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長編特集
ツキマトウ 5 「急逝」
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菊池のお見舞いから、三日が過ぎた頃
私の携帯には一本の電話が入った。
菊池の母親からのものだ。
『・・・まさか・・・。』
その思いは、的中してしまうのだ。
「もしもし。」
「あ、○○(筆者)君?・・・実は息子が、息子が・・・。」
「・・・亡くなった。・・・んですね。」
「・・・。」
受話器越しに聞こえる彼の母の声は既に震えていた。
私にはその「震え」が嫌と言う程、身に染みている。
そして、彼の母の沈黙が何よりの答えだろう。
菊池は、懸命な治療も虚しく
衰弱で亡くなったそうだ。
私は彼の母に頼み込み、遺品整理の前に
彼の部屋を見せてもらう事にした。
当人が亡くなってしまった以上、最後に残された手がかりは
彼の部屋と「彼女」の存在だろう。
電話を受けたその足で、私は彼の部屋へと向かう。
彼の部屋では、同棲さながらに物が多かった事を覚えている。
洗面台にはコップが二つ。
キッチンに残された洗い物の食器も一人分にしては、やや多かった。
だが・・・少し異常な空気感を私は覚えている。
結婚間近のカップルが生活していた。にしては何かが足りない。
彼女とのツーショット写真などが一切なかったのだ。
食器などの物品を見る限り、二人で生活していたのであろうと思うのだが
何と言うか、部屋に漂う空気感は
男の一人暮らしそのものなのだ。
彼女の趣味や顔が見えてこないというべきか。
そこで、私は彼の両親に会った。
「菊池が、結婚するって本当だったんですか?」
「・・・え。」
彼の母は心底驚いた様な顔を見せた。
この事から少しずつ、何かが異常だったのだと再認識していく。
「○○君、私から話すよ。・・・お前は家事の残りを頼むよ。」
彼の父が話に台頭してきた。
「実は、確かに息子は結婚の予定があった。
・・・それも3年前の話だ。」
「・・・というと?」
「息子と結婚の予定があった女性。『里奈さん』が亡くなってしまってね。」
「・・・。」
「小柄な可愛らしい子だったが・・・自殺だったようだ・・・。」
「一体・・・何が・・・。」
「それについては、私にも。息子は何か事情を知っていた様だが・・・
今となってはその息子も・・・。」
急転直下と言うべきか。
目を疑うと言うべきか。
私は、彼のお見舞いの時
それらしい女性を見ている。すれ違っている。
そして、それは彼も「彼女」であると認めている。
だが、その「女性」は3年前に亡くなっていた。
だとすれば、彼の部屋の異常性にも頷ける。
あの部屋は「思い出の残滓」なのだ。
そして今尚、菊池は「彼女」と生きていたのだ。
その答えに行き着いた時、多くの疑問が生まれたが
その疑問も、今となっては解消されない。
振出しに戻った私は、次なる心当たりへ向かうのだ。
私の携帯には一本の電話が入った。
菊池の母親からのものだ。
『・・・まさか・・・。』
その思いは、的中してしまうのだ。
「もしもし。」
「あ、○○(筆者)君?・・・実は息子が、息子が・・・。」
「・・・亡くなった。・・・んですね。」
「・・・。」
受話器越しに聞こえる彼の母の声は既に震えていた。
私にはその「震え」が嫌と言う程、身に染みている。
そして、彼の母の沈黙が何よりの答えだろう。
菊池は、懸命な治療も虚しく
衰弱で亡くなったそうだ。
私は彼の母に頼み込み、遺品整理の前に
彼の部屋を見せてもらう事にした。
当人が亡くなってしまった以上、最後に残された手がかりは
彼の部屋と「彼女」の存在だろう。
電話を受けたその足で、私は彼の部屋へと向かう。
彼の部屋では、同棲さながらに物が多かった事を覚えている。
洗面台にはコップが二つ。
キッチンに残された洗い物の食器も一人分にしては、やや多かった。
だが・・・少し異常な空気感を私は覚えている。
結婚間近のカップルが生活していた。にしては何かが足りない。
彼女とのツーショット写真などが一切なかったのだ。
食器などの物品を見る限り、二人で生活していたのであろうと思うのだが
何と言うか、部屋に漂う空気感は
男の一人暮らしそのものなのだ。
彼女の趣味や顔が見えてこないというべきか。
そこで、私は彼の両親に会った。
「菊池が、結婚するって本当だったんですか?」
「・・・え。」
彼の母は心底驚いた様な顔を見せた。
この事から少しずつ、何かが異常だったのだと再認識していく。
「○○君、私から話すよ。・・・お前は家事の残りを頼むよ。」
彼の父が話に台頭してきた。
「実は、確かに息子は結婚の予定があった。
・・・それも3年前の話だ。」
「・・・というと?」
「息子と結婚の予定があった女性。『里奈さん』が亡くなってしまってね。」
「・・・。」
「小柄な可愛らしい子だったが・・・自殺だったようだ・・・。」
「一体・・・何が・・・。」
「それについては、私にも。息子は何か事情を知っていた様だが・・・
今となってはその息子も・・・。」
急転直下と言うべきか。
目を疑うと言うべきか。
私は、彼のお見舞いの時
それらしい女性を見ている。すれ違っている。
そして、それは彼も「彼女」であると認めている。
だが、その「女性」は3年前に亡くなっていた。
だとすれば、彼の部屋の異常性にも頷ける。
あの部屋は「思い出の残滓」なのだ。
そして今尚、菊池は「彼女」と生きていたのだ。
その答えに行き着いた時、多くの疑問が生まれたが
その疑問も、今となっては解消されない。
振出しに戻った私は、次なる心当たりへ向かうのだ。
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