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しおりを挟む馬車を奴隷さん達に任せて執務室へ戻る。
最近、やたら届くアルザへの支援の申し出の書状…。 アルザの後ろ盾になって、私を操り自分が他より優位に立ちたいと考えてそうな貴族しか居ないのだろうか?子爵位が殆どだが伯爵位も居る、さすがに侯爵位ともなると来ていない、アルザには既に宰相の後ろ盾が有る事もロクに調べず呑気な物だ。
わざと宰相のミドルネームを貰ってアピールしたのだが、思惑はハズレだったようだ。宰相の機嫌取りでもあるけどね。
まず宰相に連絡して お伺いを立てた方が良いだろう、勝手に動くと後で面倒な事になりかねない。宰相に向けて、アルザに支援の申し出等の ちょっかいを掛けてくる貴族が居ると手紙を書いて届けてもらった。後は宰相がキレて貴族達を叱ってくれるのではないだろうか?
ユーリ»「貴族って面倒だよね…。」
シルフ»「見栄や威厳を気にする者が多いですので、いくらかは目を瞑ってあげて下さい。」
貴族のシルフが言うんだから間違いではないだろうし、自分も同じ考えなので納得した。それから数日が経過して馬車の準備が出来、製氷装置を馬車の中に入れるのを苦労した、先に設置しておくべきだったかも知れない。そして試運転、なかなか冷えないと思うので、予め馬車の車内を魔法で凍らせた。
日中放置で冷却してれば ひとまず成功だ。たまには馬でも見ようかなと思って馬小屋を覗いてみたら、なんだか生活感のあるスペースを見つけた。ん?と思って近付いて行ったら、誰かが寝泊まりした痕跡があるし、食器らしき物も置かれている、侵入者なら警備が捕まえているだろうし、なんだろう?と思って考えてたら閃いた、これ奴隷さん達が寝てるんじゃ?と思って聞いてみた。
奴隷達»「はい。俺達が寝るのに使わせて頂いております、いけなかったのでしょうか?」
ユーリ»「……いけなかったのです。なぜ馬小屋なんですか?わざわざ馬と寝なくても街に空き家があるでしょう?」
奴隷達»「勝手に住み着くのは叱られると思ったので、申し訳ございません。」
ユーリ»「貴方達は廃屋で隠れてたのに、私に会う為に出てきて なぜわざわざ奴隷のような生活を選ぶのです? 私の庇護下に居るのなら、こんな場所で寝るのは許しません、気に入った空き家に住みなさい、少しの手直しで済むマシな家は有るはずです。」
奴隷達»「はい、申し訳ございません、お慈悲をありがとうございます。」
ユーリ»「慈悲ではなく貴方達が持つ権利です。」
奴隷達»「…権利…。俺達に…権利…。」
ユーリ»「そうですよ、この地に居続けてくれるのであれば、貴方達には家に住む権利、選択の自由があります。」
奴隷達»「ありがとうございます。」
深々と頭を下げ、言われた通りに家を探しに行った。気に入る家が有りますように。
そして馬車を普通に忘れるユーリ。
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