。
強敵だった。だが、誰か一人でも欠けていれば勝てなかった。
【ピンポンパンポーン♪】
【クリスタル・フォートレス(変異種)を撃破しました! 3000 P 加算!】
【『囁きの森』の異変を解決しました! 2000 P 加算!】
【合計 5000 P 加算。現在 11455 P です】
【ランクアップ! 『乗り物(車両)』カテゴリが拡張されました】
ファンファーレが鳴り響く中、勇太は仲間たちの顔を見渡し、心の底から安堵した。
これで、村の憂いはなくなった。
そして、自分たちはもう、この小さな森に留まっている器ではないことも、確信していた。
ズドオオオオオオオオッ!!
極太の熱線が直撃し、視界が白に染まった。
光が晴れた後、そこに残っていたのは、ひしゃげた大盾の破片と、壁にめり込んだイグニスの姿だった。
「イグニスさん!!」
キャルルの悲鳴が響く。
イグニスはピクリとも動かない。全身から煙を上げ、意識があるかすら怪しい。
だが、彼が身を挺して射線をずらしてくれたおかげで、勇太たちは無傷だった。
「……オ、オオオ……」
クリスタル・フォートレスが、ゆっくりと首を巡らせる。
その瞳が、次は勇太たちを捉えた。次弾のチャージが始まっている。
「……硬度はダイヤモンド並み。魔法は反射。物理は弾かれる。……詰みか?」
勇太は冷や汗を流しながら思考を加速させた。
いや、諦めるな。科学で考えろ。
この世に「壊れない物質」など存在しない。どんなに硬い物質でも、分子結合で繋がっている以上、弱点はある。
(水晶……結晶体……。硬い、だが脆い。特定の『振動』を与えれば……!)
――共振現象(レゾナンス)。
オペラ歌手の声がワイングラスを割る原理だ。
勇太は弾かれたように顔を上げ、ボードを展開した。
ポイントは6455P。なんでも買える。
「リーシャ! キャルル! ……賭けに出るぞ!」
勇太は叫びながら、**『大音量・災害用サイレン(スピーカー付き)』と『可変周波数発振機』**を購入した。
「キャルル! リーシャに魔力を渡せ! 彼女の魔法で『音』を閉じ込めるんだ!」
「えっ、魔力を……?」
「時間がない! リーシャ、頼む!」
勇太の意図を、リーシャは瞬時に理解した。天才エルフの頭脳が、科学の理屈を魔術式へと翻訳する。
「……分かったわ。キャルル、じっとしてて」
リーシャはキャルルの首を引き寄せると、その額に自分の額をコツンと合わせた。
『マナ・ドレイン(魔力同調)』。
キャルルの身体から、淡い月の光(生命力)が溢れ出し、リーシャへと流れ込んでいく。
「んっ……あ……」
キャルルの力が抜け、逆にリーシャの瞳に強烈な翠色の光が宿る。
魔力充填、完了。
「ユウタ、やりなさい!!」
勇太はサイレンをタートルに向け、スイッチを入れた。
周波数ダイヤルを回し、水晶の固有振動数を探る。
キィィィィン――――……!!
不快な高周波音が洞窟内に響き渡る。
最初は何も起きない。だが、ダイヤルがある一点に達した瞬間。
「――ギ、ギャァァァッ!?」
タートルの動きが止まった。
全身の水晶が微細に震え始め、キーンという共鳴音を発し始める。
「ビンゴだ! リーシャ、音を逃がすな!」
「任せて! 風の精霊よ、音の檻となりて奴を包み込め! 『ソニック・プリズン』!」
リーシャが杖を振るうと、風の壁がタートルを球状に包み込んだ。
勇太の発する高周波が、風の壁の内側で反射し、増幅され、逃げ場を失って水晶を激しく振動させる。
ミシッ、ミシッ、パキパキパキ……!
無敵を誇った甲羅に、無数の亀裂が走り始めた。
「グ、ギャ、アアア……ッ!!」
タートルが苦し紛れに暴れるが、振動で関節がガクガクと笑い、まともに立てない。
「キャルル! 今だ! そのヒビを叩け!」
「はいっ! ……月影流、『破砕衝(はさいしょう)』!!」
魔力を渡し、少しふらつく足で、キャルルが飛んだ。
彼女のトンファーが、振動で脆くなった水晶の装甲に突き刺さる。
パァァァンッ!!
硬度は失われていた。キャルルの一撃は、ガラス細工を砕くように装甲を粉砕し、その奥にある柔らかい肉を露出させた。
「見えた……核(コア)だ!」
勇太が叫ぶ。
だが、誰がトドメを刺す? リーシャは魔法維持で動けない。キャルルは空中にいる。勇太の銃では火力が足りない。
その時。
瓦礫の山が爆発した。
「……待たせたなぁッ!!」
土煙の中から、鬼神が飛び出した。
イグニスだ。
全身血まみれ。だが、その瞳は爛々と燃え盛っている。
彼は戦斧『ヴォルカニック・バスター』の刃を、自身の口に含み――噛みついた。
ガリッ! と火花が散り、竜の唾液(発火液)が付着する。
ボオオオオオオッ!!
戦斧が、マグマのように赤熱した。
自らの熱で武器を過熱状態(オーバーヒート)にする、捨て身の技。
「テメェの甲羅なんざ……紙切れ同然だァッ!!」
イグニスが跳んだ。
勇太の音波と、リーシャの魔法と、キャルルの打撃でこじ開けられた、一点の穴。
そこへ、灼熱の刃が吸い込まれる。
「砕け散れェッ!! 『イグニス・ブレイク』ッ!!!」
ズゴオオオオオオオオオオッ!!!
接触の瞬間、熱衝撃と物理衝撃が同時に炸裂した。
タートルの巨体がくの字に折れ、背中の水晶が一斉に砕け散り、美しいダイヤモンドダストとなって舞い上がる。
戦斧は核を両断し、そのまま地面まで突き抜けた。
「……グ、オ……」
光る苔の光が消える。
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静寂。
キラキラと舞う水晶の粉雪の中で、四人の荒い息遣いだけが響く。
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キャルルがぺたんと座り込み、リーシャが杖を支えに息をつく。
強敵だった。だが、誰か一人でも欠けていれば勝てなかった。
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【クリスタル・フォートレス(変異種)を撃破しました! 3000 P 加算!】
【『囁きの森』の異変を解決しました! 2000 P 加算!】
【合計 5000 P 加算。現在 11455 P です】
【ランクアップ! 『乗り物(車両)』カテゴリが拡張されました】
ファンファーレが鳴り響く中、勇太は仲間たちの顔を見渡し、心の底から安堵した。
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