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第三章 世界の秩序
EP 50
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深海の絶望、そして最凶の救援者たち
【海底国家シーラン国・最終防衛ライン】
ズガァァァァァァァン!!
海中とは思えない轟音が響き渡る。
蒼き海竜(リヴァイアサン)と化したリリアーナと、太古の魔獣アノマノカリウスの巨体が激突した衝撃波が、周囲の海水を沸騰させた。
『ハァッ……ハァッ……!』
リリアーナの息が上がる。
彼女の「ハイドロ・ブレス」は強力だが、アノマノカリウスの甲殻は硬く、再生能力も異常だ。
一方、敵の触手による攻撃は、リリアーナの鱗を削り、体力を確実に奪っていく。
「ははは! 見ろ! 女王が押されているぞ!」
後方で指揮を執るタコ型の魔族幹部、オクトパス将軍が高らかに笑った。
「我等の勝利だ! 魚人共を一匹残らず血祭りにあげろ! その血肉を魔王ヴァルス様の復活への糧とするのだ!」
「オオオオオッ!!」
勢いづく魔族軍。魚人兵たちの槍が折られ、防衛結界にヒビが入る。
誰もが終わりを覚悟した。
そう、「彼ら」が来るまでは。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
突如、天井から巨大な質量が降ってきたような、凄まじい衝撃が走った。
海流が乱れ、魔族たちが木の葉のように吹き飛ばされる。
「な!? 何だ!?」
砂煙が晴れた先。
アノマノカリウスの巨大な頭部が、海底の岩盤にめり込んでいた。
その脳天には、黄金のオーラを纏った「拳」が突き刺さっている。
「ぬん。……硬いな。甲殻類か」
悠然と立っていたのは、人の姿に戻った竜王デュークだった。
水の抵抗など存在しないかのような一撃。
「な!? 何!? 貴様は……!?」
魔族幹部が目を剥く。
デュークは幹部を無視し、傷ついたリリアーナへと視線を向けた。
「下がっていろ、リリアーナよ。此奴は我が遊んでやる」
『デ、デューク様!? 何故ここに!?』
リリアーナが驚愕する中、もう一つの影がスッと前に出た。
「はぁ? 何を言ってんの? デューク」
狼王フェリルだ。彼は水の中でも普段と変わらず、退屈そうに耳を掻いた。
「こんな噛み応えありそうなデカイ奴は、僕の獲物だよ。あんたは後ろで見てなよ」
「……何を言っている? フェリルよ」
デュークがこめかみに青筋を浮かべる。
「ここまで貴様らを運んでやったのは誰だ? 背に乗せて飛んだのは我だぞ?」
「むっ……それはそうだけど」
「当然、労力に見合う対価が必要だ。よって、我がこの『美味しい獲物(ボス)』と遊ぶ。貴様らはそこの雑魚と遊んでおれ」
あまりにも理不尽なジャイアニズム。
しかし、ここまで運んでもらった負い目があるフェリルは、唇を尖らせて引き下がった。
「はぁ……。仕方ないな。タクシー代ってことか」
フェリルはくるりと踵を返し、数千匹はいるであろう魔族の大軍を見渡した。
「じゃあ、憂さ晴らしに付き合ってもらおうか」
フェリルの周囲の海水が、一瞬にして凍結した。
パキパキパキパキ……!
無数の氷塊が生まれ、それらは狼の形へと変貌していく。
「行け。奴等を食い散らかせ! 『氷狼牙(フェンリル・ファング)』!!」
ガウッ! ガルルルッ!!
数百体の氷の狼が、魚雷のような速度で射出された。
「ひっ!? なんだこれは!?」
「ギャァァァァァ!!」
氷狼たちは魔族に食らいつくと、その傷口から相手を凍らせていく。
一瞬にして戦況がひっくり返った。
「そ、そんな……馬鹿な……!?」
オクトパス将軍が震え上がる。
その目の前に、ゆらりと赤いドレスの影が降り立った。
深海だというのに、彼女の周囲だけ海水が温かい。
「貴方が指揮官?」
不死鳥フレアが、扇子で口元を隠して微笑んだ。
「ふ、不死鳥……フレア……だと!?」
「えぇ。単刀直入に言いますわ」
フレアは優雅に髪を払った。
「私、無駄な事したく無いのよねぇ。ドレスが汚れるし。だから、今から兵達と尻尾巻いて逃げ出すなら、命までは取らないであげますわ。……どうする?」
慈悲ではない。圧倒的な強者の余裕。
それがオクトパス将軍のプライドを逆撫でした。
「ふ、ふざけるなあああ!? 我を愚弄するか!!」
将軍は八本の腕を突き出し、全魔力を込めた漆黒のエネルギー波を至近距離で放った。
「死ねぇぇぇ!!」
ドォォォン!!
直撃。黒い闇がフレアを飲み込んだ……かに見えた。
ポコポコポコ……
「あら、綺麗な泡」
闇のエネルギー波は、フレアの指先に触れた瞬間、無害なピンク色の「泡」へと変換されていた。
「な……!?」
「私の愛の力の前では、貴方の憎悪などシャボン玉のようなものですわ」
フレアの瞳から、笑みが消えた。
残ったのは、冷徹な処刑人の眼差し。
「交渉決裂ね♡」
フレアが人差し指を将軍の眉間に向けた。
ズンッ!!
指先から放たれたのは、髪の毛ほどの細さの、しかし太陽の中心核に匹敵する超高熱の熱線。
水の壁を貫通し、将軍の頭部を一瞬で蒸発させた。
「あ……」
オクトパス将軍の体は、自分が死んだことすら理解できずに、ゆっくりと海底へ沈んでいった。
「全く……。旦那様がいないと張り合いがありませんわ。面倒臭いわぁ」
フレアはつまらなそうに溜息をついた。
その背後では、デュークに殴り殺されかけてるアノマノカリウスが沈み、フェリルの氷狼に殲滅された魔族軍が氷像となって漂っていた。
こうして、シーラン国の危機は、最強種たちの「暇つぶし」によって、わずか数分で解決したのであった。
【海底国家シーラン国・最終防衛ライン】
ズガァァァァァァァン!!
海中とは思えない轟音が響き渡る。
蒼き海竜(リヴァイアサン)と化したリリアーナと、太古の魔獣アノマノカリウスの巨体が激突した衝撃波が、周囲の海水を沸騰させた。
『ハァッ……ハァッ……!』
リリアーナの息が上がる。
彼女の「ハイドロ・ブレス」は強力だが、アノマノカリウスの甲殻は硬く、再生能力も異常だ。
一方、敵の触手による攻撃は、リリアーナの鱗を削り、体力を確実に奪っていく。
「ははは! 見ろ! 女王が押されているぞ!」
後方で指揮を執るタコ型の魔族幹部、オクトパス将軍が高らかに笑った。
「我等の勝利だ! 魚人共を一匹残らず血祭りにあげろ! その血肉を魔王ヴァルス様の復活への糧とするのだ!」
「オオオオオッ!!」
勢いづく魔族軍。魚人兵たちの槍が折られ、防衛結界にヒビが入る。
誰もが終わりを覚悟した。
そう、「彼ら」が来るまでは。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
突如、天井から巨大な質量が降ってきたような、凄まじい衝撃が走った。
海流が乱れ、魔族たちが木の葉のように吹き飛ばされる。
「な!? 何だ!?」
砂煙が晴れた先。
アノマノカリウスの巨大な頭部が、海底の岩盤にめり込んでいた。
その脳天には、黄金のオーラを纏った「拳」が突き刺さっている。
「ぬん。……硬いな。甲殻類か」
悠然と立っていたのは、人の姿に戻った竜王デュークだった。
水の抵抗など存在しないかのような一撃。
「な!? 何!? 貴様は……!?」
魔族幹部が目を剥く。
デュークは幹部を無視し、傷ついたリリアーナへと視線を向けた。
「下がっていろ、リリアーナよ。此奴は我が遊んでやる」
『デ、デューク様!? 何故ここに!?』
リリアーナが驚愕する中、もう一つの影がスッと前に出た。
「はぁ? 何を言ってんの? デューク」
狼王フェリルだ。彼は水の中でも普段と変わらず、退屈そうに耳を掻いた。
「こんな噛み応えありそうなデカイ奴は、僕の獲物だよ。あんたは後ろで見てなよ」
「……何を言っている? フェリルよ」
デュークがこめかみに青筋を浮かべる。
「ここまで貴様らを運んでやったのは誰だ? 背に乗せて飛んだのは我だぞ?」
「むっ……それはそうだけど」
「当然、労力に見合う対価が必要だ。よって、我がこの『美味しい獲物(ボス)』と遊ぶ。貴様らはそこの雑魚と遊んでおれ」
あまりにも理不尽なジャイアニズム。
しかし、ここまで運んでもらった負い目があるフェリルは、唇を尖らせて引き下がった。
「はぁ……。仕方ないな。タクシー代ってことか」
フェリルはくるりと踵を返し、数千匹はいるであろう魔族の大軍を見渡した。
「じゃあ、憂さ晴らしに付き合ってもらおうか」
フェリルの周囲の海水が、一瞬にして凍結した。
パキパキパキパキ……!
無数の氷塊が生まれ、それらは狼の形へと変貌していく。
「行け。奴等を食い散らかせ! 『氷狼牙(フェンリル・ファング)』!!」
ガウッ! ガルルルッ!!
数百体の氷の狼が、魚雷のような速度で射出された。
「ひっ!? なんだこれは!?」
「ギャァァァァァ!!」
氷狼たちは魔族に食らいつくと、その傷口から相手を凍らせていく。
一瞬にして戦況がひっくり返った。
「そ、そんな……馬鹿な……!?」
オクトパス将軍が震え上がる。
その目の前に、ゆらりと赤いドレスの影が降り立った。
深海だというのに、彼女の周囲だけ海水が温かい。
「貴方が指揮官?」
不死鳥フレアが、扇子で口元を隠して微笑んだ。
「ふ、不死鳥……フレア……だと!?」
「えぇ。単刀直入に言いますわ」
フレアは優雅に髪を払った。
「私、無駄な事したく無いのよねぇ。ドレスが汚れるし。だから、今から兵達と尻尾巻いて逃げ出すなら、命までは取らないであげますわ。……どうする?」
慈悲ではない。圧倒的な強者の余裕。
それがオクトパス将軍のプライドを逆撫でした。
「ふ、ふざけるなあああ!? 我を愚弄するか!!」
将軍は八本の腕を突き出し、全魔力を込めた漆黒のエネルギー波を至近距離で放った。
「死ねぇぇぇ!!」
ドォォォン!!
直撃。黒い闇がフレアを飲み込んだ……かに見えた。
ポコポコポコ……
「あら、綺麗な泡」
闇のエネルギー波は、フレアの指先に触れた瞬間、無害なピンク色の「泡」へと変換されていた。
「な……!?」
「私の愛の力の前では、貴方の憎悪などシャボン玉のようなものですわ」
フレアの瞳から、笑みが消えた。
残ったのは、冷徹な処刑人の眼差し。
「交渉決裂ね♡」
フレアが人差し指を将軍の眉間に向けた。
ズンッ!!
指先から放たれたのは、髪の毛ほどの細さの、しかし太陽の中心核に匹敵する超高熱の熱線。
水の壁を貫通し、将軍の頭部を一瞬で蒸発させた。
「あ……」
オクトパス将軍の体は、自分が死んだことすら理解できずに、ゆっくりと海底へ沈んでいった。
「全く……。旦那様がいないと張り合いがありませんわ。面倒臭いわぁ」
フレアはつまらなそうに溜息をついた。
その背後では、デュークに殴り殺されかけてるアノマノカリウスが沈み、フェリルの氷狼に殲滅された魔族軍が氷像となって漂っていた。
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