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しおりを挟む司は相も変わらず部長のセクハラを聞いて、この人そのうち何かヤラカスんじゃないかと思っている。
楓は楓で男性に話しかけられても真面目に受け答えするので完全に脈無しと判断される始末。
変に言い寄られても困るので楓には都合がいいのだ。
交際を始めて3ヶ月ほどが経過した頃。
「どしたのお父さん?」
楓に父からの電話。
「彼とはどうなんだ?」
「どうって、別に?」
「結婚の話とかしないのか?」
「そんなに結婚させたいの?」
「お前が結婚したいと思う相手ならパパは何も言わん。」
「パパって…。」
「まぁ…娘を心配する父親がウザいとでも思っとけ。」
「うん、ありがと。」
父親を鬱陶しいと思った事は無い、世間で良く言われている父親がウザいとか、臭いとか気持ち悪いとかといった事は、自分の父に思った事は無い、割と父親は好きな方なのだ。
余所の父親がどんなのかは知らないが、自分の父は変な人だが嫌な人ではない。
学生時代に同級生から良く聞いた話を楓なりに解釈した結果、父親に対する感情や態度は、母親が父親にとる態度を子供が見ているからではないかと思っている、楓の両親は仲良しなのだ。
父親は口煩くて鬱陶しいとか聞くが、それは子供にも原因があり父親だけのせいではないのだと思っている。
「親って難しいんだな…。」
自分が親になった時は、両親のような感じを思い描いている。
妹は元気で居るのだろうか。
子供の頃は打たれ弱い子だったが大丈夫なんだろうか。
変な事してないだろうか。
妹にも生活リズムがあるだろうから用も無いのに連絡などはしない。
次の日に仕事で取り引き先に書類を届ける役が回ってきた。
少し距離があるので社用車を使って移動していたら街で司を発見。
どこ行くんだろ?女性と一緒だったな、会社の人なんだろうけど。
外回りも大変だなと思いながら書類を届ける楓であった。
司はハインズワーキスとの契約の件で出ているのであって、係長はあまりウロウロしない。
楓は父親とは違う会社に勤めているが、大元の会社はハインズワーキス社なので結局は本社専務の令嬢として役員達からは見られている。
司が他の女性と歩いていたのは仕事でと理解しているのだが、なんだか落ち着かない自分が居る、電話で聞いても良いのだが、仕事でと返されるのは解っている。
モンモンとしながら日々を過ごしていると、ファインエンジニアリングと言う会社から本社系列の契約の話しで先方が来ているらしく、なぜか楓がサポートに選ばれた。
訳も分からず応接室へ向かう事になったのだが…。
「係長、私は契約の話しなんて解りませんよ?」
「あぁ、そうだろうね、だが上からキミをとの指示が出ていてね、本社から流れてきた契約の仕事だから張り切ってるんだよ、スマンが頼むよ。」
「出来る限りで。」
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