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「灯谷 スバル」
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午前6時。
目覚まし時計の音が鳴るより先に時計に手を伸ばす青年。
「灯谷 スバル」
今日からまた・・・憂鬱な日々が始まる。
八月某日。
その日は俺の通う高校で「始業式」がある。
学校なんてクソ食らえだ・・・。
通っていて、良い事があった試しがない。
小学生の頃はまだ良かった。
それなりに友達もいた。
・・・だが、中学に上がってから・・・俺はイジメを受ける様になった。
陰口・足かけ・肩ぶつけ。
凡そカースト最下位が受けるであろう嫌がらせは、殆どコンプリートしているはずだ。
中学3年間で染みついた負け犬根性は、高校に上がっても抜けなかった。
人間不信を鍋で煮詰めたような、ひん曲がった性格の俺は
入学式後の自己紹介の席で、盛大にやらかした。
極度の緊張から、舌が回らず
自分で聞いていても「何を言っているんだ?こいつ」という様な凄惨な紹介となった。
それ以降、高校で1年間
陰で呼ばれたあだ名は「吃音君」だ。
それでも、高校に上がってからは、これまでより遥かに落ち着いた学校生活だった。
・・・あの日、我慢の限界を迎えていなければ。
高校に上がって初の体育祭。
親御さんや教師が見守る中、俺はある生徒との間で諍いを起こし
警察沙汰にまで発展した。
理由は、相手からの一方的な罵倒。
給水を目的に、水道へ向かった俺はそこで割り込んできた生徒と揉めたのだ。
それは何時しか、これまで我慢していた何かに引火し
気付けば、殴り合いの喧嘩に発展していた。
互いに顔面を腫らしながら、保健室でも睨み合い
警察の事情聴取は別々に行われた。
そして、揉めた相手が悪かった。
相手は、学園カーストのトップを行くチャラ男。
体育祭で起きた出来事は、瞬く間に学校中に広まった。
・・・チャラ男の都合の良い内容が尾ヒレになって・・・。
その日から、中学の時とは比較にならない凄惨で陰湿なイジメが始まった。
無視は当たり前、学校に行けば椅子や机が無いなんて事もザラだった。
教師も、あれ以来「問題児」認定を下したのか何も言わない毎日だ。
そんな中、漸く訪れた「夏休み」・・・。
平和な一ヶ月は、あっという間に過ぎた。
「始業式」
廊下に張り出された、クラス替えの告知。
「・・・2組か・・・。」
新たな地獄へ向かい、歩を進める。
席は、五十音順。
俺の席は廊下側から向かって二列目の中央だった。
「あそこか。」
あぁ、一目でわかるさ。
机の上に、花瓶に活けられた花が置かれているのだから。
教室の隅でヒソヒソと話す新クラスメート達。
見慣れた光景だ。
「お~っす、皆、オハヨー。」
また一人、新たなクラスメートが一人・・・。
「・・・ん?・・・灯谷?」
「え?」
入って来たのは、見るからにガラの悪そうなギャルだった。
長い金髪をサイドテールでまとめ、やや日焼けした黒いギャル。
当然ながら、俺にそんな知り合いなど居ない。
「・・・・・。」
「だ、誰・・・?」
「おい!誰だよ!灯谷の机にこんな事してんのッ!」
ギャルの一喝が、教室に響く。
その場は直ぐに凍りついた。
「っざけんなよ!マジで!」
ギャルは、花瓶を素早く手に取り黒板目掛けて投げ捨てた。
花瓶は甲高い音を立てて弾けた。
終始、お通夜の様な空気が流れる中、教師がやって来る。
「ホームルーム始めるぞ、席つけ~・・・ってなんだ、これ!誰がやった!?」
その日、新たなクラスは開校一番に雷を落とされる事となった。
そして、件のギャルだが
名前を「鈴守 八重桜」と言うらしい。
・・・どこかで聞いた様な名前なのだが・・・思い出せなかった・・・。
目覚まし時計の音が鳴るより先に時計に手を伸ばす青年。
「灯谷 スバル」
今日からまた・・・憂鬱な日々が始まる。
八月某日。
その日は俺の通う高校で「始業式」がある。
学校なんてクソ食らえだ・・・。
通っていて、良い事があった試しがない。
小学生の頃はまだ良かった。
それなりに友達もいた。
・・・だが、中学に上がってから・・・俺はイジメを受ける様になった。
陰口・足かけ・肩ぶつけ。
凡そカースト最下位が受けるであろう嫌がらせは、殆どコンプリートしているはずだ。
中学3年間で染みついた負け犬根性は、高校に上がっても抜けなかった。
人間不信を鍋で煮詰めたような、ひん曲がった性格の俺は
入学式後の自己紹介の席で、盛大にやらかした。
極度の緊張から、舌が回らず
自分で聞いていても「何を言っているんだ?こいつ」という様な凄惨な紹介となった。
それ以降、高校で1年間
陰で呼ばれたあだ名は「吃音君」だ。
それでも、高校に上がってからは、これまでより遥かに落ち着いた学校生活だった。
・・・あの日、我慢の限界を迎えていなければ。
高校に上がって初の体育祭。
親御さんや教師が見守る中、俺はある生徒との間で諍いを起こし
警察沙汰にまで発展した。
理由は、相手からの一方的な罵倒。
給水を目的に、水道へ向かった俺はそこで割り込んできた生徒と揉めたのだ。
それは何時しか、これまで我慢していた何かに引火し
気付けば、殴り合いの喧嘩に発展していた。
互いに顔面を腫らしながら、保健室でも睨み合い
警察の事情聴取は別々に行われた。
そして、揉めた相手が悪かった。
相手は、学園カーストのトップを行くチャラ男。
体育祭で起きた出来事は、瞬く間に学校中に広まった。
・・・チャラ男の都合の良い内容が尾ヒレになって・・・。
その日から、中学の時とは比較にならない凄惨で陰湿なイジメが始まった。
無視は当たり前、学校に行けば椅子や机が無いなんて事もザラだった。
教師も、あれ以来「問題児」認定を下したのか何も言わない毎日だ。
そんな中、漸く訪れた「夏休み」・・・。
平和な一ヶ月は、あっという間に過ぎた。
「始業式」
廊下に張り出された、クラス替えの告知。
「・・・2組か・・・。」
新たな地獄へ向かい、歩を進める。
席は、五十音順。
俺の席は廊下側から向かって二列目の中央だった。
「あそこか。」
あぁ、一目でわかるさ。
机の上に、花瓶に活けられた花が置かれているのだから。
教室の隅でヒソヒソと話す新クラスメート達。
見慣れた光景だ。
「お~っす、皆、オハヨー。」
また一人、新たなクラスメートが一人・・・。
「・・・ん?・・・灯谷?」
「え?」
入って来たのは、見るからにガラの悪そうなギャルだった。
長い金髪をサイドテールでまとめ、やや日焼けした黒いギャル。
当然ながら、俺にそんな知り合いなど居ない。
「・・・・・。」
「だ、誰・・・?」
「おい!誰だよ!灯谷の机にこんな事してんのッ!」
ギャルの一喝が、教室に響く。
その場は直ぐに凍りついた。
「っざけんなよ!マジで!」
ギャルは、花瓶を素早く手に取り黒板目掛けて投げ捨てた。
花瓶は甲高い音を立てて弾けた。
終始、お通夜の様な空気が流れる中、教師がやって来る。
「ホームルーム始めるぞ、席つけ~・・・ってなんだ、これ!誰がやった!?」
その日、新たなクラスは開校一番に雷を落とされる事となった。
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