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「淡姫さん」の話
悪夢の達磨 2
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私が彼女に体調の変化を聞くより先に
彼女はその場に倒れる様にうずくまった。
幸か不幸か
彼女と話していたのは会場の隅。
良くも悪くも人目には付いておらず、それが返って私をパニックにさせた。
「え?ちょ・・・ちょっと?大丈夫なんですか?ねぇ!?」
彼女に手を貸し、肩に添えた手から分かる。
「か、軽いし・・・なんだ、これ・・・。」
彼女の身体は、摂食障害でも患っていたのかと思えるほど
瘦せ細り、とても成人女性の体重とは思えなかった。
ひと先ずは、イベントの係員に事情を説明し
彼女を会場の外まで連れ出し、休ませることにした。
会場近くにあった公園のベンチで
彼女を座らせ、自販機で二人分の飲み物を手に戻る。
未だ、ぐったりとする彼女を見て
私は不思議と意識が遠くなっていくのを感じた。
否、遠くなるというよりも
幽体離脱の様な・・・自分を含むこの状況を少し離れた位置から俯瞰しているような・・・。
終始無言で向かい合う二人の人間を
その後ろから眺めている様な・・・。そんな感覚。
その時だった。
男の老人の様な声で「欲しい・・・欲しい・・・。」と
何かに追い縋るような声が、私の耳元で聞こえた・・・。
期せずして、私はその声で我に返った。
当然、周囲を見渡しても老人など居ない。
足元に違和感を覚えた私は自分の足に視線を落とす。
そこには、私の足元を這い擦る様に纏わり付く彼女の姿だった。
「な、何してるの!」
私は彼女を引き剝がし、ベンチへと座らせた。
細い体に似付かわしくない腕力で、しがみ付いてくる彼女は一種の「恐怖」だった。
そして、私の耳に届いていた老人の声が彼女から発せられていた事も
恐怖を煽るには十分すぎる状況だった。
ベンチに座っても尚、「欲しい、欲しい」とこちらに向かって手を伸ばす彼女に
私はとうとう、一発の平手打ちをしてしまった。
そこで、彼女の眼にも光が戻る。
「・・・へ?」
「ごめんなさい。でもこうでもしないと止まらないと思って。」
謝罪の後、今起きた出来事について説明をした。
その説明の中、私は一つの可能性を感じていた。
「この人、達磨とは別の『何か』を連れてるんじゃないか?」という可能性。
もし、彼女が達磨の呪いに苦しめられているのであったなら
きっと達磨は彼女の元から消える事は無かったはずだ。
恐らく、達磨は彼女が連れている『何か』を嫌がって「逃げ出した」のではないか?
そして、その「何か」は
執念とも呼べる欲で、達磨を追い求めていたのではないか?
・・・私は、そう思えてならなかったのだ・・・。
彼女はその場に倒れる様にうずくまった。
幸か不幸か
彼女と話していたのは会場の隅。
良くも悪くも人目には付いておらず、それが返って私をパニックにさせた。
「え?ちょ・・・ちょっと?大丈夫なんですか?ねぇ!?」
彼女に手を貸し、肩に添えた手から分かる。
「か、軽いし・・・なんだ、これ・・・。」
彼女の身体は、摂食障害でも患っていたのかと思えるほど
瘦せ細り、とても成人女性の体重とは思えなかった。
ひと先ずは、イベントの係員に事情を説明し
彼女を会場の外まで連れ出し、休ませることにした。
会場近くにあった公園のベンチで
彼女を座らせ、自販機で二人分の飲み物を手に戻る。
未だ、ぐったりとする彼女を見て
私は不思議と意識が遠くなっていくのを感じた。
否、遠くなるというよりも
幽体離脱の様な・・・自分を含むこの状況を少し離れた位置から俯瞰しているような・・・。
終始無言で向かい合う二人の人間を
その後ろから眺めている様な・・・。そんな感覚。
その時だった。
男の老人の様な声で「欲しい・・・欲しい・・・。」と
何かに追い縋るような声が、私の耳元で聞こえた・・・。
期せずして、私はその声で我に返った。
当然、周囲を見渡しても老人など居ない。
足元に違和感を覚えた私は自分の足に視線を落とす。
そこには、私の足元を這い擦る様に纏わり付く彼女の姿だった。
「な、何してるの!」
私は彼女を引き剝がし、ベンチへと座らせた。
細い体に似付かわしくない腕力で、しがみ付いてくる彼女は一種の「恐怖」だった。
そして、私の耳に届いていた老人の声が彼女から発せられていた事も
恐怖を煽るには十分すぎる状況だった。
ベンチに座っても尚、「欲しい、欲しい」とこちらに向かって手を伸ばす彼女に
私はとうとう、一発の平手打ちをしてしまった。
そこで、彼女の眼にも光が戻る。
「・・・へ?」
「ごめんなさい。でもこうでもしないと止まらないと思って。」
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恐らく、達磨は彼女が連れている『何か』を嫌がって「逃げ出した」のではないか?
そして、その「何か」は
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・・・私は、そう思えてならなかったのだ・・・。
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