スキル『100円ショップ』で異世界暮らし。素材回収でポイント貯めて、美味しいご飯と便利グッズで美少女たちとスローライフを目指します

月神世一

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第二章 新たな旅立ち

EP 18

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国王の休日、ギルドマスターの胃痛、そして妻たちの雷
エルフ族の移住計画という歴史的大事業を終え、太郎たちは懐かしき太郎国(旧デルン王国)へと帰還した。
前回の「夜逃げ」の反省を踏まえ、太郎は一つの結論に達していた。
「僕が政治をやるからストレスが溜まるんだ。なら、できる人に任せればいい!」
その結果、有能すぎる家令マルスに**「全権委任」**という名の実質的な丸投げを行い、太郎は「象徴としての国王」というポジションに収まった。
マルスは「仕事が増えた!」と歓喜の涙(?)を流して執務室に籠もり、太郎には莫大な暇な時間ができた。
「暇だ……」
城の庭で寝転がりながら、太郎は呟いた。
平和なのは良いことだが、元来が根っからの冒険者気質。体がウズウズして仕方がない。
「そうだ。ヒブネ、ちょっと出かけようか」
「お供します。どちらへ?」
「冒険者ギルドへ。リハビリも兼ねてね」
太郎国の冒険者ギルド。
かつて太郎が依頼を受けていた懐かしい場所だ。
フードを目深に被った太郎とヒブネがカウンターに近づくと、ギルドマスターのヴォルフが目を丸くして飛び出してきた。
「た、太郎さん!? いや、国王陛下!? 何故冒険者ギルドなんかに!?」
ヴォルフは慌てて周囲を見渡し、声を潜めた。一国の王がこんな場所にいては、大騒ぎになる。
「いやぁ、お義父さん。暇でさ、ちょっと息抜きに」
太郎はニカっと笑って、ヴォルフを「お義父さん」と呼んだ。
(※ヴォルフはライザの父であり、元騎士団長からギルドマスターに転身した古豪である)
「か、勘弁してくださいよ!? 陛下に万が一のことがあったら、娘(ライザ)に殺されます!」
「マルス宰相にも怒られますぞ!」
ヴォルフが頭を抱えて胃の辺りをさする。
「大丈夫だって。サバラー大陸帰りのヒブネも居るし、簡単な依頼しか受けないから」
「簡単な依頼って……」
「これこれ。『ゴブリン討伐』。これならいいでしょ?」
太郎はFランクの依頼書をヒラヒラとさせた。
「はぁぁぁぁ……。分かりました。ですが、護衛は厳重にお願いしますよ……」
ヴォルフは深い溜息をつき、しぶしぶハンコを押した。
街の近郊の森。
久々のゴブリン討伐は、もはや作業ですらなかった。
「ギャギャッ!」
「そこです」
ヒブネが槍の石突きで軽く小突くだけで、ゴブリンたちは空を飛んでいく。
太郎に至っては、100円ショップの**『強力水鉄砲(タンク付き)』**で水を浴びせ、ゴブリンが怯んだ隙にヒブネが縛り上げるという、完全な遊び感覚だった。
「ふぅ、終わった終わった。いい運動になったね」
「えぇ。体が少し軽くなりました」
二人は報酬の小銭を受け取り、ソフトクリーム(太郎からの差し入れ)を食べながら、意気揚々と城へ帰還した。
「ただいまー」
太郎が上機嫌でリビングの扉を開けた、その時だった。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
室内には、重力が増したかのような重苦しいプレッシャーが充満していた。
正面には、腕を組んで仁王立ちするサリーと、その隣で剣の柄に手を置くライザ。
二人の背後には、不動明王のような怒りの炎が見える気がした。
「あ、あれ……? サリー? ライザ?」
「太郎様!? 今までどちらにいらしたのですか!?」
サリーが氷のような笑顔で詰め寄る。
「ヒブネと二人きりで、どちらへ? まさか、私達の知らないところで……」
ライザがチャキッと剣を鞘から少し抜いた。
浮気か、抜け駆けか。どちらにせよ有罪の空気だ。
「ち、違うんだよ二人とも! これは、その、ゴブリン退治に! ちゃんとギルドで依頼受けて! な、なあヒブネ!?」
太郎は必死にヒブネに助けを求めた。
ヒブネは冷静に頷いた。
「左様ですわ。太郎様の運動不足解消にお付き合いしたまでです」
その言葉を聞いて、二人の表情が一変した。
怒りから、強烈な「嫉妬」へ。
「ずる~い!? 太郎様達だけで、そんな楽しい事を!」
サリーが頬を膨らませて地団駄を踏んだ。
「私達も王宮務めや育児で肩が凝るんですのよ! 体を動かして、魔物をなぎ倒したい気分でしたのに!」
ライザも悔しそうに唇を噛む。
彼女たちにとって、魔物退治は最高のリフレッシュ(ストレス発散)なのだ。それを自分たちだけ置いていかれたことが許せなかった。
「えぇ……そっち!?」
太郎は拍子抜けしたが、すぐに居住まいを正した。
「わ、分かった! ごめん! 次からは一緒に、なっ! な!?」
「本当ですね? 次はドラゴン退治くらい行きましょうね!」
「えぇ。久しぶりに全力で暴れたいですわ」
「(……ドラゴンは勘弁してほしいなぁ)」
太郎は引きつった笑みを浮かべつつ、妻たちの機嫌を取るために、その夜は特上のフルコース料理を振る舞うことになるのだった。
国王になっても、英雄になっても、太郎の尻に敷かれる運命は変わらないようである。
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