20 / 30
「サマンサ」の話。
連鎖 3
しおりを挟む
私がサマンサ宅を訪れ、夫婦二人から話を聴いて十数分。
私の耳には「第三者の声」がしっかりと聞き取れていた。
老婆の様な・・・低く不機嫌な声で
ほんの一度だけ
「不埒者・・・。」
と囁く声だ。
だが、一つ珍しかったのは
声がはっきりと聞こえたにも拘わらず
「どこに居るのか、正確に分からなかった」のだ。
会話の中にこっそりと紛れ込んだソレは
言葉を聞き取るので精一杯で
どの方角から、どれだけの距離を開けて聞こえたのか・・・瞬時に判断できなかった。
独り放心する私を見て、サマンサは妻を遠ざける様に私を外に連れ出した。
「率直に聞きますが・・・何か居ますか?」
本当に直球の質問だった。
何をどう説明していいやら、困ったものである。
「居る」のは確実なのだろうが
その正体については、分からないと言った方がいい。
夫婦から、具体的な心当たりなどの話が出た訳でもない。
一言声を聴いたからと言って、その声の印象通りの存在を認識してはいけない。
俗世間で言う
「悪霊」「悪魔」といった類の「極めで悪意の強い者たち」は
自身を偽り近寄ってくるものだ。
「まだ、なんとも・・・。」
そう答えるのが最善だった。
それよりも・・・。
「居るかどうか」の確認を、わざわざ妻を遠避けてまで行ったサマンサの行動が気になった。
それもそのはずだ。
サマンサには、この「怪異」の正体がはっきりとわかっていたそうだ。
「実はね、両親の事で妻には言えていない隠し事がある・・・。」
それは、父の妹
即ち、サマンサの叔母にあたる人物の事であった。
「叔母は、父が借金をしてまで祖父母の面倒を見ていた事を知らなくて・・・。
両親が亡くなった際、遺産の事で揉めたんだ。
その遺産も、借金の返済で殆ど使い果たしていてね。
どうやら、叔母はそれが気に入らなかった様で・・・以前、脅迫まがいの行動も起こそうとしていた。」
一時は警察の介入も止む無しを覚悟したが
その叔母からの執拗な嫌がらせは、ある日を境にピタリと止んだ。
それ故に、彼はこの事を妻に内密にし、その日まで隠し通してきたそうだ。
「申し訳ないが、この事は妻には秘密のままにして欲しい。」
私は、彼の申し出を引き受けた。
とはいえ、重要な話を聴いた手前
その「叔母」については何としても調べを進めたかった。
が・・・
サマンサは心当たりがあるにも拘らず
ぱったりと止んだ嫌がらせについては一切の調査を行っておらず
何の理由も分からないまま、「叔母」については口を堅く閉ざし何も語らなくなった。
私の耳には「第三者の声」がしっかりと聞き取れていた。
老婆の様な・・・低く不機嫌な声で
ほんの一度だけ
「不埒者・・・。」
と囁く声だ。
だが、一つ珍しかったのは
声がはっきりと聞こえたにも拘わらず
「どこに居るのか、正確に分からなかった」のだ。
会話の中にこっそりと紛れ込んだソレは
言葉を聞き取るので精一杯で
どの方角から、どれだけの距離を開けて聞こえたのか・・・瞬時に判断できなかった。
独り放心する私を見て、サマンサは妻を遠ざける様に私を外に連れ出した。
「率直に聞きますが・・・何か居ますか?」
本当に直球の質問だった。
何をどう説明していいやら、困ったものである。
「居る」のは確実なのだろうが
その正体については、分からないと言った方がいい。
夫婦から、具体的な心当たりなどの話が出た訳でもない。
一言声を聴いたからと言って、その声の印象通りの存在を認識してはいけない。
俗世間で言う
「悪霊」「悪魔」といった類の「極めで悪意の強い者たち」は
自身を偽り近寄ってくるものだ。
「まだ、なんとも・・・。」
そう答えるのが最善だった。
それよりも・・・。
「居るかどうか」の確認を、わざわざ妻を遠避けてまで行ったサマンサの行動が気になった。
それもそのはずだ。
サマンサには、この「怪異」の正体がはっきりとわかっていたそうだ。
「実はね、両親の事で妻には言えていない隠し事がある・・・。」
それは、父の妹
即ち、サマンサの叔母にあたる人物の事であった。
「叔母は、父が借金をしてまで祖父母の面倒を見ていた事を知らなくて・・・。
両親が亡くなった際、遺産の事で揉めたんだ。
その遺産も、借金の返済で殆ど使い果たしていてね。
どうやら、叔母はそれが気に入らなかった様で・・・以前、脅迫まがいの行動も起こそうとしていた。」
一時は警察の介入も止む無しを覚悟したが
その叔母からの執拗な嫌がらせは、ある日を境にピタリと止んだ。
それ故に、彼はこの事を妻に内密にし、その日まで隠し通してきたそうだ。
「申し訳ないが、この事は妻には秘密のままにして欲しい。」
私は、彼の申し出を引き受けた。
とはいえ、重要な話を聴いた手前
その「叔母」については何としても調べを進めたかった。
が・・・
サマンサは心当たりがあるにも拘らず
ぱったりと止んだ嫌がらせについては一切の調査を行っておらず
何の理由も分からないまま、「叔母」については口を堅く閉ざし何も語らなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
【完結】本当にあった怖い話 ~実話怪談集『図書館の“あれ”』・『旅先の怪』・『負のパワースポット』~
悠月
ホラー
実話怪談のショートショートを集めた短編集。
『図書館の“あれ”』
私の出身大学の図書館、閉架書庫には“あれ”がいる。私以外のほとんどの人が遭遇したという“あれ”。
しかし、“あれ”に遭遇した人たちの人生が、少しずつ壊れていく……。
『旅先の怪』
非日常の体験がしたくて、人は旅に出る。ときに、旅先では異界を覗くような恐怖を体験してしまうこともあるのです。
京都、遠野、青森……。
そんな、旅先で私が出遭ってしまった恐怖。旅先での怪異譚を集めました。
『負のパワースポット』
とある出版社からパワースポット本の取材と執筆を請け負った、フリーランスライターのN。「ここは、とてもいいスポットだから」と担当編集者から言われて行った場所には……?
この話、読んだ方に被害が及ばないかどうかの確認は取れていません。
最後まで読まれる方は、どうか自己責任でお願いいたします。
※カクヨムに掲載していたものの一部を修正して掲載しています。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/20:『ものおと』の章を追加。2026/1/27の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/19:『みずのおと』の章を追加。2026/1/26の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/18:『あまなつ』の章を追加。2026/1/25の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる