『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~

月神世一

文字の大きさ
50 / 95
第二章 帝都マルシアへ

EP 2

決意の夕餉と旅立ちの朝
​その日の夕食は、キャルルの実家(ミルルの家)で振る舞われた。
食卓には、ピッグシープのハーブ焼き、トライバードの卵炒め、そして勇太が出した炊きたての「白米」。
湯気が立ち上る温かい食事を囲みながら、勇太は昼間のイグニスの言葉を反芻していた。
​「……帝都で、デカイ事をやる、か」
​「ああ、そうだぜユウタ! 俺たちはヒュドラだって倒したんだ。こんな田舎で終わる器じゃねえだろ?」
​イグニスが骨付き肉をかじりながら、熱く語る。
キャルルが心配そうに勇太を覗き込んだ。
​「ユウタさんは、どうしたいですか?」
​「……そうだね。僕も、もっとこの世界を知りたい。君たちとなら、どこへだって行ける気がするんだ」
​勇太は茶碗を置き、仲間たちの顔を見渡した。
リーシャが静かに微笑み、キャルルが期待に目を輝かせ、イグニスがニカッと笑う。
​「よし、決まりだ! 目指すは大陸最大の都市、マルシア帝都! ……その前に、まずは海沿いの『アルトリア』経由で行くぞ!」
​「「「おーっ!!」」」
​四人の声が重なり、新たな旅路が決定した。
​翌朝。
村の広場には、早朝にもかかわらず多くの村人たちが集まっていた。
その中心に鎮座するのは、朝日を浴びて黒く輝く**大型装甲キャンピングトラック『ノマド号』**だ。
​勇太たちは、ミルル母さんが持たせてくれた大量の保存食や、ウルジ爺さんが整備してくれた武器を、広々とした車内倉庫に積み込んでいた。
​「すごい量だね。冷蔵庫がパンパンだ」
「ふふ、これなら帝都まで食いっぱぐれることはないわね」
​準備が整い、いよいよ出発の時。
ラトルが進み出て、勇太の肩をバシッと叩いた。
​「行くのか、勇太。……寂しくなるな」
​「ラトルさん。村のことは任せましたよ。ニャングルさんとの取引も」
​「おう、任せとけ! お前たちが救ってくれたこの村は、俺たちが守り抜く。……もっとデカくなって、また顔を見せに来いよ!」
​「勇太君、キャルル……みんな、気をつけてね」
ミルル母さんが涙ぐみながら、キャルルを抱きしめる。
​「ママ……行ってきます! 私、もっともっと強くなって、素敵なレディになって帰ってくるから!」
​「うむ……達者でな。イグニス、その斧の切れ味、鈍らせるんじゃねえぞ」
「へっ、当たり前だろジジイ! 土産話、楽しみにしてな!」
​村人一人一人と言葉を交わし、惜しまれながらも、四人はノマド号に乗り込んだ。
重厚なドアが閉まり、外の音が遮断される。
​勇太は運転席に座り、キーを回した。
​キュルル……ズドオオオオオオオンッ!!!
​猛獣の如きディーゼルエンジンの咆哮が、朝の静寂を破る。
村人たちが驚き、そして歓声を上げて手を振る。
​「みんな、行ってきます!!」
​勇太は窓から手を振り、一度だけ長くクラクションを鳴らした。
パァァァァァァァーーーンッ!!!
それは別れの合図であり、新たな冒険へのファンファーレだった。
​巨大なタイヤが砂利を噛み、車体が動き出す。
バックミラーの中で、小さくなっていくルナキャロット村。
キャルルとリーシャが、窓に張り付いていつまでも手を振っていた。
​やがて車は峠を越え、視界が開けた。
フロントガラスの向こう、地平線の彼方に、キラキラと輝く**「碧き海」**が見えてくる。
​「見えた……! 海だ!」
「でけぇぇぇ! 湖とはスケールが違うぜ!」
​感傷はここまでだ。
勇太はアクセルを踏み込んだ。
ノマド号は砂煙を上げ、真っ直ぐな街道をひた走る。
​目指すは交易都市アルトリア。
そしてその先にある、帝都マルシア。
「地球の勇者」と仲間たちの、本当の伝説がここから始まる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョン銭湯 ~鎧は脱いでお入りください~

こまちゃも
ファンタジー
祖父さんから受け継いだ銭湯ごと、ダンジョンに転移してしまった俺。 だがそこは、なぜか”完全安全地帯”だった。 風呂に入れば傷は癒え、疲れも吹き飛ぶ。 噂を聞きつけた冒険者たちが集まり、宿やギルドまでできていく。 俺には最強の武器もスキルもないがーー最強のヒーラーや個性豊かな常連たちに囲まれながら、俺は今日も湯を沸かす。 銭湯を中心に、ダンジョンの中に小さな拠点が広がっていく。 ――ダンジョン銭湯、本日も営業中。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

転生貴族は現代日本の知識で領地経営して発展させる

ファンタジー
大陸の西に存在するディーレンス王国の貴族、クローディス家では当主が亡くなり、長男、次男、三男でその領地を分配した。 しかしこの物語の主人公クルス・クローディスに分配されたのはディーレンス王国の属国、その北に位置する土地で、領内には人間族以外の異種族もいた上、北からは別の異種族からの侵攻を受けている絶望的な土地だった。 そこで主人公クルスは前世の現代日本の知識を使って絶望的な領地を発展させる。 目指すのは大陸一発展した領地。 果たしてクルスは実現できるのか? これはそんなクルスを描いた物語である。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。