霊媒師、代行します。

メカ

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「特異体質とホラ吹き」

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「・・・あのぉ~、鈴守さん?・・・どうして、こんな所に来るので?」

昼休み。
賑わう教室や学食を差し置いて
俺は、屋上階段の踊り場にいた。
状況から言えば、ここに来たのは俺の方が先のはず
なのに、その一言が口をついて出た。

「どうしてって・・・お昼食べるからに決まってんじゃん。」

「あ、いや・・・何ゆえ、ここで?」

「うるせぇぞ?モブ谷。」

暫くの沈黙が二人を包む。

「ねぇ、灯谷ってさ・・・○○小学校だったでしょ?」

「え!?な、なんでそれを?」

「・・・やっぱり覚えてないんだ。一緒に学校行ってたのに。」

「な!は?・・・え!?」

「まぁ、無理ないか。見た目こんなだし、苗字も変わったし。
2つ隣に住んでた、栗原だよ。」

「・・・・・や、ヤエちゃん!?」

「あっはは、さくらだっつーの。」

その瞬間は衝撃だった。
古い記憶を呼び起こし、まるでゆっくりと波及する地震のような・・・。
じわじわと駆け上る衝撃。

暫くは、過去の話で盛り上がる。

そして、チャイムが鳴ろうとしたとの時。

「アンタ、虐められてんの?」



キーーンコーーンカーーンコーーン・・・。



その答えを口に出すことはなかった・・・。

放課後。逃がすまいと鈴守が俺を待ち伏せていた。

「まだ、話終わってないけど?」

「・・・ウルセェな・・・。なんだっていいだろ?放っておいてくれ。」

「うん、ヤダ。」

「はぁ?・・・お前も知ってるだろ?俺が一年の時に問題起こしたの。」

「それはね?・・・でも、あそこまでされる程の事かな?」

妙に痛い所を突いてくる。

「・・・この高校にはさ、俺の中学の時一緒だった奴が何人かいるんだよ。」

中学に上がったばかりの頃だ。

俺は「ホラ吹き灯谷」と呼ばれていた。

人に見えない物が、視えたから・・・。

ハッキリ言ってやろうか?
視えただけで何がいいんだよ?
噂を聞きつけやってくる連中は、対外癖の強い変な連中で
すぐに難癖付けて騒ぎ立てる奴しかいなかったよ。

そんな中、ある一人の同級生の後ろに・・・視てしまったのだ。
とてつもない、恐ろしい者が憑いているのを。

年老いた男が、斜め後ろから同級生の腕を引いている。
その老人の顔は、左半分が潰れ、かろうじて認識できる右半分の顔は
苦悶の表情を浮かべながら必死に彼の後を追い縋っていた。

「な、なぁ。・・・右腕・・・気をつけろよ?」

親切心からだった。

だが、彼はその一言を気味悪がり
俺をホラ吹きだと吹聴した。

実際、最初は「右腕?どういうことだよ?」と
話を聞こうという意思は感じたが・・・。

俺は視えるだけで「解る」訳じゃない。

「いつ、どこで、何か起こるのか」そんなことは言えない。

最初は彼も、忠告を素直に聞き入れた。

だが、一ヶ月も立てば「何も起こらないじゃないか」と騒ぎ立てる。

その三週間後
彼は通学時に不慮の事故で、右腕を骨折した。

運悪かったのは、その事故現場に俺が居合わせた事だ。

下り坂
自転車で駆ける彼は、後ろから来た配送トラックのミラーとぶつかってしまった。
その衝撃で、彼は軽く宙を舞った。
・・・その一部始終を下り坂の上から見てしまったのだ。

迅速に救急車などを手配し、彼の両親からは感謝の言葉すら貰ったが。

彼はそれすらも「逆恨みだ」と宣った。

同調圧力とは恐ろしいものだ。

それまでも、俺の「特異な体質」を「ガセ」だという連中は散発的にいた。

だが、一人の英雄がそれらの声を束ね「ホラ吹き灯谷」が出来上がった。




「俺が、トラックに当て逃げされるの見て、そんなに楽しかったかよ?」

病院から学校へ戻ってきた彼に最初に言われた一言だ。

あの日から、俺の学校生活は大きく変わったのだ。

そして、今
高校でも陰惨なイジメを受けているのは
件の事件も然ることながら、中学時代の連中が根も葉もない噂を流しているからだ。

俺の過去を、表情一つ変えず
鈴守は、最後まで話を聞いていた・・・。
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