骸行進

メカ

文字の大きさ
304 / 336
長編特集

クダラナイ 2 人格と老人

しおりを挟む
まず、私が驚いたのは
扉一枚を挟んで大暴れしているであろう「彼」が
私の送ったLINEには懇切丁寧に回答を寄越した事だ。

彼の母には一度下がってもらい、私は彼との奇妙な方法でのやり取りを続けた。

「竜太、何が有ったんだ?」

「・・・よく覚えてない。」

「じゃあ、何を何処まで覚えてる?教えてくれるか?」

「友人と心霊スポットに行った帰りに、老人に道を聞かれて・・・。
それで、道案内も兼ねて近くまで一緒に移動した。
こんなご時世でしょ?だから危ないかなぁと思って。」

「それで?」

「そこからが曖昧になってる。
家に居るって事は、ちゃんと帰ってこれた証なんだろうけど・・・。
あぁ、俺はにーやんも知ってると思うけど酒は飲まないから酔ってたとかではないよ。」

彼の返答は、至極普通だ。
にも拘らず目の前の扉の奥から聞こえるソレは
最早、人が出せる音なのかさえ疑問に思う程、大暴れしている。
時折、世を拗ねた叫びすらも聞こえて来る。

まるで・・・多重人格者だ。

「とにかく、落ち着け。な?」

そのLINEは、直ぐに既読となり
やや時間を置いて、音が止んだ。
部屋の中がどうなっているのか、彼がどうなっているのか
解決欲・探求心を抑えつつ、会話を続けるしかなかった。

後日、私は彼の友人に会う事になった。
より詳しい話を聞く為だ。

集まってくれたのは二人。
「羽村(仮名)さん」と「大久保(仮名)君」だ。
彼等は竜太の同級生で、仲が良い二人だった。
他にも声を掛けてくれたようだが、予定が合わず二人だけの証人となった。

二人が話してくれた内容も、大筋は竜太から聞いた内容と一致した。
だが、唯一内容に差異が生まれた部分がある。
それが、途中出会ったという「老人」についてだ。

竜太の話では「道を尋ねられた」事で共に行動する事が決まったそうだが
彼等は「そうではない」という。

彼等が言うには

老人は道中、街灯の下で蹲っていたのだという。
それを心配した竜太が駆け寄り、声を掛けると
その老人は、竜太の首を絞め始めたのだという。
慌てて皆で引き離し、竜太を連れて逃げ出したそうだ。
そして、皆が我に返り周囲を確認すると
腕を掴んで逃げた筈の竜太がその場には居なかったのだというのだ。
直後
LINEで安否確認を行い、はぐれてしまった事は確認したが
不幸中の幸いか、自宅の近所であった為にそのまま帰れる。と返信がきたそうだ。
その内容も一通り見せてもらったが・・・
この時点で、私の理解を越え始めた事を認識し
自宅に戻り、X氏へ連絡を取る事にしたのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...