214 / 251
第四章 新たな秩序
EP 43
しおりを挟む
雷光の剣と、最強夫婦の勝利
【天魔窟・最下層「奈落の玉座」】
物理攻撃には硬化し、魔法攻撃には霧散する。
攻守変幻自在のジェルゴーレムに対し、太郎は戦況を見極め、叫んだ。
「サリー! ライザ! 奴の特性を逆手に取るんだ!」
太郎の声がドームに響く。
「奴は『物理無効(硬化)』の時は動けず、『魔法無効(霧散)』の時は実体がない! ……逆に言えば、硬化している時に魔法を、霧散している時に広範囲物理をぶつければいい! ……いや、もっと単純だ!」
太郎は確信を持って指示を出した。
「逃げ場を奪って、物理と魔法を同時に叩き込めばいい! それが勝ち筋だよ!」
「分かりましたわ! 旦那様の策、信じます!」
サリーが杖を高く掲げた。彼女の瞳が知的な光を宿す。
「貴方のその『重さ』が命取りです! 大地よ、顎(あぎと)を開け! 『流砂地獄(サンド・マジック)』!」
ズズズズズズッ……!!
ジェルゴーレムの足元のタイルが砕け、巨大な蟻地獄のような流砂が発生した。
質量のあるジェルゴーレムは、その重さゆえに一気に膝まで沈み込む。
「グオッ!?」
「逃がしませんわよ! 追撃です! 『水龍の鉄槌(ウォーター・スプレッド)』!!」
サリーの杖から、大量の水流が奔流となって流砂に注ぎ込まれた。
砂は瞬く間に重く粘り気のある「泥沼」へと変化する。
ジェルゴーレムが逃げようと分散を試みるが、泥の粘度と水圧がそれを許さない。
「今だ! ライザ!」
「任せて!」
ライザが大地を蹴った。
その手には、蒼く輝く『竜殺しの魔剣』。
「私の全闘気を注ぐ!」
ライザの体から、黄金色のオーラが噴き出し、剣へと収束していく。物理破壊力を極限まで高めた一撃。
そこへ、サリーが援護の魔法を飛ばした。
「おまけよ! 愛の痺れを受けなさい! 『紫電(サンダー)』!!」
バチバチバチバチッ!!
サリーの放った雷撃が、ライザの魔剣に纏わりついた。
物理最強の剣に、高出力の雷魔法が付与される。
さらに、足元の泥沼は水を含んでいるため、雷の伝導率は最高だ。
「行くぞ! 必殺!」
ライザが跳躍した。
ジェルゴーレムは迫りくる刃に対し、反射的に体を収縮させ、ダイヤモンドよりも硬く「硬質化」して防御態勢を取った。
だが、それこそが狙いだった。
硬化した物質は、衝撃と雷撃をより良く通す!
「剣技!! 『雷光一閃(ライトニング・ブレイク)』!!!!」
ドガガガガガアアアアアアアアンンッ!!!!
閃光が走った。
ライザの電光石火の踏み込み斬りが、ジェルゴーレムの硬化したボディを捉えた。
物理的な切断力が装甲をこじ開け、そこからサリーの雷撃が内部へと侵入し、核を焼き尽くす。
硬いがゆえに衝撃を逃がせず、濡れているがゆえに雷が全身を駆け巡った。
「グ……ガ……アァァァァッ!!」
断末魔と共に、ジェルゴーレムの全身から黒煙が噴き出した。
核を破壊された魔人は、黒焦げの炭素の塊となり、ガラガラと崩れ落ちて消滅した。
静寂が戻る。
「……やったぁぁ!」
サリーが杖を掲げて歓声を上げた。
「よし! 手応えあり!」
ライザも剣を納め、汗をぬぐってガッツポーズをする。
太郎が二人に駆け寄った。
「流石だ、サリー、ライザ。完璧な連携だったよ」
太郎は二人の肩を抱いた。
「やっぱり君たちは、僕の自慢の奥さんだ」
「た、太郎様ぁ♡」
「も、勿体ないお言葉……!」
二人が頬を赤らめて太郎に密着する。
勝利の喜びと愛の重さが心地よい。
その背後で。
未だに服が焦げたままのフレアが、腕を組んでフンと鼻を鳴らした。
「まぁ……まぁまぁですわね」
フレアは煤けた顔で強がった。
「私が体を張って(物理的に)道を作ったお陰ですわ。感謝して頂きたいものです」
「あはは、分かってるよ。フレアが一番の功労者だ」
太郎が苦笑いしてフレアも抱き寄せた。
「ひゃっ!? ……ま、まぁ、旦那様がそう仰るなら、許してあげなくもありませんわ」
こうして、世界最難関ダンジョン『天魔窟』は、太郎一家の絆(とフレアの犠牲)によって完全攻略されたのであった。
【天魔窟・最下層「奈落の玉座」】
物理攻撃には硬化し、魔法攻撃には霧散する。
攻守変幻自在のジェルゴーレムに対し、太郎は戦況を見極め、叫んだ。
「サリー! ライザ! 奴の特性を逆手に取るんだ!」
太郎の声がドームに響く。
「奴は『物理無効(硬化)』の時は動けず、『魔法無効(霧散)』の時は実体がない! ……逆に言えば、硬化している時に魔法を、霧散している時に広範囲物理をぶつければいい! ……いや、もっと単純だ!」
太郎は確信を持って指示を出した。
「逃げ場を奪って、物理と魔法を同時に叩き込めばいい! それが勝ち筋だよ!」
「分かりましたわ! 旦那様の策、信じます!」
サリーが杖を高く掲げた。彼女の瞳が知的な光を宿す。
「貴方のその『重さ』が命取りです! 大地よ、顎(あぎと)を開け! 『流砂地獄(サンド・マジック)』!」
ズズズズズズッ……!!
ジェルゴーレムの足元のタイルが砕け、巨大な蟻地獄のような流砂が発生した。
質量のあるジェルゴーレムは、その重さゆえに一気に膝まで沈み込む。
「グオッ!?」
「逃がしませんわよ! 追撃です! 『水龍の鉄槌(ウォーター・スプレッド)』!!」
サリーの杖から、大量の水流が奔流となって流砂に注ぎ込まれた。
砂は瞬く間に重く粘り気のある「泥沼」へと変化する。
ジェルゴーレムが逃げようと分散を試みるが、泥の粘度と水圧がそれを許さない。
「今だ! ライザ!」
「任せて!」
ライザが大地を蹴った。
その手には、蒼く輝く『竜殺しの魔剣』。
「私の全闘気を注ぐ!」
ライザの体から、黄金色のオーラが噴き出し、剣へと収束していく。物理破壊力を極限まで高めた一撃。
そこへ、サリーが援護の魔法を飛ばした。
「おまけよ! 愛の痺れを受けなさい! 『紫電(サンダー)』!!」
バチバチバチバチッ!!
サリーの放った雷撃が、ライザの魔剣に纏わりついた。
物理最強の剣に、高出力の雷魔法が付与される。
さらに、足元の泥沼は水を含んでいるため、雷の伝導率は最高だ。
「行くぞ! 必殺!」
ライザが跳躍した。
ジェルゴーレムは迫りくる刃に対し、反射的に体を収縮させ、ダイヤモンドよりも硬く「硬質化」して防御態勢を取った。
だが、それこそが狙いだった。
硬化した物質は、衝撃と雷撃をより良く通す!
「剣技!! 『雷光一閃(ライトニング・ブレイク)』!!!!」
ドガガガガガアアアアアアアアンンッ!!!!
閃光が走った。
ライザの電光石火の踏み込み斬りが、ジェルゴーレムの硬化したボディを捉えた。
物理的な切断力が装甲をこじ開け、そこからサリーの雷撃が内部へと侵入し、核を焼き尽くす。
硬いがゆえに衝撃を逃がせず、濡れているがゆえに雷が全身を駆け巡った。
「グ……ガ……アァァァァッ!!」
断末魔と共に、ジェルゴーレムの全身から黒煙が噴き出した。
核を破壊された魔人は、黒焦げの炭素の塊となり、ガラガラと崩れ落ちて消滅した。
静寂が戻る。
「……やったぁぁ!」
サリーが杖を掲げて歓声を上げた。
「よし! 手応えあり!」
ライザも剣を納め、汗をぬぐってガッツポーズをする。
太郎が二人に駆け寄った。
「流石だ、サリー、ライザ。完璧な連携だったよ」
太郎は二人の肩を抱いた。
「やっぱり君たちは、僕の自慢の奥さんだ」
「た、太郎様ぁ♡」
「も、勿体ないお言葉……!」
二人が頬を赤らめて太郎に密着する。
勝利の喜びと愛の重さが心地よい。
その背後で。
未だに服が焦げたままのフレアが、腕を組んでフンと鼻を鳴らした。
「まぁ……まぁまぁですわね」
フレアは煤けた顔で強がった。
「私が体を張って(物理的に)道を作ったお陰ですわ。感謝して頂きたいものです」
「あはは、分かってるよ。フレアが一番の功労者だ」
太郎が苦笑いしてフレアも抱き寄せた。
「ひゃっ!? ……ま、まぁ、旦那様がそう仰るなら、許してあげなくもありませんわ」
こうして、世界最難関ダンジョン『天魔窟』は、太郎一家の絆(とフレアの犠牲)によって完全攻略されたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari@七柚カリン
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~
荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。
それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。
「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」
『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。
しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。
家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。
メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。
努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。
『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
※別サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる