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EP 39
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地獄の番犬と、三連の銃声
丘の上からの一方的な狙撃と、ニンジン砲&レーザーの蹂躙により、倉庫前の広場は静寂を取り戻しつつあった。
30匹以上いたガルムの群れは、いまや動くものがいなくなり、累々と死骸を晒している。
「ふぅ……制圧完了か?」
英一がスコープから目を離し、安堵のため息をつこうとした、その時だった。
「グルル……」
死骸の山の中で、ただ一匹、瀕死の重傷を負いながらも息のあるガルムが立ち上がった。
逃げるのか? 英一がそう思った瞬間、信じがたい光景が展開された。
ズブブブッ……!
そのガルムの体が赤黒い粘液のように溶け出し、周囲に転がる同胞の死骸を飲み込み始めたのだ。
肉が混ざり合い、骨が軋む不快な音が響く。
「な、なんなの? あれ……!?」
モニター越しにその光景を見ていたマイユが悲鳴を上げる。
融合した肉塊は急速に膨れ上がり、通常のガルムの三倍以上の巨体へと変貌していく。
そして、その首元から、新たに二つの頭が生え出した。
「三つの頭……!? まさか、ケルベロスじゃないのか? あれ!?」
ラウスが叫ぶ。
ガルムの上位種にして、冥界の門番の名を持つ魔獣『ケルベロス』。
死した同胞の怨念と魔力を吸収し、最悪の形で進化(変異)を遂げたのだ。
「グオォォォォォッ!!」
三つの頭が一斉に咆哮する。
その瞳は英一ではなく、最も多くの同胞を殺戮したピンク色の鉄塊――『ラビット・グランドマスター』に向けられた。
ドォォォン!!
爆発的な加速。巨体が砲弾のように突っ込む。
「しまっ――!?」
マイユがハンドルを切る暇もなかった。
数トンの重量があるはずの装甲車が、ケルベロスの強烈な体当たりを受け、玩具のように宙を舞った。
ガシャァァァン!!
ラビット号が横転し、地面を削りながら停止する。
「きゃああああ!!」
「うぉぉっ!?」
「いった~い!!」
車内から悲鳴が上がる。
頑丈な装甲のおかげで潰れこそしなかったが、中の三人は衝撃で動けないはずだ。
「マイユ! ラウス! メルセス!」
英一の血の気が引く。
仲間が危ない。
ケルベロスは横転した車に歩み寄り、トドメを刺そうと大きく口を開けた。その喉奥で灼熱の炎が渦巻く。
させるか。
英一はM24を構え、走りながらスコープを覗いた。
狙うは中央の頭部。
「させねぇよ!!」
――ドンッ!!
発砲。
必殺のタイミング。
だが。
フッ……!
ケルベロスは、銃声が響くコンマ数秒前に首を傾けた。
弾丸は虚しく空を切り、後ろの地面を抉る。
「……避けた!?」
英一が目を見開く。
ケルベロスは三つの頭で英一を睨み、ニタリと笑ったように見えた。
「死んだガルムから学習したってわけか……!」
さっきまで仲間が次々と「見えない攻撃(狙撃)」で頭を吹き飛ばされた音とタイミング。
それを統合し、回避行動をとったのだ。野性の勘か、集合知か。
ケルベロスは車への攻撃を中断し、最大の脅威である英一へとターゲットを変更した。
ゆっくりと、しかし圧倒的な殺気を放ちながら、英一の前に立ちはだかる。
距離、10メートル。
スナイパーライフルでは対応できない距離だ。
ボルトアクションの次弾装填は間に合わない。
「グルルルゥ……」
「……こいよ」
英一はM24を地面に捨てた。
丸腰になった人間に、ケルベロスは勝利を確信し、三つの口から同時に業火を吐き出した。
ゴォォォォォッ!!
赤蓮の炎が英一を包み込む――寸前。
英一は前方へ飛び込んだ。
炎の下を潜り抜けるような、決死の前転(コンバットロール)。
地面を転がりながら、懐へ。
熱波が背中を焦がすが、関係ない。
回転の勢いを利用して起き上がりざま、英一の右手は胸元のホルスターから『SIG P226』を抜き放っていた。
「食らえッ!!」
ケルベロスの懐、ゼロ距離。
三つの頭が驚愕に見開かれる。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!!
乾いた三連射。
神速のハンドガン捌き。
9mmパラベラム弾が、右、左、そして中央の頭部の眉間を、正確無比に撃ち抜いた。
「ギャ……ッ!?」
断末魔を上げる暇もなかった。
三つの脳を同時に破壊された魔獣は、糸が切れた人形のように崩れ落ち、ズシンと重い音を立てて沈黙した。
「ふぅ……」
英一は銃口から立ち上る硝煙を払い、荒い息を吐いた。
FPSで鍛えた近接射撃(CQC)が、異世界の魔獣を凌駕した瞬間だった。
丘の上からの一方的な狙撃と、ニンジン砲&レーザーの蹂躙により、倉庫前の広場は静寂を取り戻しつつあった。
30匹以上いたガルムの群れは、いまや動くものがいなくなり、累々と死骸を晒している。
「ふぅ……制圧完了か?」
英一がスコープから目を離し、安堵のため息をつこうとした、その時だった。
「グルル……」
死骸の山の中で、ただ一匹、瀕死の重傷を負いながらも息のあるガルムが立ち上がった。
逃げるのか? 英一がそう思った瞬間、信じがたい光景が展開された。
ズブブブッ……!
そのガルムの体が赤黒い粘液のように溶け出し、周囲に転がる同胞の死骸を飲み込み始めたのだ。
肉が混ざり合い、骨が軋む不快な音が響く。
「な、なんなの? あれ……!?」
モニター越しにその光景を見ていたマイユが悲鳴を上げる。
融合した肉塊は急速に膨れ上がり、通常のガルムの三倍以上の巨体へと変貌していく。
そして、その首元から、新たに二つの頭が生え出した。
「三つの頭……!? まさか、ケルベロスじゃないのか? あれ!?」
ラウスが叫ぶ。
ガルムの上位種にして、冥界の門番の名を持つ魔獣『ケルベロス』。
死した同胞の怨念と魔力を吸収し、最悪の形で進化(変異)を遂げたのだ。
「グオォォォォォッ!!」
三つの頭が一斉に咆哮する。
その瞳は英一ではなく、最も多くの同胞を殺戮したピンク色の鉄塊――『ラビット・グランドマスター』に向けられた。
ドォォォン!!
爆発的な加速。巨体が砲弾のように突っ込む。
「しまっ――!?」
マイユがハンドルを切る暇もなかった。
数トンの重量があるはずの装甲車が、ケルベロスの強烈な体当たりを受け、玩具のように宙を舞った。
ガシャァァァン!!
ラビット号が横転し、地面を削りながら停止する。
「きゃああああ!!」
「うぉぉっ!?」
「いった~い!!」
車内から悲鳴が上がる。
頑丈な装甲のおかげで潰れこそしなかったが、中の三人は衝撃で動けないはずだ。
「マイユ! ラウス! メルセス!」
英一の血の気が引く。
仲間が危ない。
ケルベロスは横転した車に歩み寄り、トドメを刺そうと大きく口を開けた。その喉奥で灼熱の炎が渦巻く。
させるか。
英一はM24を構え、走りながらスコープを覗いた。
狙うは中央の頭部。
「させねぇよ!!」
――ドンッ!!
発砲。
必殺のタイミング。
だが。
フッ……!
ケルベロスは、銃声が響くコンマ数秒前に首を傾けた。
弾丸は虚しく空を切り、後ろの地面を抉る。
「……避けた!?」
英一が目を見開く。
ケルベロスは三つの頭で英一を睨み、ニタリと笑ったように見えた。
「死んだガルムから学習したってわけか……!」
さっきまで仲間が次々と「見えない攻撃(狙撃)」で頭を吹き飛ばされた音とタイミング。
それを統合し、回避行動をとったのだ。野性の勘か、集合知か。
ケルベロスは車への攻撃を中断し、最大の脅威である英一へとターゲットを変更した。
ゆっくりと、しかし圧倒的な殺気を放ちながら、英一の前に立ちはだかる。
距離、10メートル。
スナイパーライフルでは対応できない距離だ。
ボルトアクションの次弾装填は間に合わない。
「グルルルゥ……」
「……こいよ」
英一はM24を地面に捨てた。
丸腰になった人間に、ケルベロスは勝利を確信し、三つの口から同時に業火を吐き出した。
ゴォォォォォッ!!
赤蓮の炎が英一を包み込む――寸前。
英一は前方へ飛び込んだ。
炎の下を潜り抜けるような、決死の前転(コンバットロール)。
地面を転がりながら、懐へ。
熱波が背中を焦がすが、関係ない。
回転の勢いを利用して起き上がりざま、英一の右手は胸元のホルスターから『SIG P226』を抜き放っていた。
「食らえッ!!」
ケルベロスの懐、ゼロ距離。
三つの頭が驚愕に見開かれる。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!!
乾いた三連射。
神速のハンドガン捌き。
9mmパラベラム弾が、右、左、そして中央の頭部の眉間を、正確無比に撃ち抜いた。
「ギャ……ッ!?」
断末魔を上げる暇もなかった。
三つの脳を同時に破壊された魔獣は、糸が切れた人形のように崩れ落ち、ズシンと重い音を立てて沈黙した。
「ふぅ……」
英一は銃口から立ち上る硝煙を払い、荒い息を吐いた。
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