骸行進

メカ

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警官の友人「荻野(仮名)」の話

供述

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ある年の冬
中年の男が、窃盗の容疑で捕まった。
その男は、老人宅を狙い「空き巣」を働いていたそうだ。

男が語る。
「人には絶対、危害を加えねぇ。人が出払ったのを確認するまではコトは起こしちゃならねぇ。」

その男の犯行には、幾つかのルールがあったそうだ。
そして、そのルールを忠実に守り犯行に及んでいた。

彼は捕まらない自信があったそうだ。
なにせ、数回に渡る現場の下調べ。
そして犯行現場に目撃者や証人はいない。
住人が犯行に気付いた時には、逃げ果せた後だ。

では、なぜ
その男は捕まった?
警察の地道な捜査のお陰か。
・・・否、男は自ら出頭してきたのだという。
しかも、意味不明な供述と共に・・・。

この話を聞いたのは、荻野が務める署の他部署に勤めていた上司からだったそうだ。
彼(上司)がまだ、入職して間もない頃に起きた事だったという。

その日、中年の男が出頭してきた。
男が言う。
「俺はゲームで負けた。だから出頭してきた。」

男の言う「ゲーム」こそ「空き巣」の事である。
前述した通り、男には男なりのルールを設け、犯行に及んでいた。
そして、そのルールの一つに
『目撃されたら出頭』という事を決めていたそうだ。

「空き巣に入った家で、子供に姿を見られた。」

そう語ったそうだ。

夜の8時頃だったそうだ。
その日、目星をつけていた老人宅には、恐らくは老人の娘と思しき女性が出入りしていた。
日が落ちるまで待ったが、女性が返る素振りは一向にない。
今日の犯行は無理だ・・・引き上げよう。そう思っていた時
女性は老人を連れ、車で出かけて行ったのだ。

チャンスだ。

手慣れた手つきで家に侵入し、物色を始めた。
そして、逃げようと玄関に向かった時。
後ろにある登り階段から物音がしたのだという。

『マズい。バレたか。』

男は振り返り、恐る恐る会談へと視線を向ける。
しかし、階段の入り口には暖簾が掛かっており、上の方がよく見えない。
そのまま、一瞬の硬直。

トントントン。
階段をゆっくりと降りて来る足音。

「短パンを履いた素足の小僧に見られたんだ。
まさか、孫まで来てたとはよ。騒がれる前に逃げ出したが。
自分で決めたルールだ。出頭するしかないと思ってな・・・。」

淡々と供述をする男だったが、上司の警官は
その男の供述に、違和感を覚えたそうだ。

そして、その違和感に気付いた時、彼(上司)は
初めて、辞職願を出しかけたのだという。

・・・皆さんは、この違和感に気付くだろうか・・・?
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