ヘタレ盗賊、伝説のアサシンと呼ばれメーワクする。

メカ

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ヘタレ、追想する。

ヘタレ、伝説の始まり。

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ダルトン領から逃げて3か月。

俺は、小国「ミンハダ」に居た。

ダルトン領の東に位置するこの小国は規模こそ小さいモノの
周辺国の流通を一手に担う架け橋の様な国だった。
故に、周辺国に比べ国土が1/3程にも拘らず、王国として認められ
発言力の強い堅実的な国であった。

当初、俺はこの国に腰を据えるつもりだった。

流通の止まらない国。
であれば、それに適した仕事はいくらでもある。

ここから再起を図ればいい。

俺は、人の多く行き交う広場を探し
サーカスで身に着けた芸を披露する「大道芸人」として売り出そうとしていた。

幸い、拠点となる広場は直ぐに見つけた。

だが、すぐすぐ芸を披露する訳ではない。
生活の動線を整える方が先だ。

近場の大衆食堂で、俺は住み込みで働けるよう頼み込む必要があった。

元サーカス団の団員が住み込みで働くなど珍しい。
そう言って、食堂の店主「ロマーリオ」は俺を迎え入れた。

繁忙期となる「昼」と「夜」は店内を手伝い、朝や空いた時間などは
広場や店先で、宣伝を兼ねて芸を披露する。

ようやっと落ち着いた生活を手に入れた。
・・・はずだった。

ミンハダの南。3キロ地点には気象観測用の小屋がある。
その小屋に突如、謎の地下空洞が見つかったと報告を受け国はその話題で持ちきりだ。

地盤沈下が原因か?
あるいは、何らかの生物による活動の跡か。

国は、調査の名目で学者や技術者を数十人態勢で送り込んだ。

しかし・・・彼等が戻る事は無かった。

国民たちは狼狽えた。

あの世の入り口ではないのか?
空洞の中には恐ろしい生き物が居て、彼等は皆その生き物によって食われたのではないか?

数々の憶測が飛ぶ。

強ち、その憶測は間違っていなかった。

空洞が現れて2週間。
その空洞から、大量の化物が噴水の様に湧き上がって来たのだから。

当然ながら、ミンハダは討伐部隊を結成。
バケモノの物量を鑑みて、周辺国にも即座に応援要請を掛けた。

空洞を中心に、バケモノは放射状に散り
ソレを周辺国の討伐連合が迎え撃つ・・・大規模な包囲戦が始まった。

この状況下、全ての問題が解決した時
ミンハダという国は既に滅んでいる。
無理もない。
他国と比べ、国は小さい。
その上、問題の空洞から3キロという尤も過酷な状況で国の防衛戦を行っていたのだから。

この戦いが集結するのに、丸一年は争いが続いた。

・・・不思議な事に、戦場となった地上には
バケモノ・人間双方の遺体は殆ど残っていなかった。

生き残った兵士の話によれば
バケモノは、敵味方に関わらず力尽きた者を引きずって空洞へ戻っていくのだという。

・・・この1年続いた戦争を終わらせた「英雄たち」が居る。

ミンハダを始め、周辺国から集められた義勇兵たちだ。

・・・その中に、俺も居たのだ・・・。

恩人「ロマーリオ」の仇討ちの為に・・・。
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