297 / 336
長編特集
ツキマトウ 1 「久しぶり」
しおりを挟む
今回のお話は、筆者の友人「菊池(仮名)」の話である。
・・・いまから2年ほど前。
近所のスーパーに買い出しに出ていた所、少し離れた位置から
私を呼ぶ声がした。
しかし、振り返り確認しても一目で私はソレが誰なのか判断できなかった。
というのも、この「菊池」という男。
学生時代は大食いの巨漢であり、その場に居れば誰でも「菊池でけぇよ!」となる男だった。
だが、この時
私の視界の中にそんな特徴的な男など存在していなかった。
軽く小走りで私の元に駆けよって来た男。
その男を間近に見ても、困惑したのを覚えている。
「えと・・・どなたですか?」
「はぁ!?俺だよ、菊池!高校の時一緒だっただろ!」
「・・・え!?」
「まぁ無理も無いか・・・。こんなに痩せちまったら・・・。」
男の服装に目を落とすと
アメリカンサイズのシャツをダボっと着ている。
ズボンも、相当ブカブカなのかベルトでキツく巻いていた。
だが・・・そのシャツの柄を見て、漸く
「菊池!?あの菊池!?」
となった。
そして・・・それと同時に私は目眩に襲われた事をはっきり覚えている。
「お、おい、大丈夫かよ。」
彼はすぐさま、私に手を貸し倒れずに済んだ。
私は、目眩を起こし意識が遠退く一瞬に「誰か」の声を聞いた。
だが、その一瞬の出来事にも拘わらず
その「声の主」が「誰なのか」すら思い出せなかった。
男なのか、女なのか。
何を言っていたのか・・・サッパリ思い出せないのだ。
凡そ私より細くなった彼に心配されつつも、共に買い出しを終え
近くの公園で話をした。
「いやぁ・・・実はさ。俺、最近ツイてなくてさぁ・・・。」
「どうしたん?」
「去年の頭、親父が入院してさ。そっからあれよあれよと不運が。」
彼の親父さんは市役所に勤める役員だった。
こんなご時世だ。多忙を極めていたに違いない。
「具体的にどんなことが・・・?」
「ほら、俺卒業してから一人暮らししてるじゃん?で、通勤にバイク使ってるんだけどさ。
去年、パクられたんだよ。」
「マジか。」
「被害届出して、落ち着くまで台車借りてたんだけどさ。その台車が
突然、ブレーキ壊れてさ。電柱に激突するし・・・。」
「はぁ!?ケガは?」
「幸い、軽傷で済んだ。でもこっからが酷くてさ。
無事に犯人が見つかって、バイク戻ってきたは良いんだけど
パーツうっぱらう為か、一部分解されててさ。修理出すと高くつくって言うんで
新しく中古で買う羽目になるし・・・。」
「・・・うわぁ・・・。」
「その中古も、一週間でバッテリーがイカれて、結局新車で買い直したんだよ。」
此処まで聞いただけでも、不運な男だが・・・彼の不運は
まだ続いていた・・・。
・・・いまから2年ほど前。
近所のスーパーに買い出しに出ていた所、少し離れた位置から
私を呼ぶ声がした。
しかし、振り返り確認しても一目で私はソレが誰なのか判断できなかった。
というのも、この「菊池」という男。
学生時代は大食いの巨漢であり、その場に居れば誰でも「菊池でけぇよ!」となる男だった。
だが、この時
私の視界の中にそんな特徴的な男など存在していなかった。
軽く小走りで私の元に駆けよって来た男。
その男を間近に見ても、困惑したのを覚えている。
「えと・・・どなたですか?」
「はぁ!?俺だよ、菊池!高校の時一緒だっただろ!」
「・・・え!?」
「まぁ無理も無いか・・・。こんなに痩せちまったら・・・。」
男の服装に目を落とすと
アメリカンサイズのシャツをダボっと着ている。
ズボンも、相当ブカブカなのかベルトでキツく巻いていた。
だが・・・そのシャツの柄を見て、漸く
「菊池!?あの菊池!?」
となった。
そして・・・それと同時に私は目眩に襲われた事をはっきり覚えている。
「お、おい、大丈夫かよ。」
彼はすぐさま、私に手を貸し倒れずに済んだ。
私は、目眩を起こし意識が遠退く一瞬に「誰か」の声を聞いた。
だが、その一瞬の出来事にも拘わらず
その「声の主」が「誰なのか」すら思い出せなかった。
男なのか、女なのか。
何を言っていたのか・・・サッパリ思い出せないのだ。
凡そ私より細くなった彼に心配されつつも、共に買い出しを終え
近くの公園で話をした。
「いやぁ・・・実はさ。俺、最近ツイてなくてさぁ・・・。」
「どうしたん?」
「去年の頭、親父が入院してさ。そっからあれよあれよと不運が。」
彼の親父さんは市役所に勤める役員だった。
こんなご時世だ。多忙を極めていたに違いない。
「具体的にどんなことが・・・?」
「ほら、俺卒業してから一人暮らししてるじゃん?で、通勤にバイク使ってるんだけどさ。
去年、パクられたんだよ。」
「マジか。」
「被害届出して、落ち着くまで台車借りてたんだけどさ。その台車が
突然、ブレーキ壊れてさ。電柱に激突するし・・・。」
「はぁ!?ケガは?」
「幸い、軽傷で済んだ。でもこっからが酷くてさ。
無事に犯人が見つかって、バイク戻ってきたは良いんだけど
パーツうっぱらう為か、一部分解されててさ。修理出すと高くつくって言うんで
新しく中古で買う羽目になるし・・・。」
「・・・うわぁ・・・。」
「その中古も、一週間でバッテリーがイカれて、結局新車で買い直したんだよ。」
此処まで聞いただけでも、不運な男だが・・・彼の不運は
まだ続いていた・・・。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる