骸行進

メカ

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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話

禁足地

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これは、藤原さんがとある地方に訪れた時、起きた。

その日、彼は仕事の都合で地方に足を運び、現地で客を乗せた。

「いやぁ、お客さん。待たせてすみませんでしたねぇ・・・。」

「いえ、それほど待ってませんよ。」

彼のタクシーに使われているナビは数年に一度更新が掛かる。
しかし、運悪く
その行進が追い付かず、現地の整備によって
表示されたルートを迂回して通らねばならず、15分程度の遅刻となった。

「それより、運転手さん。地元の人じゃないね?」

「あぁ~やっぱり分かりますかね。都内の方から仕事の都合で数日間こちらにね。」

「随分遠くから来たねぇ。ご苦労様で・・・。」

そんな些細な会話を交えつつ、現地の近道などを教わりながら目的地を目指す。

ある通りに差し掛かった時だ。
先ほどまで穏やかであった車内が少しソワソワというかピリピリした空気を纏った。

「運転手さん、この通りはいかんわ。7.80m先でどっちかに曲がってくれんか?」

「え?あぁ、分かりました。」

「ごめんねぇ。この先はさ、地元の人は絶対行かない場所なんだわ。いわゆる、禁足地でね。」

この時、藤原さんは初めて「禁足地」と遭遇したという。

ドライバー歴何十年という彼でさえ、初の事だった。

「禁足地ですか!?いやぁ、話には聞いた事ありましたが・・・ある所にはあるんだなぁ。」

「特別、何かがあったって訳じゃないらしいんだけどねぇ。」

窓に頬杖を突きながら外を眺める客。其処に詳しいのか自慢げだったという。

目的地まであと五分程・・・。
その五分の間、車内には沈黙が生まれていた。
だが、目的地で精算を行った際も、その客は藤原さんを気遣う一言を残しタクシーを去った。

次の客を探す為、最寄りの駅まで走らせる中
彼は気分が良かったという。

『30㎡先、左方向です』

ナビの指示に従い、ルートを辿っていく。

だが・・・
ナビの設定では20分ほどで到着する場所にも拘らず
倍近い40分を走り続けても「駅」には着かなかった。

道路の込み具合やスピードもそれなりだったはずだ。
だが、目的地は遠く・・・なぜか辿り着いた場所は「禁足地」であった。

まるで結界の様に塀などで囲われたその地。

此処に来たのも何かの縁だと、彼は車を止め
歩いて周囲を巡った。

恐らく規模としては、一周に10分も掛からない規模の土地面積。

興味本位で一周した彼は、タクシーに戻った時
大慌てでタクシーを発車させた。

なぜって?

彼がその禁足地を一周して戻って来た時
既に3時間も経過していたそうだ・・・。
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