上 下
8 / 12

精霊の国〜2〜

しおりを挟む
「この方が精霊王エディス様です。」
連れてこられたそこに居たのは顔の整った男性だった。
「え…精霊王様って男性?」
記憶では女性だった気がしたのだが。
精霊王がヒロインや悪役令嬢よりも綺麗であり、このゲームでは唯一の露出度高め衣装をまとっていたため男性層にはもちろんのこと、女性層からも人気を集めていた。
少し、ポカンしていたオフィーリアだったが少し考えたあと思い出したように教えてくれた。
「人間界で言う『性別』ですが私たちのような自然に宿る精にはそのようなものはありません。生まれた時に自分の好きな姿で生まれることが出来るのです。」
(そういう事か……)
私は納得し…
(え、解決してないじゃん)
画面の中では女性の姿だったし、設定資料でも女性と記されてたはずだ。
「精霊王様はずっとこのお姿なのですか?」
彼女は頷いた。
やっぱりこの世界はおかしい。
キャラの性格、出来事、更には性別まで何から何までバグっている。
何がどうなっているのだろう。今すぐ、この正体を調べたかったがそれどころでは無い。
「そうなんですね。早速、精霊王様を助けようと思うのですが私は、最近聖なる光と土魔法を使えるようになったので上手くできるか分かりません。そこはわかってもらえると嬉しいです。」
一言オフィーリアに言ったあと私はゆっくり息を吸い込む。
魔力が体の中を流れているのを感じた。
「自然の恵みと我が魔力を精霊王エディスに。」
指にその魔力を集中させ彼の頭から魔力を入れていくと、どんどん私の中の魔力が無くなっていくのが分かる。
ルイを助ける時に初めて聖なる光を使ったがそのときでは2回でだいぶ長い時間気を失っていた。
今回はとても消耗が早い。もしかしたら3日ではすまないかもしれない。
力が入らなく意識を失いそうになる。
「救世主様、もう少しです!!」
私は何とか意識を保ちながら魔力を注ぎ続ける。
「もうだめ……」
私は耐えられず床に倒れてしまう。
冷たい大理石の床がなんとか私の意識をここにとどまらせてくれていた。
「……精霊王様っ!!!!!」
オフィーリアの声がかすかに聞こえる。
(よかった…)
彼が目を覚ましたことを確認するとプツりと意識が途切れた。

(最後の大理石の感触とは違う?頭の下が柔らかいくてまるで足…)
「おはよう、ジャネット」
精霊界に来る時に聞いた声。
私は慌てて目を開けた。
「精霊王様!?」
私は精霊王様に膝枕をされていたのだ。
起き上がろうとしたが、頭を押さえつけられてもう一度同じ体勢になる。
「君は君の中にある魔力をほとんど使ったんだから、もう少し安静にしていてくれ。それにわたしを助けてくれたんだ。エディスと呼んでほしい。」
エディスはふわりと笑いながら私に言った。
「エディス、私帰らないと……待ってくれている人達がいるの。」
エディスは少し驚いた顔をしていたもののすぐに笑顔に変わった。
「もう少しここにいてくれ。きっとここは君にとってどこよりも素晴らしい場所だから。」
やさしい手で頭を撫でられる。
(気持ちいい…)
私は眠気に襲われ、瞼を閉じるだった。
「まだ執着しているのか…しっかり魔法はかけたはずなのだが…」
エディスがそう呟いたのは私が眠りに落ちたあとであった。

「ジャネット、起きてくれ。宴が始まるよ。」
「ひゃぁっ!?」
私は耳元から聞こえたエディスの声で目が覚める。辺りは明るく、まだ昼のようだ。
「ふぅ。分かったわ。これからは、耳元で囁くのはやめてもらえる?心臓に悪いわ。そういえばこの服じゃあ宴に合わないわよね…」
私が来ているのは動きやすいワンピースのようなもの。
(いつもはドレスを着ているはずなのになんでこんな服を…)
私は少し疑問を持ったものの、宴が始まるようなのでまずはこれをどうにかしようとした。
「ジャネットのためのドレスがあるんだ。さぁ、こっちに来て。」
私は右手を恋人繋ぎで握られ、隣を歩く。
(この感じ、いつか感じたことがある気がする。でも、私は生まれてからお母さんにさえ手を握って貰えなかったのに、そんな記憶はあるはずない。多分気のせいだ)
大事なことを忘れているような気がしたが、前に、誰かに忘れてしまうということはそれほど大事では無いと聞いたような気がしたため、放っておくことにした。

「きれい…」
エディスに連れてこられた場所にあったドレスは、水色で宝石の欠片が散りばめられていた。 
「わたしは、ジャネットにこれを着てもらいたいのだが気に入ったかい?」
私の好みにピッタリでまるで私のためだけに作ったようなものだった。
「ええ、素敵ね。これにするわ。」
私は、エディスにエスコートをしてもらい会場へ行く。
木々に囲まれたパーティー会場はすごく心地が良かった。
「ジャネット。今日は好きなだけ食べていいよ。」

「見たことも無い料理ばっかり!!全部美味しそう!」
私がはしゃいでいるとエディスが声をかけてくる。
「ジャネット、見たこともないって…この料理は一般的に食べられてるものじゃないか。」
そう言われてみればそうだ。この国に来て以来いつもメイドの妖精達が運んできてくれる料理だ。毎日食べているのに…
「ごめんなさい…なんか新鮮さを感じてしまったの。なんでかしら…」
するとさっきまでの顔はなかったかのように彼はまた優しい笑顔を私に向けた。
「すまない。わたしも怒ったつもりではなかったのだが…あっ、もしかしたらその新鮮さはこの会場のせいじゃないか?」
少し焦っているエディスのいつもと違う一面を見ることが出来て私はつい笑ってしまった。
「せっかくエディスが来てくれたんだから一緒に食べ物を取りに行きましょう!」
私は手を取りエディスを連れていくのだった。

「ふぅ、おなかいっぱい…」
宴は素敵なものだった。
料理は美味しくて、みんなも優しい。何も考えなくてもいい時間。
「ずっとここにいたいわ…」
ふと、声が漏れる。
今、家に帰ってもお母様達に暴力を振られるだけだ。こんな幸せな時間を手離したくない。
「じゃあ、結婚しちゃおうか」
色々な方に挨拶をして回っていたはずのエディスが後ろから声をかけてくる。
「結婚!?」
驚いたものの、結婚はとてもいいかもしれない。ずっとここにいられる。それもこの国の王妃として。
「実はもう1着ドレスを用意していたんだ。」
彼はにっこりと笑うと、私をそのドレスのある方に連れていってくれた。

先程とは違い布がかぶせてある。
エディスはクイッと指を動かし魔法でそれをふわりと空にあげた。
出てきた艶やかな純白のドレスは私を魅了させた。
でも、なにかが物足りない。
「ふふ、ジャネットは顔に出やすいね。最後にわたしが完成させるよ。」
するとドレスに糸が通され、刺繍が施される。
それと同時にヴェールが編まれていく。
ところどころに刺繍が施されているそれも純白のドレスと同じくらい美しいものだった。
「とても素敵だわ…」
私がベールとドレスに見とれていると隣でエディスが膝をつき指輪を胸の前に出す。
「ジャネット、私と結婚してくれないか?」
私は左手を前に出し、承諾の意を示した。
なにか大事なことを忘れてる気がする。そんな感覚に一瞬なったがこの前と同じことがあったため、もうそんなことどうでもいい。
(エディスと結婚をすればもうあんな生活に戻らなくのもいいの。この結婚を拒む理由なんてないわ。)
そうして私は指輪の前に左手の薬指を差し出した。

長い間眠りについていたが、わたしはずっと1人の少女を見ていた。
ジャネット・リリアン。
私は、未来を見る能力を持っている。
その人の人生でいつ何が起こるのか。そして、いつ死ぬのかまでもがお見通しだった。
未来の世界に入って見るのだがその時間軸には一切関与することは出来ない。ただ見るだけの能力である。
ある時、5歳になった人間界の王子の未来を見ているとうっすらと未来が見えなくなるところがあった。
こんなこと今まで起きたことがなかった私は混乱し、他の人も見て回った。
するとほとんどの人が今から約13年後の未来が見えないこと、そしてある特定の人物と関わりがある人は10年後以降の未来がところどころ見えなくなっていた。
その人物こそがジャネットだ。
試しにジャネットの未来も見た。
公爵令嬢として生まれた彼女だが、その生活は酷いものだった。見るに耐えれずそこから5年後の10歳の時の彼女を見てみると今度は我儘な姿が映っている。
(あのまま育ったのだろうか…)
わたしは心を痛め、15の時を見た。
高熱でうなされる彼女。周りには誰もいなく、ただひとりで苦しんでいる。
額に手を伸ばすがもちろんその手は届くはずもなく彼女をすり抜けた。
「んん…」
彼女が声を出したその時だった。
真っ暗な空間が広がる。
「見えない…」
未来が見えないかった。 
うっすらとも見えない彼女の未来は私の好奇心を揺さぶった。
未来を見てから10年後、未来を見ることよりもジャネットの現在を見ることの方が楽しくなりずっと彼女についていた。
周りに居るのは異常者ばかり。彼女のためなら命をも惜しまないそんな奴らばかりだった。
だが、そんな奴らにも優しく接する彼女はまるで天使のようで私は次第に好意を持ったのだった。

「私は精霊に会いに行ってくるわ。」
ある日突然そんな言葉を耳にした。
人間界では精霊とは架空の生き物と記されていたはずだ。それなのに彼女の目はいることを初めから知っているようなものであった。
しかし、今のままでは彼女が精霊に会うことは不可能。
今はわたしの力が働いていないから精霊の木もなく、精霊界と人間界を繋ぐことは出来ないからである。
だが、どうしても彼女に触れたい。
昔、父に聞いた話を思い出した。
「我々、精霊王のみぞ持つことの出来るこの未来予知の特殊能力は普通の特殊能力とは違う。この能力を代償に願いを叶えることができるんだ。」
(この力を捧げればジャネットをわたしのものにできる…)
ずっと使ってなかった未来予知の力など、もう、どうでもよかった。
わたしは決心した。私の力で彼女を精霊界に連れてくると。

無事、彼女だけをここに連れて来ることが出来た。
妖精たちも彼女の魔力量と可能魔力属性を聞くとわたしを助けることができるとすぐに気づき、すぐに私のところへ彼女を連れてきてくれた。
普通の人ならば対価を求めようとするが彼女はそんなものは求めない。そういうところも好きだ。
頑張って魔力を注いでいる彼女を見ているとだんだん体に力が入ってくる感じがした。
(今なら戻れるかもしれない)
私は何千年かぶりに体に入る。
私の体はずっと拒み続けてきたのが嘘のようにするりと魂と融合した。
目を開ける。
横には妖精の長であるオフィーリアと倒れたジャネットがいた。
「精霊王様!!!!」
オフィーリアが胸に向かって飛んでくる。
申し訳ないが、今はそれどころでは無い。
「オフィーリア、今まで妖精たちをありがとう。まずは、彼女を休ませたいんだ。少し席を外してもらってもいいかい?」
私はジャネットに目を向けながらオフィーリアに優しく伝える。
彼女は泣きながら一礼して外へはばたいていった。

私は魔法で彼女を中庭まで連れていき、私の膝に彼女の頭をのせる。
「まずは…」
私は、彼女が帰ってしまわないように記憶を失う魔法をかけた。
念の為、耳にピアスをつけそこにも同じ魔法をかける。魔力量が多い人には他人の魔法がかかりにくいと聞いたことがあったからだ。
(記憶を失いきってから新たな記憶を上書きしよう。出来ればあまり彼女が違和感を感じないような…)
平民出身の彼女は両親から虐待を受けてきた。
ある時、お城でパーティーが開かれることになったため親から逃げるために参加したのだ。
こんな感じで私は設定を作り魔法を構築していく。
(もう意識を取り戻したか。)
もう、あなたは誰のことも思い出せない。わたしから抜け出せなくなる。
込み上げてくる嬉しさをこらえ、優しく告げた。
「おはよう、ジャネット。」


真っ青な空の下、大きな鐘の音がわたしたちを祝福する。
「汝、ジャネットを一生愛することを誓いますか」
「はい誓います。」
「汝、エディスを一生愛することを誓いますか」
私の魔法は解けることなく時が過ぎ宴の最中に結婚を発表してその場で誓いの言葉を交わすことにした。
誓いの言葉を口にすれば、妖精の魔法で一生離れることは出来なくなる。今の彼女は今まで見てきた中で1番幸せそうであった。これで彼女は私のモノ。


「姉さん…?どこに行ったの…」
あとから中心に着いたノアは呟いた。
先に着いていた2人はただ呆然と立ち尽くしている。
それは一瞬の事だった。
急に走り出したジャネットを初めの方は少し驚いていただけだったが、すぐに彼女がおかしいことを察し、追いかけた。
しかし遅かったのだ。目の前からスっと姿をした。
少しの間立ち尽くしていたアルフォンスだったがすぐに周囲を周り始めた。
「皇子、何をしているんですか?そんなところ見ても姉さんはいませんよ」
しかし、アルフォンスは中心に戻ろうとはしない。
「ジャネットはここで消えた。僕は周囲を探索してみるよ。なにかの魔法かもしれないしね。」
やはり皇子は何があっても冷静でいられるのだと2人は感心していたが、すぐにその考えはかき消された。
「もし、僕がここで彼女を助けたら彼女の心は僕のものになるはずだから。君たちはゆっくり休んでてもいいよ。」
2人は呆れると同時に自分の敵が強敵なのだと感じた。
「僕の方が助け出すんで。皇子様は座ってお茶でも飲んでてください。」
「アルフォンス様、ノア様、貴族のあなた方には探索は難しいでしょうから、私に任せてお帰りください。」
単独行動を始めた3人は一切喋ることなく作業に取り掛かるのだった。

「2人とも、今何時ですか?」
ずっと静かだった空間に音が響く。
「皇子、時計持ってましたよね、自分で見てください。」 
ノアは呆れたように吐く。
だが、そんなノアの様子を気にしないようにアルフォンスは同じテンポでもう一度言う。
「時間が知りたいわけじゃないんです。時計をよく見てください」
2人は渋々懐中時計を見る。
すると、あることに気づいた。
「時間が進んでない…」
この森にやってきたのが12時。だが体感1時間経った今の時間を時計で見ると12時である。
「こんなこと起こるのは精霊の森しかありえません。とうの昔に滅びたものとされていたのですが、まさか本当にあるとは思いもしませんでした。」
みんなジャネットと一緒にいたいからついてきただけであり、精霊のことなんて少しも信じていなかった。さっきまで、ジャネットが魔法を使って隠れているだけかと心のどこかで思っていたのだ。
「ってことはお嬢は精霊に連れていかれたんですかね?」
ルイが先程より暗い顔でアルフォンスに問いかける。
ジャネットが魔法で隠れるのと精霊に連れてかれるのは重大さが違う。
「いや、人間界と精霊界を繋ぐことが出来るのは精霊王だけだったはず。それに今、精霊王は眠ってるんですよ。ここにあるはずの大樹がないのが証拠です。」
しっかり見るまでは分からなかったがこの場所は誰もがどこかで見たことがある。
国でいちばん有名な精霊に関しての絵本の場所そのものなのだ。木がなかったからルイとノアはわからなかった。
ノアは納得しながらもその顔は話を聞く前より歯を食いしばり、顔は歪んでいた。
「精霊王よりも偉いのなんて…」
この世界には三大治者と呼ばれている者がいる。
それは、人間界の王でありこの国の王「リチャード」、精霊界の王「エディス」魔界の王「マーラ」。
この3人の力は対等である。そのため精霊王より強い人など、この世に存在しないのだ。
もう精霊界に行った彼女を取り戻すことはできないのだろうか。
「どうすれば…」
全員が中心に集まってくる。
すると後ろの方から何かが彼らの真ん中に飛び込んできた。
「ポチ!?」
今まで彼女はずっとストレートヘアーだったからてっきり一緒に精霊界に言っていたと思っていたがポチだけ跳ね返されていたらしい。
ポチは魔法で真ん中に小さな砂場を作り、木の棒を動かし始めた。
『ご主人様は精霊王に連れてかれたんだ。僕の生みの親だから精霊王のことは多少は分かるよ。ご主人様は助けられる』
スラスラと書かれるその文字に全員が目を疑う。
「姉さんが助けられる…?」
「ポチ!どうやったらいいんだ!」
ポチは書かれた文字を全て消し、もう一度棒を動かし始めた。
『王の上はいる。神だよ。』
「神なんて本当にいるんですか!?」
この国に神という存在はいる。だがアルフォンスはただ国民の精神安定剤のようなものでしかなく商業のひとつに過ぎないと思っていた。
『神は君たちを助けてくれる。君たちが協力出来たらの話だけどね』
ポチは、棒を消した。
すると、ポチはくるりと回転し、そこから煙が上がる。
「棒で魔法を操ったからだいぶ魔法に慣れたよ。これが本来の姿。人間たちにはルキスって呼ばれてるね。」
その姿は絵本で英雄と共に絵画に描かれていたものとは異なる可愛らしい見た目の男の子であった。
「ルキスは確か、もう少し大人だった気がするんだけど、ほんとにお前がそうなの?」
ノアは半信半疑でルキスに問いかける。
「しょうがないなぁ…まぁ、後でやろうと思ってたし今からでもいいや!今から僕がルキスだって見せてあげる。」
すると、ルキスは片手を手を空にあげ、人差し指を突き立てた。
「魔法陣《マギアサークル》」
ジャネットが聖なる光を使った時と同じように辺りが光に包まれる。目を開けると魔法陣のようなものが書かれたていた。
「これは…」
「神をこの世界に呼ぶ魔法陣だよ!属性王と精霊王しか出来ない技さ。これで信じた?」 
本の中でしか見た事のないその魔法陣には彼らはあまり驚かなかった。ここまで来るとなんでもありのような気がしてきたのだ。
「では、これで神を呼んでジャネットを連れ戻してきてもらえばいいんですね。では、神を呼ぶ方法を教えて貰ってもいいですか?」
ルキスは呆れたように告げた。
「神は連れてきてなんてくれないよ。君らをあちらの世界へ送るんだ。ちなみに神を呼ぶんだから簡単に出来ないよ。それでもやる?」
その話し方に少しムカついたがジャネットを助けるためだ。
全員頷いた。
「それで、どうやればいいんだ。姉さんを助けたいから早くして。」
ノアはなかなか神の呼び方を教えてくれないルキスにイライラしていた。
「やる内容は2つ。1つ目は追憶。今までの記憶を遡って見るんだ。2つ目は後で説明するよ。じゃあ準備はいい?ただ自分の過去を見るだけだから面白いと思うよ!」
彼らはは少し身構え、ルキスが始めるのを待つ。
「さっきは楽しいかもしれないって言ったけど君らはどうだろうね……頑張って。それでは行ってらっしゃい。追憶《リコールド》」
しおりを挟む

処理中です...