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ヘタレ、出会いと身バレ
ヘタレ、ついでにバレる。
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「貴方・・・数年前に解体された盗賊団の生き残りでしょ?」
センティアの追及は続く。
「何を・・・根拠に。」
「その胸元の小さなタトゥー。
折れた鍵と開かれた南京錠・・・盗賊団『ブロークス』の人間でしょ?」
ブロークス。
確かに、俺がサーカス団から連れて行かれた盗賊団はそう名乗って居た。
「妨害・疎外」を意味する「block」と
「壊れ」を意味する「broken」とを掛け合わせて付けられた名前だ。
鍵や妨害など無意味。
それら全てを乗り越えて、目的の物を盗み出す。
という意思の表れである。
「だ、だったら何だって言うんだよ!」
「彼等は!数年前のある大規模な討伐作戦で全員捕まった!
・・・一人残らずね。でも、彼等の処刑の際、頭目だった男が言い放ったそうよ?
『お前らは最後の一人を見落とした。』ってね。
・・・その意味が分かる?」
「言葉の通りだろ・・・。一人逃げてたってだけだろ・・・。」
「その通り。
そして、その最期の一人こそ、後にこう呼ばれたわ。
『ストレンジア・ゴースト』ってね。」
「・・・・・。」
「貴方が・・・そうなんでしょ?」
数分の沈黙。
その数分の間に、走馬灯のように蘇る悪夢。
・・・あの日、俺達は当初の予定通り
ダルトン領にある<ロマニ―家>を襲撃する算段を立てた。
作戦の概要は
俺がわざと衛兵に捕まり、手薄となった警備を
盗賊団総数50名で屋敷を襲撃するというものだった。
・・・だが・・・。
直前になって、俺は腰が引け
ダルトン領から逃げ出したのだ。
そして、定刻となり襲撃が始まる・・・。
作戦そのものが貴族たちに筒抜けだったとも知らずに。
盗賊団の中に、何名か金で買収された連中が居たのだと
後になって判明した事だ。
たった50人そこらの盗賊団は
ダルトン領の城下町に配置された300人以上の討伐部隊を相手に
一昼夜戦い抜く事となった。
運よく直前で逃げた俺は、ただの偶然で命拾いしたという訳だ。
その後は散々だった。
ダルトン領から完全に抜け切る前に、追手が掛かる事になった。
不幸中の幸いだったのは、俺の存在は誰も知らなかった事だ。
例え、検問を設置されたとしても
唯の薄汚い旅人として、その検問を通過出来た。
そうして、300人態勢を越えるキツネ狩りから
尻尾の毛一本も掴ませぬまま逃げ果せた。
だが、この程度の事で「伝説」と呼ばれる訳がない。
実はこの話にはもう一つ、重要な出来事が裏では起こっていた。
当時、ロマニー家では
一人娘である「レイチェル・ロマニ―」が一時的に姿を消していたのだ。
当時9歳だった幼い娘。
その動向は、何の偶然か・・・俺が握っていたのだ。
ダルトン領から逃げる際
俺は道に迷った。
無我夢中で逃げた先、小さな湖畔のある広場で
華冠を作り遊んでいる少女と出会う。
・・・ソレが、レイチェルだったのだ。
人攫いなど、俺にはやる度胸がない。
そこで、俺はレイチェルに素直に「道に迷った事」を伝え
ダルトン領から離れたい旨を伝えた。
そこで、レイチェルは見ず知らずの少年を助ける為に
途中まで同行してくれたのだ。
そして・・・この出来事が後に思わぬ事態を呼ぶ・・・。
作戦決行直前
湖畔へ向かう為、街中を歩いていたレイチェルと
作戦について念押しをするリーダー格の男、そして俺は彼女に姿を見られていたのだ。
処刑の終わった後、レイチェルが屋敷に戻り
見知らぬ青年を道案内していた事
その青年が、たった今処刑された男と一緒に居た事を屋敷の者に話してしまったのだ。
それを聞いたロマニ―家当主は、今回の一連の事件が全て誘導であり
愛娘一人を攫う為に入念に計画された武力行使であった事を宣言した・・・。
その結果
レイチェルの見た男の、おおよその人相書きが出回り
懸賞金まで掛けられるという一大事に発展した。
・・・しかし・・・。
そんな大事になった頃には、俺はもうダルトン領を離れ別の目的を求めて旅に出ていた・・・。
そうして
一向に捕まらない盗賊は「ストレンジア・ゴースト」と呼ばれるようになったのだ。
センティアの追及は続く。
「何を・・・根拠に。」
「その胸元の小さなタトゥー。
折れた鍵と開かれた南京錠・・・盗賊団『ブロークス』の人間でしょ?」
ブロークス。
確かに、俺がサーカス団から連れて行かれた盗賊団はそう名乗って居た。
「妨害・疎外」を意味する「block」と
「壊れ」を意味する「broken」とを掛け合わせて付けられた名前だ。
鍵や妨害など無意味。
それら全てを乗り越えて、目的の物を盗み出す。
という意思の表れである。
「だ、だったら何だって言うんだよ!」
「彼等は!数年前のある大規模な討伐作戦で全員捕まった!
・・・一人残らずね。でも、彼等の処刑の際、頭目だった男が言い放ったそうよ?
『お前らは最後の一人を見落とした。』ってね。
・・・その意味が分かる?」
「言葉の通りだろ・・・。一人逃げてたってだけだろ・・・。」
「その通り。
そして、その最期の一人こそ、後にこう呼ばれたわ。
『ストレンジア・ゴースト』ってね。」
「・・・・・。」
「貴方が・・・そうなんでしょ?」
数分の沈黙。
その数分の間に、走馬灯のように蘇る悪夢。
・・・あの日、俺達は当初の予定通り
ダルトン領にある<ロマニ―家>を襲撃する算段を立てた。
作戦の概要は
俺がわざと衛兵に捕まり、手薄となった警備を
盗賊団総数50名で屋敷を襲撃するというものだった。
・・・だが・・・。
直前になって、俺は腰が引け
ダルトン領から逃げ出したのだ。
そして、定刻となり襲撃が始まる・・・。
作戦そのものが貴族たちに筒抜けだったとも知らずに。
盗賊団の中に、何名か金で買収された連中が居たのだと
後になって判明した事だ。
たった50人そこらの盗賊団は
ダルトン領の城下町に配置された300人以上の討伐部隊を相手に
一昼夜戦い抜く事となった。
運よく直前で逃げた俺は、ただの偶然で命拾いしたという訳だ。
その後は散々だった。
ダルトン領から完全に抜け切る前に、追手が掛かる事になった。
不幸中の幸いだったのは、俺の存在は誰も知らなかった事だ。
例え、検問を設置されたとしても
唯の薄汚い旅人として、その検問を通過出来た。
そうして、300人態勢を越えるキツネ狩りから
尻尾の毛一本も掴ませぬまま逃げ果せた。
だが、この程度の事で「伝説」と呼ばれる訳がない。
実はこの話にはもう一つ、重要な出来事が裏では起こっていた。
当時、ロマニー家では
一人娘である「レイチェル・ロマニ―」が一時的に姿を消していたのだ。
当時9歳だった幼い娘。
その動向は、何の偶然か・・・俺が握っていたのだ。
ダルトン領から逃げる際
俺は道に迷った。
無我夢中で逃げた先、小さな湖畔のある広場で
華冠を作り遊んでいる少女と出会う。
・・・ソレが、レイチェルだったのだ。
人攫いなど、俺にはやる度胸がない。
そこで、俺はレイチェルに素直に「道に迷った事」を伝え
ダルトン領から離れたい旨を伝えた。
そこで、レイチェルは見ず知らずの少年を助ける為に
途中まで同行してくれたのだ。
そして・・・この出来事が後に思わぬ事態を呼ぶ・・・。
作戦決行直前
湖畔へ向かう為、街中を歩いていたレイチェルと
作戦について念押しをするリーダー格の男、そして俺は彼女に姿を見られていたのだ。
処刑の終わった後、レイチェルが屋敷に戻り
見知らぬ青年を道案内していた事
その青年が、たった今処刑された男と一緒に居た事を屋敷の者に話してしまったのだ。
それを聞いたロマニ―家当主は、今回の一連の事件が全て誘導であり
愛娘一人を攫う為に入念に計画された武力行使であった事を宣言した・・・。
その結果
レイチェルの見た男の、おおよその人相書きが出回り
懸賞金まで掛けられるという一大事に発展した。
・・・しかし・・・。
そんな大事になった頃には、俺はもうダルトン領を離れ別の目的を求めて旅に出ていた・・・。
そうして
一向に捕まらない盗賊は「ストレンジア・ゴースト」と呼ばれるようになったのだ。
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