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EP 38
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芋スナ卒業、ピンクの戦車と突撃スナイパー
ガルドフの店から車を走らせること数十分。郊外の小高い丘の上に、問題の第3倉庫が見えてきた。
石造りの頑丈な建物だが、入り口の扉は破壊され、周囲には赤黒い体毛と燃えるような瞳を持つ魔犬『ガルム』の群れが徘徊している。その数、ざっと見ても30匹以上。
英一は丘の上に『ラビット・グランドマスター』を停車させ、静かにM24スナイパーライフルを取り出した。
「さぁ、英一さんの出番ですわ」
マイユがゴクリと唾を飲む。
隣には、興味津々で目を輝かせているエルフの魔工師、メルセスがいる。
(メルセスさんが居るけど……仕方ないか。この状況で隠し通せるわけがないし、彼女なら技術の重みを理解してくれるはず)
マイユは腹を括った。
「じゃあ、俺が狙撃で数を減らす。……混乱に乗じて突っ込むぞ」
「了解だ! 後は任せな!」
ラウスが車体後部のハッチを開け、屋根の上に設置された旋回砲塔『キャロット・バスター(ニンジン砲)』の座席に乗り込んだ。
「じゃあ、お願い! 英一さん!」
英一は地面に伏せ、バイポッド(二脚)を展開して銃を構えた。
冷たい金属の感触。慣れ親しんだスコープの視界。
「な、何それ……?」
メルセスが声を震わせた。
彼女の魔眼をもってしても、その黒く長い筒からは、一切の魔力が感じられない。
「魔砲じゃ……ないわね? 魔石はどこ? どうやって魔力を充填するの?」
「メルセスさん、落ち着いて。質問は後で受け付けますから! 今は見ていて!」
マイユがメルセスを制する。
英一は周囲の雑音をシャットアウトし、呼吸を整えた。
スコープの中心に、倉庫の入り口で見張りをしている、一際大きなボス格のガルムを捉える。
距離400メートル。風、ほぼ無し。
「……チェックメイト」
英一が引き金を引いた。
――ドンッ!!
乾いた破裂音が丘に響いた。
魔砲のような轟音も、派手な閃光もない。
だが、次の瞬間。
「ギャンッ!?」
スコープの向こうで、ボスガルムの頭部がザクロのように弾け飛んだ。
「えっ……!?」
メルセスが息を呑む。
着弾の瞬間、魔力の爆発はなかった。純粋な運動エネルギーだけの破壊。それが何を意味するのか、技術屋の彼女には理解できてしまった。
「グルルルッ!?」「ワンッ!?」
突然、リーダーが音もなく(彼らにとっては)死んだことに、残されたガルム達はパニックに陥った。右往左往し、見えない敵を探して吠え立てる。
それを見た英一は、スッと立ち上がった。
「チッ……。やっぱり『芋スナ(芋虫スナイパー)』はつまらないぜ」
FPSプレイヤーの血が騒ぐ。安全圏から一方的に撃つだけでは、物足りない。
「えっ? 英一さん!?」
英一はライフルを抱え、丘を駆け下り始めた。
走りながらスコープを覗き、移動する標的を次々と捉えていく。
ドンッ! ガンッ! ドンッ!
一発撃つごとに、確実に一匹のガルムが沈黙する。神業のようなクイック・スコープ。
「全く! あの人はいつもこうなんだから! ……行くわよラウスさん!」
マイユは呆れつつも、愛車のエンジンを吹かした。
ドォォォォォン!!
ピンク色の悪魔が、土煙を上げて急発進する。
「オラオラオラァッ!! 野菜の時間だぜぇッ!!」
砲塔のラウスが叫び、トリガーを引く。
ズドォォォォン!!
巨大なニンジンの砲口から、ピンク色の魔力弾が発射された。
着弾と同時に爆発し、密集していたガルムの群れをまとめて吹き飛ばす。
「ちょっ、何よこれ!? 面白そうじゃないの~!」
そのカオスな光景に、メルセスの技術屋魂(という名の破壊衝動)が火を噴いた。
「私もやるわよ~!」
彼女は懐から、真鍮と水晶でできた無骨な『携帯魔砲』を取り出した。
「喰らいなさい! メルセス式・魔力ブラスターッ!!」
ヒュドォォォン!!
青白い極太のレーザーが放たれ、一直線にガルムを焼き払っていく。
狙撃銃を持った突撃兵、ニンジンを撃ちまくるピンクの装甲車、そしてレーザーをぶっ放すエルフ。
地獄の番犬ガルムたちにとって、それは悪夢のような蹂躙劇の始まりだった。
ガルドフの店から車を走らせること数十分。郊外の小高い丘の上に、問題の第3倉庫が見えてきた。
石造りの頑丈な建物だが、入り口の扉は破壊され、周囲には赤黒い体毛と燃えるような瞳を持つ魔犬『ガルム』の群れが徘徊している。その数、ざっと見ても30匹以上。
英一は丘の上に『ラビット・グランドマスター』を停車させ、静かにM24スナイパーライフルを取り出した。
「さぁ、英一さんの出番ですわ」
マイユがゴクリと唾を飲む。
隣には、興味津々で目を輝かせているエルフの魔工師、メルセスがいる。
(メルセスさんが居るけど……仕方ないか。この状況で隠し通せるわけがないし、彼女なら技術の重みを理解してくれるはず)
マイユは腹を括った。
「じゃあ、俺が狙撃で数を減らす。……混乱に乗じて突っ込むぞ」
「了解だ! 後は任せな!」
ラウスが車体後部のハッチを開け、屋根の上に設置された旋回砲塔『キャロット・バスター(ニンジン砲)』の座席に乗り込んだ。
「じゃあ、お願い! 英一さん!」
英一は地面に伏せ、バイポッド(二脚)を展開して銃を構えた。
冷たい金属の感触。慣れ親しんだスコープの視界。
「な、何それ……?」
メルセスが声を震わせた。
彼女の魔眼をもってしても、その黒く長い筒からは、一切の魔力が感じられない。
「魔砲じゃ……ないわね? 魔石はどこ? どうやって魔力を充填するの?」
「メルセスさん、落ち着いて。質問は後で受け付けますから! 今は見ていて!」
マイユがメルセスを制する。
英一は周囲の雑音をシャットアウトし、呼吸を整えた。
スコープの中心に、倉庫の入り口で見張りをしている、一際大きなボス格のガルムを捉える。
距離400メートル。風、ほぼ無し。
「……チェックメイト」
英一が引き金を引いた。
――ドンッ!!
乾いた破裂音が丘に響いた。
魔砲のような轟音も、派手な閃光もない。
だが、次の瞬間。
「ギャンッ!?」
スコープの向こうで、ボスガルムの頭部がザクロのように弾け飛んだ。
「えっ……!?」
メルセスが息を呑む。
着弾の瞬間、魔力の爆発はなかった。純粋な運動エネルギーだけの破壊。それが何を意味するのか、技術屋の彼女には理解できてしまった。
「グルルルッ!?」「ワンッ!?」
突然、リーダーが音もなく(彼らにとっては)死んだことに、残されたガルム達はパニックに陥った。右往左往し、見えない敵を探して吠え立てる。
それを見た英一は、スッと立ち上がった。
「チッ……。やっぱり『芋スナ(芋虫スナイパー)』はつまらないぜ」
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「えっ? 英一さん!?」
英一はライフルを抱え、丘を駆け下り始めた。
走りながらスコープを覗き、移動する標的を次々と捉えていく。
ドンッ! ガンッ! ドンッ!
一発撃つごとに、確実に一匹のガルムが沈黙する。神業のようなクイック・スコープ。
「全く! あの人はいつもこうなんだから! ……行くわよラウスさん!」
マイユは呆れつつも、愛車のエンジンを吹かした。
ドォォォォォン!!
ピンク色の悪魔が、土煙を上げて急発進する。
「オラオラオラァッ!! 野菜の時間だぜぇッ!!」
砲塔のラウスが叫び、トリガーを引く。
ズドォォォォン!!
巨大なニンジンの砲口から、ピンク色の魔力弾が発射された。
着弾と同時に爆発し、密集していたガルムの群れをまとめて吹き飛ばす。
「ちょっ、何よこれ!? 面白そうじゃないの~!」
そのカオスな光景に、メルセスの技術屋魂(という名の破壊衝動)が火を噴いた。
「私もやるわよ~!」
彼女は懐から、真鍮と水晶でできた無骨な『携帯魔砲』を取り出した。
「喰らいなさい! メルセス式・魔力ブラスターッ!!」
ヒュドォォォン!!
青白い極太のレーザーが放たれ、一直線にガルムを焼き払っていく。
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