田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一

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第十三章 絶対無敵の銀河アイドル

EP 5

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【特訓】ルチアナのボイトレと、ラスティアのダンス指導
カイト農場の特設野菜ステージ。
その裏手にある控室(ビニールハウス)から、断末魔のような悲鳴が轟いていた。
「ぎゃあああああああッ!! 折れる! 背骨が! 物理的に不可能な方向に曲がってるぅぅッ!」
「甘ったれるな! アイドルは笑顔よ! 股関節が外れようとも、カメラの前では微笑むのよ!」
バキィッ!!
鈍い音が響く。
「ひぐっ……!」
フロアで海老反りになっているのはリーザだ。
そして、彼女の背中に乗り、無理やり柔軟体操をさせているのは、ジャージ姿の魔王ラスティアである。
「いい? 優勝するためには、AIアイドルの正確無比なダンスに勝たなきゃいけないの。……必要なのは、『悪魔的柔軟性』と『魅了(チャーム)』よ」
ラスティアがリーザの顎をクイッと持ち上げた。
その瞳が妖しく赤く光る。
「私の目を見なさい。……そして、この空間の全てを支配するつもりでウインクしなさい」
「こ、こう……?」
リーザが引きつった笑顔でウインクする。
「違う! それじゃただの目の痙攣よ! もっとこう……『あんたの全財産、私が使ってあげるわ♡』っていう強欲さを瞳に込めなさい!」
「ぜ、全財産……!」
リーザが脳内で100億ゴールドを想像する。
瞳孔が開く。ギラリとした光が宿る。
「そう! その目よ! 獲物を狩る目!」
「(これアイドルのレッスンなの……?)」
   ◇
ダンスレッスンの次は、ボイストレーニングだ。
担当は、優雅に紅茶を飲んでいる創造神ルチアナ。
「リーザちゃん。貴女の発声は、喉だけで歌っているわ」
「え? 腹式呼吸は意識してますけど……」
「お腹? ……レベルが低いわね」
ルチアナは呆れたようにカップを置いた。
「神の歌声(ゴッド・ボイス)とは、『魂』と『宇宙』を共鳴させるものよ」
「宇宙……?」
「手本を見せるわ」
ルチアナが軽く息を吸い、声を放った。
『♪アァァァァァァ――――――……』
ズズズズズズ……!!!
空気が震え、ビニールハウスが振動し、外のガラス温室が一斉に共鳴音を上げた。
ただの発声練習なのに、天地創造のファンファーレのような神々しさだ。
「す、すご……!」
「さあ、やってみなさい。……このハウス内の『ドライアイス大根』を、声の波動だけで粉砕するつもりで」
「無茶言わないでよ!?」
「100億、欲しくないの?」
「……ッ!!」
その魔法の言葉(キラーワード)に、リーザがマイクを握りしめた。
100億。
不労所得。
石油王。
「やってやるわよぉぉぉ!!」
リーザが大きく息を吸い込んだ。
腹の底から、いや、欲望の底から声を絞り出す。
「『あぁぁぁぁぁぁぁい(愛)もぉぉぉぉッ!!』」
「『かぁぁぁぁぁぁね(金)もぉぉぉぉッ!!』」
バリィィンッ!!
隅にあった大根の葉っぱが衝撃波で散った。
「悪くないわ! その調子よ! 欲望を音波に乗せて!」
「もっと腰を回して! 札束をかき集めるような動きで!」
ルチアナとラスティアの檄が飛ぶ。
歌え。踊れ。
欲望のままに。
地獄のレッスンは、三日三晩続いた。
   ◇
そして、フェス当日の朝。
「……おはよう、みんな」
カイト農場の食堂に現れたリーザを見て、全員が息を呑んだ。
「……リーザちゃん?」
カイトがポカンと口を開ける。
そこに立っていたのは、以前の「貧乏アイドル」ではなかった。
肌は発光するように白く輝き、立ち振る舞いには王者の風格が漂っている。
何より、その瞳。
見る者すべての視線を吸い寄せ、財布の紐を緩ませるような、魔性のオーラ(覇気)を纏っていた。
「すげぇ……」
元勇者リュウが呟く。
「あれはもう、人じゃねぇ……『アイドルという名の魔物』だ」
「仕上がりましたわね」
リベラが満足げに頷いた。
リーザはニヤリと笑い、髪をかき上げた。
「ふふ。……見えるわ。私に向かって飛んでくる、無数のスパチャの雨が」
覚醒完了。
カイト農場が作り上げた最強の集金兵器(アイドル)が、いよいよ銀河のステージへと出撃する。
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