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領地への移動中の馬車は、快適とは言い難く、道は整備されているものの舗装されているわけではないので、なかなかの揺れである、最初の町まででギブ寸前。これまだ出発して半日…耐えたとしても2日で死ぬな。

ユーリ»「もう許して下さい。」

シルフ»「まだ出発して少ししか経っていませんよ?馬車移動に慣れないと、この先ずっと辛いですよ?」

心配そうにシルフが既に瀕死の私を介抱してくれている。

ユーリ»「もう帰る~。」

シルフ»「子供ですか、今までも馬車に乗ってたじゃないですか。」

ユーリ»「あんなすぐ近くに見える場所に移動するだけで乗ったって言わないよ~。」

シルフ»「仕方ありませんね、予定を伸ばしてゆっくり進みます。」

ユーリ»「すんません。」

ぐったりした私にアルザが水を持ってきてくれた。

アルザ»「ご主人様、お水です。」

ユーリ»「ありがとアルザ…」

アルザ»「大丈夫ですか?」

頭なでなで癒しタイム。

ユーリ»「そろそろご主人様って言い方は辞めようか。」

アルザ»「…………。」

ユーリ»「なんて顔してんのよ?」

アルザ»「…ご主人様はご主人様じゃなくなるのですか?」

ユーリ»「私はアルザの主人だとは思ってないけどな。」

アルザ»「!?」

ユーリ»「なに泣きそうな顔してんのよ?」

アルザ»「私はどこかに連れて行かれるのですか?」

震えた声、売られると思ったのか。

ユーリ»「アルザはどこにもやらないよ?誰にも渡さない。」

抱き寄せて頭なでなでしたら、しっぽがユラユラ動いた。

アルザ»「では、おッ  お義母様。」

ユーリ»「う”ッ!?  私はアルザの中ではお母さんなのかな?だがしか~しッ!!!  お姉ちゃんで。」

アルザ»「おねいちゃん?  お姉様?」

ユーリ»「いぃね、それッ!!」

ビシッと人差し指をアルザに向けて言った。
また地獄の馬車に揺られて休憩や野営等をしながら5日が過ぎて、そろそろマジギレしそうだと予感したのかラナが、すぐに村に着くからと言ってきた。 既に領地に入ったらしいが、今はどうでもいい…

シルフ»「ユーリ様、かなりお疲れのご様子ですが、後2日程ですので、もう暫くの我慢です。」

ユーリ»「まだ2日もあんの? もう戻るのも不可能だから行くけどさ…みんなよく平気だね…逞しいわぁ。」

シルフ»「ユーリ様はどんな物で移動していたのです?私達はこれが普通なので。」

ユーリ»「もっと平らな道で、クッションの良い車?」

シルフ»「クッション、ですか?それは揺れないのです?」

ユーリ»「いや揺れるけど、こんなガンガン跳ねない。」

などと話してたら村に着いた。あまりの乗り心地の悪さに今更だが馬車の下を見た。緩く曲線を描いた鉄板が見えた。こいつか…

ユーリ»「これは改良しなきゃ私が死ぬな。」

ラナ»「なにかありました?」

ユーリ»「こんな鉄板、板バネだから跳ねるんだよ、もっと柔らかい物ならフワフワして…酔うか…魔法でババーンって行けないの?」

シルフ»「ムチャ言わないで下さいよ、そんな魔法ないです。」

あまりの疲労にイラギレしだした。








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