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呪物
「ソレ」 終
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「ソレ」を預かり、私にも実害が出た。
その事をきっかけに、X氏はこれまで伏せていた事実を話す。
「実はね、その夫婦に会った時にはもう、原因が分かってたんだよね。」
「何です?」
「件の日本人形に篭っているのは『娘さんの魂』なんだよ。」
「・・・は?」
この人は何を言っているのだ?
それが最初の感想だった。
「順を追って話すと、今回の一見は『旦那さん』に問題がある。」
夫婦の夫は、長年
妻にも秘密裏に不倫を続けていた。
だが、その不倫相手とは「子供が出来た事」を理由に一方的に縁を切ったそうだ。
その結果、夫婦の元には「不倫相手の生霊」が飛んでしまった。
最初こそ、その「強い恨みの念」は「ソレ」に宿っていたのだろう。と語る。
しかし、時を経るに連れ「恨みは更に肥大化する」。
結果として「ソレに宿った恨みの念」と「赤子の魂」が入れ替わった。
無理もない。
不倫相手からすれば「子供」を理由に棄てられたのだ。
その「子供」を憎んでいたとしても可笑しくはない。
結果、長い年月を経て
赤子の人格までも、乗っ取られてしまった。
これが、夫婦を襲った怪異の原因である。
必死に「ソレ」のお祓いについて奔走した我々だが
真にお祓いすべきは「ソレ」ではなく「娘」の方であったのだ。
そもそも、払うべき邪悪なモノが抜けた「ソレ」には
お祓いなど全く持って意味がない。
だが、これで合点がいった。
「ソレ」が手元に届いた時
私が何も「聴こえなかった」理由が。
恨み辛みを吐き出す「悪意」そのものが
もうそこには宿っていなかったのだから。
そして、X氏や私が右足に負ったケガも
X氏曰く「娘の魂」が「痛みを分かってほしい」と擦り寄って来た結果なのだという。
蓋を開ければ何ともいたたまれない話である。
・・・それから数か月後。
夫婦の夫はX氏に促される形で妻に全てを告白。
妻たっての希望で「乗っ取られた娘」はお祓いを受ける事となった。
最初こそ、「娘だった者」は渾身の力で抵抗を重ねていたそうだ。
最初のお祓いから数回に分けて続けているそうだが
未だに、「娘の魂」は帰って来ていないという。
夫婦は離婚。
娘は夫が責任をもって最後までお祓いに連れて行く事を条件に
一時的に夫の元で過ごしている。
今尚、夜な夜な癇癪を起し暴れまわる娘。
それが落ち着いたと思えば「許さない」「助けてくれ」と宣う「娘だった者」の言葉を耳にしながら
夫は娘と暮らしているという。
そして「真の娘」である「ソレ」は
今現在は、破損した足を修復した上、妻の元で丁寧に保管されているという。
その事をきっかけに、X氏はこれまで伏せていた事実を話す。
「実はね、その夫婦に会った時にはもう、原因が分かってたんだよね。」
「何です?」
「件の日本人形に篭っているのは『娘さんの魂』なんだよ。」
「・・・は?」
この人は何を言っているのだ?
それが最初の感想だった。
「順を追って話すと、今回の一見は『旦那さん』に問題がある。」
夫婦の夫は、長年
妻にも秘密裏に不倫を続けていた。
だが、その不倫相手とは「子供が出来た事」を理由に一方的に縁を切ったそうだ。
その結果、夫婦の元には「不倫相手の生霊」が飛んでしまった。
最初こそ、その「強い恨みの念」は「ソレ」に宿っていたのだろう。と語る。
しかし、時を経るに連れ「恨みは更に肥大化する」。
結果として「ソレに宿った恨みの念」と「赤子の魂」が入れ替わった。
無理もない。
不倫相手からすれば「子供」を理由に棄てられたのだ。
その「子供」を憎んでいたとしても可笑しくはない。
結果、長い年月を経て
赤子の人格までも、乗っ取られてしまった。
これが、夫婦を襲った怪異の原因である。
必死に「ソレ」のお祓いについて奔走した我々だが
真にお祓いすべきは「ソレ」ではなく「娘」の方であったのだ。
そもそも、払うべき邪悪なモノが抜けた「ソレ」には
お祓いなど全く持って意味がない。
だが、これで合点がいった。
「ソレ」が手元に届いた時
私が何も「聴こえなかった」理由が。
恨み辛みを吐き出す「悪意」そのものが
もうそこには宿っていなかったのだから。
そして、X氏や私が右足に負ったケガも
X氏曰く「娘の魂」が「痛みを分かってほしい」と擦り寄って来た結果なのだという。
蓋を開ければ何ともいたたまれない話である。
・・・それから数か月後。
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妻たっての希望で「乗っ取られた娘」はお祓いを受ける事となった。
最初こそ、「娘だった者」は渾身の力で抵抗を重ねていたそうだ。
最初のお祓いから数回に分けて続けているそうだが
未だに、「娘の魂」は帰って来ていないという。
夫婦は離婚。
娘は夫が責任をもって最後までお祓いに連れて行く事を条件に
一時的に夫の元で過ごしている。
今尚、夜な夜な癇癪を起し暴れまわる娘。
それが落ち着いたと思えば「許さない」「助けてくれ」と宣う「娘だった者」の言葉を耳にしながら
夫は娘と暮らしているという。
そして「真の娘」である「ソレ」は
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