26 / 28
心焦
しおりを挟む
黒くくすんだ草原で、ブレアはある魔物と対峙し互いに牽制の中にあった。
「・・・風格が違う。お前が群れの将とみて間違いないな。」
「ニンゲン、ジャマヲスレバイノチハナイ。」
「驚いた。人の言葉をも操る知性。ガーゴイルの中でも上位種だな。」
「ドウホウヲキリステタウラミ、ユルサン。」
「人質は何処だ。」
「シスモノニカタルシタナドモッテハイナイ。」
「そうか・・・。それは済まなかったな。」
焦げた風が鼻を突く。同時に煙が横から流れ少しの間互いの姿を隠す。
下手に動けば先手を取られるだろう。だが、動かなければジュナの居場所を探す事も出来ない。
考える余地もなく、煙の中から矢が飛んでくる。
その矢を居合で切り落とし、刃をしたに構えたまま走る。
煙を抜け、横一閃。その先に魔物は居なかった。
「!」
「ヒヒヒ」
状況を飲み込むより先に、上空から矢が降り注ぐ。
その矢は、ブレアの肩を捉える。二本の矢が右肩に刺さり
その痛みで刀を落とした。
「トドメダ!ニンゲン!!」
上空より滑空するガーゴイルはまるでミサイルそのものだ。
眼前に槍を構えたまま、弱った得物へと突撃してくる。
刹那
ガーゴイルは自分の身に起きた事を理解できなかった。
空から降下した次の瞬間、自身の体は地に伏せ、ターゲットにした人間が馬乗りになっているのだ。
「ナンダ!?ナニヲシタ!!」
「ただの戦闘技術だよ。・・・さぁ、吐け。人質は何処だ?」
「クケッ・・・!」
ガーゴイルは、自分の上に跨る人間に恐怖を覚えた。
無理もない。
その人間の眼はまるで夜叉だ。人の皮を被ったバケモノだ。
化物である自分が目の前の一人の人間を、しかも弱っている得物を
一瞬でひっくり返った認識にガーゴイルは混乱していた。
「ヤ、ヤメロ!ハナセ!ハナセェ!!」
「黙れ・・・。さっさと答えろ。人質は何処だ。次はないぞ。」
「・・・アビレム洞穴・・・・ダガモウ・・・オソイ!」
「そうかい。ありがとうな。」
首元に当てられた鞘に力を入れると、鈍い音が響く。
「戦況は王国側に有利だ。このまま洞穴に向かうか。」
この時、ブレアはその洞穴がどういう物かをまだ知らなかった。
だが、ガーゴイルの言葉を聞き、戦況を見つつどうするかを迷ったのだ。
ここに来て、未だにブレアの真意は固まっていない。
自分が何を守り、何を尽くすのか。
だが、その度に脳裏に横切るのは、若の顔であった。
「・・・若。我々が無力なばかりに・・・御傍に仕える事も出来ず・・・。」
そして、同時に浮かぶのは、ジュナの顔でもあった。
若とジュナ。経緯や状況は違えど、この二人はどこか似ている。
それ故、若に出来なかった分の忠義を果たそうというのか?
否、そんな陳腐なモノじゃないはずだ。
ブレアは、急いで馬に跨り草原を駆ける。
「・・・風格が違う。お前が群れの将とみて間違いないな。」
「ニンゲン、ジャマヲスレバイノチハナイ。」
「驚いた。人の言葉をも操る知性。ガーゴイルの中でも上位種だな。」
「ドウホウヲキリステタウラミ、ユルサン。」
「人質は何処だ。」
「シスモノニカタルシタナドモッテハイナイ。」
「そうか・・・。それは済まなかったな。」
焦げた風が鼻を突く。同時に煙が横から流れ少しの間互いの姿を隠す。
下手に動けば先手を取られるだろう。だが、動かなければジュナの居場所を探す事も出来ない。
考える余地もなく、煙の中から矢が飛んでくる。
その矢を居合で切り落とし、刃をしたに構えたまま走る。
煙を抜け、横一閃。その先に魔物は居なかった。
「!」
「ヒヒヒ」
状況を飲み込むより先に、上空から矢が降り注ぐ。
その矢は、ブレアの肩を捉える。二本の矢が右肩に刺さり
その痛みで刀を落とした。
「トドメダ!ニンゲン!!」
上空より滑空するガーゴイルはまるでミサイルそのものだ。
眼前に槍を構えたまま、弱った得物へと突撃してくる。
刹那
ガーゴイルは自分の身に起きた事を理解できなかった。
空から降下した次の瞬間、自身の体は地に伏せ、ターゲットにした人間が馬乗りになっているのだ。
「ナンダ!?ナニヲシタ!!」
「ただの戦闘技術だよ。・・・さぁ、吐け。人質は何処だ?」
「クケッ・・・!」
ガーゴイルは、自分の上に跨る人間に恐怖を覚えた。
無理もない。
その人間の眼はまるで夜叉だ。人の皮を被ったバケモノだ。
化物である自分が目の前の一人の人間を、しかも弱っている得物を
一瞬でひっくり返った認識にガーゴイルは混乱していた。
「ヤ、ヤメロ!ハナセ!ハナセェ!!」
「黙れ・・・。さっさと答えろ。人質は何処だ。次はないぞ。」
「・・・アビレム洞穴・・・・ダガモウ・・・オソイ!」
「そうかい。ありがとうな。」
首元に当てられた鞘に力を入れると、鈍い音が響く。
「戦況は王国側に有利だ。このまま洞穴に向かうか。」
この時、ブレアはその洞穴がどういう物かをまだ知らなかった。
だが、ガーゴイルの言葉を聞き、戦況を見つつどうするかを迷ったのだ。
ここに来て、未だにブレアの真意は固まっていない。
自分が何を守り、何を尽くすのか。
だが、その度に脳裏に横切るのは、若の顔であった。
「・・・若。我々が無力なばかりに・・・御傍に仕える事も出来ず・・・。」
そして、同時に浮かぶのは、ジュナの顔でもあった。
若とジュナ。経緯や状況は違えど、この二人はどこか似ている。
それ故、若に出来なかった分の忠義を果たそうというのか?
否、そんな陳腐なモノじゃないはずだ。
ブレアは、急いで馬に跨り草原を駆ける。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる