骸行進

メカ

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呪物

「ソレ」 1

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今回、お話する呪物は便宜上「ソレ」と呼称する。

「ソレ」は、いわゆる「日本人形」だ。

私が「ソレ」に関わるきっかけは
私の師である「X氏」が原因であった。

X氏は「ソレ」の「お祓い」に失敗したのである。
その結果、片足の複雑骨折という何とも痛ましい結果となった。

X氏から「ソレ」を引き継いだ時
私はX氏からキツく注意された事がある。

「無理に関わろうとするな。」
要するに「お祓いの真似事」は控えろ。と釘を刺された形だ。

しかし、私の性格上「調べるな」と言われて「分かりました!」と黙って従える訳もなく・・・。

手元に「ソレ」が届いた時は
躍起になって、色々と調べ物に勇んだものだ。

当然、真っ先に話を聞いたのはX氏だ。
どの様な経緯で「ソレ」が手元に来たのか。知る必要があった。

「ソレ」はとある夫婦が持っていたモノだという。
その夫婦には娘がいた。
娘の妊娠が分かると同時に「子供へのお守り」として「ソレ」を購入したのだそうだ。

だが、不自然に思わないか?

「妊娠が分かった時点」での購入だ。
子供の性別など「分からない」だろう。
にも拘らず、女の子に関係する「日本人形」を選ぶ・・・。

ある種、神秘とも取れる行いだが・・・。

X氏に言わせれば「その夫婦」は「何者か」によって悪いモノが憑いている状態であった。
と語っている。

早い話、その夫婦は恨みを買い「呪いめいたもの」を感じたという。

私が「ソレ」を最初に見た時の印象であるが
「ごく普通」の「日本人形」にしか見えなかった。
無理もない。
私は「聴こえる人間」であって「視える人間」ではない。

仮に「ソレ」に「強い恨み」が篭り、その「恨み」が誰彼構わず向くのであれば
その時点で私も何かしらの「声」を聴いていた事だろう。

そして、話を総合するに
「ソレ」に込められた「強い恨み」は「その夫婦」に向けられたものであり
部外者であれば「無理やり関わらなければ」害はない様だ。

そして、その夫婦が「ソレ」を恐れるきっかけとなった出来事がある。

娘が3歳になった頃から、娘は「ソレ」に対して暴力的な行いを見せる様になったという。

先ほどまで積み木で遊んでいたと思えば、視界に映った「ソレ」を
力一杯、壁の方に投げつけたり、髪を掴み振り回し床に叩きつけるなど
他の玩具ではおよそ見た事がない激しさを「ソレ」に見せる様になった。

それから更に2年後
5歳となった娘は「ソレ」の存在を忘れていた。
なぜなら、両親によって「ソレ」は物置へ収納され目に映る事すらなくなったからだ。

・・・しかし
その娘が言うのだ。

「お姉ちゃんは何処?」

この問いに夫婦は「お姉ちゃんは居ないでしょ。」と言い聞かせるも
娘は納得しない。

「ねぇ、お姉ちゃんは何処?」

その問いは日増しに激しさを増す。

「お姉ちゃん、何処に隠したの!?」

娘は居る筈もない姉を要求し癇癪を起す様になっていた。

夫婦は「もしや?」と「ソレ」を引っ張り出してきて娘に見せた。

すると・・・

「あ、お姉ちゃん!」

娘は笑顔で「ソレ」に駆け寄り、抱きしめる。

その光景に夫婦は一瞬穏やかな気持ちにすらなった。

・・・その直後、娘が再び「ソレ」を床に叩きつけるまでは。

「くたばれ!」

まだ5歳になって間もない娘が、到底その年齢では出てこないであろう罵詈雑言を叫びながら
「ソレ」を必死に地面に叩きつける。

果てには、蹴り上げ、踏みつけ・・・。
視ていられない。と「ソレ」を再び取り挙げた。

「返せ!私のお姉ちゃん、返せ!」

まだ幼い筈の娘がまるで鬼の形相で「ソレ」を取り返そうとする。

幾ら人形とはいえ、そんな暴力的では可哀想だと説くも
娘は聞く耳を持たない。

そして「ソレ」に原因があるのではないか?と考えた夫の手によって
X氏の元へ「ソレ」が渡る事になったのだ・・・。
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