12 / 28
アムス草原の死戦 ~前編~
しおりを挟む
晩餐会から数日後の朝、一台の馬車がアムネリス王国を発った。
その馬車は、件の林道を抜け、丘をも越えてアムス草原へと辿り着いた。
「な、なんじゃ。こりゃぁ~。酷い有り様じゃ・・・。」
「どうなさったんです?ギムさん。」
「あいや~、姫様。戦の痕です。ここで争った形跡があるんですわ。」
「戦?」
草原の至る箇所には焼け焦げたような痕跡。そして、地面に深々と刺さる武器の数々。
だが、不自然な点が一つ・・・。
「ブレア・・・。」
「ジュナ様は馬車の中に居て下さい。拙者が様子を見ましょう。」
「隊長、我々も。」
「貴殿らは馬車の護衛を。」
「っは!」
騎士3名が草原に降り立ち、その戦場の異様さに直ぐに気付く。
「隊長・・・。」
「遺体が無い・・・だと。」
ここが戦場痕ならば、普通は遺体があっても不自然ではない。
しかし、見渡す限りの平原にそれらしき影は見つからなかった。
異変はそれだけではない。
「隊長、広範囲で派手に争った様にも思えますが・・・。」
「その割には、その痕跡が少ないな。」
草原のあちらこちらに武器や盾と言った者が落ちているが、その数は散発的で
大部隊が居たような痕跡ではないのだ。
「ナイル卿、急ぎ城に戻り、この事を国王に報告して欲しい。」
「し、しかし。それでは姫の警備が手薄に・・・。」
「だが、この状況。下手をすれば一刻を争う事になるかも知れん。」
「それは・・・どういう?」
「ナイル卿。私の事は構いません。彼の指示通りにしていただいて大丈夫ですわ。」
「ですが・・・。」
騎士は状況が全く読めず、混乱している。
その横で、怖い程に冷静に草原を見据えるブレア。
何かを感じているに違いない。
「とにかく、この惨状は国王に報告せねばなりません。行ってください。」
「しょ、承知しました!」
騎士が走り、姿が見えなくなる頃、草原には生暖かい風が吹いた。
まるで、手招きするかの如く・・・。
「先に進みましょう。ジュナ様。」
「この先に、小さな集落があります。そこで宿を取られてはいかがでしょう?姫様。」
「ありがとう、ギムさん。そうするわ。」
「隊長、あの戦場痕はもしや・・・。」
「言うな。まだはっきりとはしていない。」
「ですが・・・。」
「その為、ナイル卿には戻ってもらったのだ。国王なら何とかしてくれよう。」
「ちょっと!二人で何の話よ!私にもわかる様に説明して頂戴!」
「お話出来る事はございません。」
「な!・・・貴方!私のお世話役でしょ!?姫の命令よ!話しなさい!」
「真実がはっきりしない内に話す事ではございません。」
「きぃぃ~!この堅物ぅ!」
「何と仰られても、話せません。」
「はっはっは。お二人は仲が宜しゅうございますなぁ~。」
「ギムさん!コレの何処が仲が良いの!」
「失礼、姫様。しかし、主たる者どしっと構え浮足立つものではありませんぞ。」
「ぶぅ~、私だけ除け者みたいじゃない。」
「はっはっは。もっと多くを学ばれればそんな感覚もどこ吹く風でございましょう。」
「分かったわ。もう何も聞かないからはっきりしたことが分かったら教えてよ?」
「仰せのままに。」
こうして、馬車は集落を目指し、進むのであった。
その馬車は、件の林道を抜け、丘をも越えてアムス草原へと辿り着いた。
「な、なんじゃ。こりゃぁ~。酷い有り様じゃ・・・。」
「どうなさったんです?ギムさん。」
「あいや~、姫様。戦の痕です。ここで争った形跡があるんですわ。」
「戦?」
草原の至る箇所には焼け焦げたような痕跡。そして、地面に深々と刺さる武器の数々。
だが、不自然な点が一つ・・・。
「ブレア・・・。」
「ジュナ様は馬車の中に居て下さい。拙者が様子を見ましょう。」
「隊長、我々も。」
「貴殿らは馬車の護衛を。」
「っは!」
騎士3名が草原に降り立ち、その戦場の異様さに直ぐに気付く。
「隊長・・・。」
「遺体が無い・・・だと。」
ここが戦場痕ならば、普通は遺体があっても不自然ではない。
しかし、見渡す限りの平原にそれらしき影は見つからなかった。
異変はそれだけではない。
「隊長、広範囲で派手に争った様にも思えますが・・・。」
「その割には、その痕跡が少ないな。」
草原のあちらこちらに武器や盾と言った者が落ちているが、その数は散発的で
大部隊が居たような痕跡ではないのだ。
「ナイル卿、急ぎ城に戻り、この事を国王に報告して欲しい。」
「し、しかし。それでは姫の警備が手薄に・・・。」
「だが、この状況。下手をすれば一刻を争う事になるかも知れん。」
「それは・・・どういう?」
「ナイル卿。私の事は構いません。彼の指示通りにしていただいて大丈夫ですわ。」
「ですが・・・。」
騎士は状況が全く読めず、混乱している。
その横で、怖い程に冷静に草原を見据えるブレア。
何かを感じているに違いない。
「とにかく、この惨状は国王に報告せねばなりません。行ってください。」
「しょ、承知しました!」
騎士が走り、姿が見えなくなる頃、草原には生暖かい風が吹いた。
まるで、手招きするかの如く・・・。
「先に進みましょう。ジュナ様。」
「この先に、小さな集落があります。そこで宿を取られてはいかがでしょう?姫様。」
「ありがとう、ギムさん。そうするわ。」
「隊長、あの戦場痕はもしや・・・。」
「言うな。まだはっきりとはしていない。」
「ですが・・・。」
「その為、ナイル卿には戻ってもらったのだ。国王なら何とかしてくれよう。」
「ちょっと!二人で何の話よ!私にもわかる様に説明して頂戴!」
「お話出来る事はございません。」
「な!・・・貴方!私のお世話役でしょ!?姫の命令よ!話しなさい!」
「真実がはっきりしない内に話す事ではございません。」
「きぃぃ~!この堅物ぅ!」
「何と仰られても、話せません。」
「はっはっは。お二人は仲が宜しゅうございますなぁ~。」
「ギムさん!コレの何処が仲が良いの!」
「失礼、姫様。しかし、主たる者どしっと構え浮足立つものではありませんぞ。」
「ぶぅ~、私だけ除け者みたいじゃない。」
「はっはっは。もっと多くを学ばれればそんな感覚もどこ吹く風でございましょう。」
「分かったわ。もう何も聞かないからはっきりしたことが分かったら教えてよ?」
「仰せのままに。」
こうして、馬車は集落を目指し、進むのであった。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる