幻・骸行進

メカ

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投稿主「メカ」の話

「ヒトコワ」 : 知らぬが仏 6

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ここまで話を見て来た皆さん。
ある疑問を持ったことだろう。

「オオサワ」の件は分かった。
しかし、件のスポットと「オオサワ」に何の因果関係があるのだ?と。

その疑問は、当時の私と同じ疑問である。

咽び泣く、中年男性を宥めつつ
「俺は何をやっているんだろうか・・・。」と考えながら
彼とその場を結ぶ接点に疑問符を持っていた。

その答えは、ようやく落ち着いた男の口から直接聞く事となった。

「・・・お見苦しい所を・・・すみませんでした。」

「いえ、身内の不幸は誰だって・・・ね?
それよりも、なぜこんなところに?」

「・・・実はこの場所、呪いの儀式で有名な場所なんですよ。」

「・・・え?」

「あれから、妹の元婚約者に何が起きたのか。いろいろと話を聞きました。
最初は、彼の職場に直接・・・妹の幼馴染が乗り込んできたり
職場宛に、怪文書がファックスされて来たりしていたそうです。
それが、だんだんと頻度が減って・・・。奇行と反比例するように
彼自身、怪我や軽い事故が増えていったそうです。
そこで、彼がふと思い出したそうです。
送られてきた怪文書の中に『お前を呪い殺してやる。覚悟しておけ。』という文章が
度々、送られてきていたそうです。」

「・・・まさか・・・丑の刻参り?」

「僕もそう思ってね。近所で有名な場所を手あたり次第に探し歩いていたんですよ。」

「それで・・・でも、数日前はなんで逃げたんです?」

「丑の刻参りは、人に視られたらダメだって言うじゃないですか。」

「いや、そもそも丑の刻参りは夜中にやるもので昼間にやっても意味がない・・・。」

「・・・あ、そっか・・・。」

此処で初めて、互いの誤解が解けた。
互いが互いに「不審者である」との認識を持ち、あの一瞬に繋がっていたようだ。

そして・・・話は戻るが
彼は、丑の刻参りの形跡を探し歩き
妹の元婚約者が呪われていたという証拠を見つけ出そうとしていたらしい。

しかし・・・彼は予想に反するものを見つけてしまった。
その絶望から、叫び出し・・・号泣していた。

「あそこの・・・三本目の太い木。見てきてください。・・・僕にはもう見られないんです。」

オオサワの言うまま、指さされた木の幹に近付いた時
はっきりと、藁人形が打ち込まれているのが分かった。

それはまるで、キリストの磔のように
四肢に釘を打ち付け、挙句
顔と思しき場所に貼られた写真の上に数十本の釘が刺さっている。
その写真は、誰か特定の個人が写っているようだが、とても判別できるような状態ではなかった。

「・・・まさかこれって・・・妹さん?の写真じゃないですよね?」

振り返った私に、オオサワは力なく頷くだけだった。

彼には分ったのだ。
他でもない、その写真を撮ったのが彼自身であったからだ。

「妹の学生時代、話に出た幼馴染とツーショットの写真を撮ってくれとせがまれて・・・。」

私は、言葉が出なかった。

私の投稿を見ていた方なら分かるかもしれないが・・・。
簡単そうに見える丑の刻参りは、実の所
巷では出回っていない「重要な手順」が抜けた状態で伝わっている。

X氏の元で、少しの間学んだ私から見れば
目の前の「丑の刻参りモドキ」が全くの無意味・無価値である事は明白だった。

しかし・・・今目の前で
「妹は・・・自分のせいではなく、呪いで殺されたのだ。」と絶望する男性に
「いや、この呪いは全くの無意味ですね、妹さんは貴方のせいで死にました。」などと
誰が言えようか・・・。

とはいえ、犯人が分かっていて尚
それを追及できないのは・・・彼にとっては残酷極まりない仕打ちだろう・・・。

私は、今しばらく男が落ち着くのを共に待った・・・。
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