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EP 59
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鉄の咆哮、アルクス要塞化計画
領主執務室の窓から、平和なアルクスの街並みを見下ろしていた太郎の表情は、いつになく真剣だった。
街は発展し、サウナは盛況、農作物は豊作。
しかし、太郎の脳裏には常にあの光景が焼き付いていた。
ソウルワイバーンの襲来。空を覆う黒い影と、燃え上がる家屋、逃げ惑う人々。
「そうだな……。民達の守りを考えると、今の布陣じゃ心許ない」
騎士団や魔法兵団は強くなった。だが、彼らはあくまで「対人」や「小規模な魔物」には強いが、巨大生物や空からの大規模侵攻に対しては数で劣る。
「ワイバーンの群れが来た時は、アルクスの街は火の海だった。……あんな事は、2度と起こさせない」
太郎は拳を握りしめ、マルスとガンダフを執務室に呼び出した。
「お呼びでしょうか、太郎様」
「なんでぃ、今日は風呂の増築の話か?」
二人が部屋に入ると、太郎はデスクの上に一冊の本を広げた。
「これを見てくれ」
それは太郎が『書籍・軍事』カテゴリから取り出した図鑑だった。
タイトルは『世界の大砲・火砲 歴史図鑑』。
「こ、これは……?」
ガンダフが図面を覗き込む。
そこには、鉄の筒から黒煙を上げ、巨大な弾丸を撃ち出す兵器――「大砲(カノン)」の構造図が描かれていた。
「鉄の筒の中で爆発を起こし、その圧力で鉄球を飛ばす……だと!?」
ガンダフの目が釘付けになった。
「すげぇ! これなら魔法使いの射程外から、一方的に敵を粉砕できるじゃねぇか!」
「うん。これをアルクスの城壁に配備したい。……それと、もう一つ頼みがある」
太郎は真剣な眼差しでガンダフを見た。
「僕がいつも使っている『必殺の矢』。あれを量産して欲しいんだ」
「あの爆発する矢か!?」
「そうだ。あれを人間が撃つ弓だけじゃなく、巨大な『バリスタ』や、この『大砲』で撃ち出せるサイズに改良して欲しい」
必殺の矢(100円ショップの爆竹とオイルと魔石の複合体)の破壊力は実証済みだ。
あれが雨あられと降り注ぐ対空弾幕となれば、ワイバーンの群れどころか、ドラゴンの編隊すら撃ち落とせるだろう。
「必殺の矢のバリスタ版に、大砲版か……。へっ、面白ぇ! 血が騒ぐぜ!」
ガンダフはニヤリと笑った。技術的な課題は多いが、燃えないわけがない。
しかし、マルスは青ざめた顔で進言した。
「し、しかし太郎様。これほどの破壊兵器……配備となれば、デルン王国本国に煩く言われますぞ」
一領主が、国軍すら持っていない未知の超兵器を保有するのだ。
「反乱の意思あり」と疑われてもおかしくない。
「貴族院や王宮が黙っていないでしょう。政治的なバランスが崩れます」
マルスの懸念はもっともだ。
だが、ガンダフが鼻を鳴らした。
「ケッ! 構わねぇじゃねぇか。国が何と言おうと、この街を守るのは俺達だ。ワシは大砲だろうがバリスタだろうが必殺の矢だろうが作るぞ。技術者に政治の話をするな」
「ガンダフ……!」
マルスが睨むが、太郎が静かに口を開いた。
「マルス。責任は全部僕が取るよ。もし国が文句を言ってきたら、『これはただの大きな花火発射装置です』とでも誤魔化すさ」
「花火……ですか」
「僕にとって大事なのは、バゴール王の顔色より、この街で暮らす皆の命だ。……頼む、力を貸してくれ」
太郎の揺るがない決意。
マルスは主人の目を見て、深々とため息をつき――そして、忠臣の顔に戻った。
「……承知しました、太郎様。貴方様がそう仰るなら、私は王宮からの苦情を全て握りつぶし、書類の海で溺れさせてみせましょう」
「へっ、そうこなくっちゃな!」
ガンダフがマルスの背中を叩く。
「よし! 直ちに開発に取り掛かる! 太郎、お前の『火薬』とやらの見本をたっぷり寄越せよ!」
「よろしく頼む!」
こうして、アルクス領の地下工房にて、極秘裏に「魔導大砲」と「対空バリスタ」の開発が始まった。
癒やしの温泉街アルクスは、裏では大陸最強の要塞都市へと変貌を遂げようとしていた。
領主執務室の窓から、平和なアルクスの街並みを見下ろしていた太郎の表情は、いつになく真剣だった。
街は発展し、サウナは盛況、農作物は豊作。
しかし、太郎の脳裏には常にあの光景が焼き付いていた。
ソウルワイバーンの襲来。空を覆う黒い影と、燃え上がる家屋、逃げ惑う人々。
「そうだな……。民達の守りを考えると、今の布陣じゃ心許ない」
騎士団や魔法兵団は強くなった。だが、彼らはあくまで「対人」や「小規模な魔物」には強いが、巨大生物や空からの大規模侵攻に対しては数で劣る。
「ワイバーンの群れが来た時は、アルクスの街は火の海だった。……あんな事は、2度と起こさせない」
太郎は拳を握りしめ、マルスとガンダフを執務室に呼び出した。
「お呼びでしょうか、太郎様」
「なんでぃ、今日は風呂の増築の話か?」
二人が部屋に入ると、太郎はデスクの上に一冊の本を広げた。
「これを見てくれ」
それは太郎が『書籍・軍事』カテゴリから取り出した図鑑だった。
タイトルは『世界の大砲・火砲 歴史図鑑』。
「こ、これは……?」
ガンダフが図面を覗き込む。
そこには、鉄の筒から黒煙を上げ、巨大な弾丸を撃ち出す兵器――「大砲(カノン)」の構造図が描かれていた。
「鉄の筒の中で爆発を起こし、その圧力で鉄球を飛ばす……だと!?」
ガンダフの目が釘付けになった。
「すげぇ! これなら魔法使いの射程外から、一方的に敵を粉砕できるじゃねぇか!」
「うん。これをアルクスの城壁に配備したい。……それと、もう一つ頼みがある」
太郎は真剣な眼差しでガンダフを見た。
「僕がいつも使っている『必殺の矢』。あれを量産して欲しいんだ」
「あの爆発する矢か!?」
「そうだ。あれを人間が撃つ弓だけじゃなく、巨大な『バリスタ』や、この『大砲』で撃ち出せるサイズに改良して欲しい」
必殺の矢(100円ショップの爆竹とオイルと魔石の複合体)の破壊力は実証済みだ。
あれが雨あられと降り注ぐ対空弾幕となれば、ワイバーンの群れどころか、ドラゴンの編隊すら撃ち落とせるだろう。
「必殺の矢のバリスタ版に、大砲版か……。へっ、面白ぇ! 血が騒ぐぜ!」
ガンダフはニヤリと笑った。技術的な課題は多いが、燃えないわけがない。
しかし、マルスは青ざめた顔で進言した。
「し、しかし太郎様。これほどの破壊兵器……配備となれば、デルン王国本国に煩く言われますぞ」
一領主が、国軍すら持っていない未知の超兵器を保有するのだ。
「反乱の意思あり」と疑われてもおかしくない。
「貴族院や王宮が黙っていないでしょう。政治的なバランスが崩れます」
マルスの懸念はもっともだ。
だが、ガンダフが鼻を鳴らした。
「ケッ! 構わねぇじゃねぇか。国が何と言おうと、この街を守るのは俺達だ。ワシは大砲だろうがバリスタだろうが必殺の矢だろうが作るぞ。技術者に政治の話をするな」
「ガンダフ……!」
マルスが睨むが、太郎が静かに口を開いた。
「マルス。責任は全部僕が取るよ。もし国が文句を言ってきたら、『これはただの大きな花火発射装置です』とでも誤魔化すさ」
「花火……ですか」
「僕にとって大事なのは、バゴール王の顔色より、この街で暮らす皆の命だ。……頼む、力を貸してくれ」
太郎の揺るがない決意。
マルスは主人の目を見て、深々とため息をつき――そして、忠臣の顔に戻った。
「……承知しました、太郎様。貴方様がそう仰るなら、私は王宮からの苦情を全て握りつぶし、書類の海で溺れさせてみせましょう」
「へっ、そうこなくっちゃな!」
ガンダフがマルスの背中を叩く。
「よし! 直ちに開発に取り掛かる! 太郎、お前の『火薬』とやらの見本をたっぷり寄越せよ!」
「よろしく頼む!」
こうして、アルクス領の地下工房にて、極秘裏に「魔導大砲」と「対空バリスタ」の開発が始まった。
癒やしの温泉街アルクスは、裏では大陸最強の要塞都市へと変貌を遂げようとしていた。
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