骸行進

メカ

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警官の友人「荻野(仮名)」の話

保護された老人。 1

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数年前のある昼下がり。
荻野が務めていた所轄に、迷い人として保護された老人がいた。

その所轄では、老人を皮肉交じりに「肩寄せさん」と呼んでいた。
なんでも、老人は軽い認知症があった物の近くの老人用マンションに身を寄せていた。

マンション一棟丸ごとを介護施設が所有していた。
エントランスの管理人室を「介護士・看護師」の常駐部屋として使い
何時でも、対応できるようにしていたそうだ。

このマンションは「施設に入るまでではない」元気な方たちが住んでいる。

実際、休日にはマンションの住人達が集まり、近くの公園でラジオ体操などに勤しんでいた。

そんな身の上の老人だから「肩を寄せ合う肩寄せさん」と揶揄した呼び名だった。

・・・正直な話、介護業界で働く私は
この話を聞いた時、怒りすら覚えたものだ・・・。

老人は、買い物の帰りだったようだ。
だが、帰り方が分からず公園の近辺で立ち往生していた所を通りすがりによって
交番まで案内された。

「アレ!?肩寄せさん!ま~た来ちゃったのか。今回はどうしたのよ?」
同僚が親し気に老人へ近付く。

それを見た荻野は、良くある事なのだろうと隣で話を聞いていた。

老人の名前は「大林(仮名)」。
80を過ぎた男性だ。
だが足腰はしっかりして、歩く姿も若々しさが見て取れる。
だが、先も言った様に彼は認知症だった。
元気そうな足取りとは裏腹に、彼の顔色は優れなかった。

「俺ぁよ、直ぐ帰りたいんだよ。アンタらお巡りさんだろ?俺ぁ何もしてないんだよ。帰してくれよ。」

「肩寄せさん、帰り道分かるの?」

「・・・俺ぁ大林だ。帰り道なんて分かってるさ。だからもういいだろ!?」

悪ふざけ半分に明るく対応する同僚とは対照的に
大林の顔色は見る見る悪くなる。その表情は「怯え」そのものだ。

「ちょっと、変わってくれ。」

これ以上は見ていられない。と荻野が同僚と交代。
大林と話をする事にしたそうだ。

「ごめんよ、大林さん。家の住所は分かるかい?」

「家の住所は・・・」

そこで初めて大林の言葉が詰まった。

「確か、以前にもここで保護されてるんだよね?」

荻野は半分睨む様に同僚に確認をとった。

「・・・あぁ、すぐそこのマンションだよ。介護用マンション。・・・連絡しておくから
後はよろしく。」

「大林さん、すぐに迎えが来てくれるから。もう少し此処に居てくれるかい?」

「・・・分かったよ。」

これが、大林と荻野の初対面だった。

だが・・・この後、荻野は奇妙な出来事に巻き込まれる事となったのだ。
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