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第三章 世界の秩序
EP 21
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魔改造された相棒、その名は『真・雷霆』
城の地下深くにある兵器庫。
ひんやりとした空気と、油の匂いが漂うその場所に、太郎は一人で佇んでいた。
手には、長年連れ添った愛弓であり、剣にも変形する万能武器『雷霆(らいてい)』が握られている。
「はぁ……。最近じゃめっきりご無沙汰してるよな」
太郎は布で丁寧に雷霆を磨きながら、独り言を呟いた。
魔王を倒し、最強種たちが居候し、平和になった今、この武器を振るう機会は激減していた。
「いつかまた、お前と思いっきり暴れたいな。……お前も退屈してるだろ?」
ヴン……。
雷霆が小さく震え、赤い光を明滅させた。主の言葉に応えているようだ。
「主よ、何をしてるんだ?」
背後から野太い声が響いた。
振り返ると、竜王デュークが腕を組んで立っていた。暇つぶしに城内を散策していたらしい。
「あぁ、デュークか。武器の手入れだよ」
「ほう。それは何だ? ただの弓にしては、妙な魔力を感じるが」
「え? これは『雷霆』と言って、伝説の武器なんだ。意思を持っていて、使い手と共に成長するんだよ」
太郎が説明すると、デュークの目が怪しく光った。
「ほぉ……成長するか。武器が意思を持つとは面白い」
デュークは興味深そうに近づき、雷霆に手を伸ばした。
「どれ……少し試してやろう」
「え?」
ドクンッ!!
デュークの手から、禍々しいほどの赤黒いオーラが噴き出した。
竜王の覇気、破壊のエネルギーそのものだ。
「はっ!?」
雷霆がビクンと跳ねた。
しかし、デュークはお構いなしに、その膨大な魔力を無理やり雷霆にねじ込んだ。
「我の力の一端をくれてやる。受け取れるか?」
バチバチバチッ!!
雷霆が悲鳴を上げるように赤く発光し、熱を帯びる。
「わぁっ! 何するんだよ! 壊れちゃうだろ!」
太郎が止めようとした時、さらに二つの影が現れた。
「何してんの~? 面白そうな音がする!」
「旦那様? ここに居らっしゃいましたの?」
フェリルとフレアだ。
地下から溢れ出る異常な魔力を感じ取ってやってきたのだ。
「丁度良い。貴様らも、この武器に力を注げ」
デュークがニヤリと笑って命じた。
「こやつは『成長する武器』らしい。我等の力を注げば、どこまで成長するか見ものだぞ」
「へぇ~! なにそれ、実験? 面白そ!」
フェリルが無邪気に笑い、雷霆の切っ先を掴んだ。
「じゃあ僕も! 『絶対零度(アブソリュート・ゼロ)』の魔力をあげる!」
パキパキパキ……!
灼熱の竜王の力に、フェリルの極寒の凍気が混ざり合う。本来なら反発して爆発するところだが、雷霆という器の中で奇跡的な融合を始めた。
「旦那様の武器ですのね? でしたら……」
フレアがうっとりとした表情で、雷霆のグリップ(太郎が握っている部分)に手を重ねた。
「私の『愛の力(不死鳥の再生と浄化の炎)』を注ぎますわ♡ 旦那様を守る、永遠の愛を……!」
ゴオォォォォォッ!!!
「ちょ、ちょっと待って!? キャパオーバーだって!!」
太郎の叫びは光に飲み込まれた。
竜王の破壊力。
狼王の氷結力。
不死鳥の再生力。
世界の頂点に立つ三柱の力が、一つの武器の中で渦を巻き、限界を超えて圧縮されていく。
『グオォォォォォン……!!!』
雷霆そのものが、獣のような咆哮を上げた。
兵器庫が激しく揺れ、棚が倒れ、壁に亀裂が走る。
やがて、光が収まると――。
そこには、以前とは似ても似つかない姿の武器があった。
深紅と蒼銀、そして黄金の三色が複雑に絡み合い、常に神々しい粒子を放っている。
ただそこに在るだけで、空間が歪んで見えるほどの威圧感。
『真・雷霆(シン・ライテイ)』の誕生である。
「何これ……」
太郎は震える手でそれを握った。
軽い。羽のように軽いのに、振れば大陸の一つくらい両断できそうな力が伝わってくる。
「フハハハ! 見ろ! 素晴らしい輝きだ!」
デュークが高笑いする。
「これで主は、神や邪神如き、好きに倒せるぞ! なんなら世界を再構築できるかもしれん!」
「良かったな! 主! これで僕と全力で遊べるね!」
フェリルも尻尾を振って喜んでいる。
「ふふっ♡ これでいつでも私の愛を感じられますわね、旦那様♡」
フレアも満足げだ。
「…………」
太郎は白目を剥きそうになった。
ただ懐かしくて磨いていただけなのに。
いつの間にか、相棒が『惑星破壊兵器クラス』に進化してしまった。
(こ、こんなの……うかつに試し撃ちも出来ないよ……!)
最強種たちの「善意」という名の「魔改造」。
太郎の胃痛の種が、また一つ増えたのであった。
城の地下深くにある兵器庫。
ひんやりとした空気と、油の匂いが漂うその場所に、太郎は一人で佇んでいた。
手には、長年連れ添った愛弓であり、剣にも変形する万能武器『雷霆(らいてい)』が握られている。
「はぁ……。最近じゃめっきりご無沙汰してるよな」
太郎は布で丁寧に雷霆を磨きながら、独り言を呟いた。
魔王を倒し、最強種たちが居候し、平和になった今、この武器を振るう機会は激減していた。
「いつかまた、お前と思いっきり暴れたいな。……お前も退屈してるだろ?」
ヴン……。
雷霆が小さく震え、赤い光を明滅させた。主の言葉に応えているようだ。
「主よ、何をしてるんだ?」
背後から野太い声が響いた。
振り返ると、竜王デュークが腕を組んで立っていた。暇つぶしに城内を散策していたらしい。
「あぁ、デュークか。武器の手入れだよ」
「ほう。それは何だ? ただの弓にしては、妙な魔力を感じるが」
「え? これは『雷霆』と言って、伝説の武器なんだ。意思を持っていて、使い手と共に成長するんだよ」
太郎が説明すると、デュークの目が怪しく光った。
「ほぉ……成長するか。武器が意思を持つとは面白い」
デュークは興味深そうに近づき、雷霆に手を伸ばした。
「どれ……少し試してやろう」
「え?」
ドクンッ!!
デュークの手から、禍々しいほどの赤黒いオーラが噴き出した。
竜王の覇気、破壊のエネルギーそのものだ。
「はっ!?」
雷霆がビクンと跳ねた。
しかし、デュークはお構いなしに、その膨大な魔力を無理やり雷霆にねじ込んだ。
「我の力の一端をくれてやる。受け取れるか?」
バチバチバチッ!!
雷霆が悲鳴を上げるように赤く発光し、熱を帯びる。
「わぁっ! 何するんだよ! 壊れちゃうだろ!」
太郎が止めようとした時、さらに二つの影が現れた。
「何してんの~? 面白そうな音がする!」
「旦那様? ここに居らっしゃいましたの?」
フェリルとフレアだ。
地下から溢れ出る異常な魔力を感じ取ってやってきたのだ。
「丁度良い。貴様らも、この武器に力を注げ」
デュークがニヤリと笑って命じた。
「こやつは『成長する武器』らしい。我等の力を注げば、どこまで成長するか見ものだぞ」
「へぇ~! なにそれ、実験? 面白そ!」
フェリルが無邪気に笑い、雷霆の切っ先を掴んだ。
「じゃあ僕も! 『絶対零度(アブソリュート・ゼロ)』の魔力をあげる!」
パキパキパキ……!
灼熱の竜王の力に、フェリルの極寒の凍気が混ざり合う。本来なら反発して爆発するところだが、雷霆という器の中で奇跡的な融合を始めた。
「旦那様の武器ですのね? でしたら……」
フレアがうっとりとした表情で、雷霆のグリップ(太郎が握っている部分)に手を重ねた。
「私の『愛の力(不死鳥の再生と浄化の炎)』を注ぎますわ♡ 旦那様を守る、永遠の愛を……!」
ゴオォォォォォッ!!!
「ちょ、ちょっと待って!? キャパオーバーだって!!」
太郎の叫びは光に飲み込まれた。
竜王の破壊力。
狼王の氷結力。
不死鳥の再生力。
世界の頂点に立つ三柱の力が、一つの武器の中で渦を巻き、限界を超えて圧縮されていく。
『グオォォォォォン……!!!』
雷霆そのものが、獣のような咆哮を上げた。
兵器庫が激しく揺れ、棚が倒れ、壁に亀裂が走る。
やがて、光が収まると――。
そこには、以前とは似ても似つかない姿の武器があった。
深紅と蒼銀、そして黄金の三色が複雑に絡み合い、常に神々しい粒子を放っている。
ただそこに在るだけで、空間が歪んで見えるほどの威圧感。
『真・雷霆(シン・ライテイ)』の誕生である。
「何これ……」
太郎は震える手でそれを握った。
軽い。羽のように軽いのに、振れば大陸の一つくらい両断できそうな力が伝わってくる。
「フハハハ! 見ろ! 素晴らしい輝きだ!」
デュークが高笑いする。
「これで主は、神や邪神如き、好きに倒せるぞ! なんなら世界を再構築できるかもしれん!」
「良かったな! 主! これで僕と全力で遊べるね!」
フェリルも尻尾を振って喜んでいる。
「ふふっ♡ これでいつでも私の愛を感じられますわね、旦那様♡」
フレアも満足げだ。
「…………」
太郎は白目を剥きそうになった。
ただ懐かしくて磨いていただけなのに。
いつの間にか、相棒が『惑星破壊兵器クラス』に進化してしまった。
(こ、こんなの……うかつに試し撃ちも出来ないよ……!)
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太郎の胃痛の種が、また一つ増えたのであった。
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