届かない想い

真條 沙織

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7 パーティー②

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パーティーでキョロキョロするのは恥ずかしい行為なのだが、リュークを探す為には仕方ないのだ。

さりげなく辺りを見回しリュークを発見。
近付いて話しかけたいのだが足が言う事を聞かない。
これといった用も無いのにリリスを見そうになったが思い留まった。

動けずに時間だけが過ぎていき、それを誤魔化すのに近くのテーブルにあったスイーツを食べた。

暫くそんな事をしていると、さっきの令嬢コンビが近付いてきた。


ミレリア»「ミリアネール様、こちらのケーキは美味しいのですか?」

ミリア»「あ、はい、美味しいと思います。」

セアリーナ»「あら、美味しいですわね、あちらのクッキーも美味しいですのよ?」


とか言われて連れて行かれた所にリュークが居るのはワザとだろ。
などと思いながら2人に連行されてリュークの近くに来ている。


セアリーナ»「こちらのクッキーも美味しゅう御座いますよ?」

ミリア»「では。」


進められて食べたクッキーは美味しかったが、リュークが近くに居るのでドキドキ状態である。


ミレリア»「リューク様はお1人ですの?」


(o゚3゚)・;'.、ブッ 


セアリーナ»「あら大丈夫ですの?」

ミリア»「すいません失礼しました。」

セアリーナ»「ミリアネール様とリューク様は確か同い年でしたわよね?」

リューク»「はい。同じ13歳です。」


リュークがミリアを覚えているとは思わなくて驚いていると。


リューク»「3年ぶりでしょうか、お久しぶりですミリアネール様。」

ミリア»「お久しぶりですリューク様、私を覚えておいでだったのですか?」

リューク»「覚えておりますよ、3年前は可愛かったですが、今はとてもお綺麗になられましたね。」


社交辞令だと分かっていても気絶しそうなぐらい嬉し恥ずかしい。

などと思いながら横を向いたら令嬢コンビがテーブルの反対側に居て2人で話しているではないか!?

(○‎ࠏ○)え!?

ヤバいテンパってきた。
なにか話さないと…。



リューク»「私はパーティーに慣れておりませんので失礼が御座いましたら申し訳ございません。」

ミリア»「え?いえ、私も慣れておらず失礼な事が御座いましたら申し訳ございません。」


焦ったらダメ焦ったらダメ。


ミリア»「リューク様が私を覚えていて下さった事は嬉しく思います、10歳のパーティーでお会いした1度きりでしたので。」

リューク»「あのパーティーで私は貴女に助けて頂きましたから。」

ミリア»「え?私なにかしました?」

リューク»「私は下級の男爵家の者ですので、中級貴族のご子息や上級貴族のご子息に逆らう事は出来ないのです、あのパーティーで私は下級貴族の子と罵られていた所を、ミリアネール様に睨まれて私を罵っていた方々は逃げて行ったのですよ。」


      (〇⌓〇)…え…?


ミリア»「ゴメンなさい、その事は覚えておりません…。」

リューク»「いえ、私が覚えておりますのでお気になさらず。」

ミリア»「私そんな事したんですね…。」

リューク»「あれ以来、私を罵る方は今まで現れませんでした、ずっと貴女に守って頂いていたのですよ。」

ミリア»「まさか…その事があって婚約者がいらっしゃらないとか…?」

リューク»「まったく無関係では無いですが、私に婚約者が居ないとご存知なのですね。」

ミリア»「あ、はい、ゴメンなさい。」

リューク»「ミリアネール様も婚約者はいらっしゃいませんよね。」

ミリア»「あ、はい…。」

リューク»「婚約なさらないのですか?」

ミリア»「はい。今はまだ…。」

リューク»「私も同じですね、理由は違うのでしょうが。」


その理由が知りたい、でも聞いてアタリだったら私は立っていられないかも知れない。


ミリア»「理由を…聞いても?」


バカ


リューク»「けして自分には届かない人を好きになってしまった感じでしょうか。」


テーブルに手をつき、辛うじて身体を支える。

リリスが呼ばれていないにも関わらず先輩侍女が止めるのを振り切って駆け寄って行った。


リリス»「ミリア様ッ 」

ミリア»「大丈夫、ありがとうリリス。」


一介の侍女がパーティー会場を走って横切る行為は、如何なる場合であっても許されない最大級の失態である。

だがこのパーティーはミリアの為だけに仕組まれた集まりであった為、リリスは難を逃れられたが、普通であればリリスだけでなくアドマイズ家にまで多大な迷惑を掛ける所であった。


リューク»「お加減が優れないのでは?ミリアネール様?」

ミリア»「いえ、大丈夫です、有難うございます。」

リューク»「しかし、お顔の色が…。」

ミリア»「私は今日、リューク様にお会いしたくて参りました、できればリューク様とお友達になりたくて…ですが…お慕いしている方がいらっしゃるのでしたら…。」


泣いてはダメ…ここで泣いてしまったらリューク様のご迷惑になる…侯爵家の令嬢を男爵家の令息が泣かせたように見える…。耐えろ…。


リューク»「私と友達にですか?」

ミリア»「…。」


なにか喋ると泣きそうだ。

リュークが近付いてきた、顔色が悪いのだろう。


ミリア»「大丈夫です、問題ございません。」

リューク»「しかし…。」


これ以上リュークの前で醜態を晒せないと思い、少し休憩すると告げリリスに寄り添われ会場を出た。

暫く気持ちを落ち着かせてから会場へ戻り、リリスの事も含め場を乱した件を皆に謝罪して回った。

パーティー再開時のリリスは、腰にベルトを付けられ先輩侍女2人に両側からガッツリ握られており、哀れな事に〖私はご主人様が好き過ぎてシッポを振って駆け寄ってしまった脳みそがお花畑の嬉ション犬 リリスで御座います、深く反省しております申し訳ございませんでしたワン〗と長々と書かれたプレートを首から下げさせられ、半ベソで先輩侍女の厳重な監視下に置かれて異様な光景を醸し出していた。

涙目で首からプレートを下げて立っているリリスが可愛いとウケて、招待客達は許してくれた上、やたらと食べ物をクチに突っ込まれて構われ、忽ち主役級に人気が出たダメイドさんでした。

先輩侍女と貴族令嬢達のオシオキに耐えてプルプルしているリリスを気にしながら他の招待客と会話をしていたら、リュークと友達になる目的を果たす事が出来ずにパーティーは終わった。

皆で屋敷に戻ってからミリアは部屋へ閉じ篭もり、リリスは侍女軍団に連行されてプレートを首から下げたまま正座で2時間ほどコッテリ絞られる事件になった。

ちなみに侍女長は説教に不参加である。
リリスの行いは侍女として解雇級の大失態だが、ミリアのパーティーでの聞いた限りの状態と塞ぎ込んでいる現状を見て、リリスは主人の体調不良と判断して即座に身体を支えに駆け寄ったので専属の侍女として合格であり、パーティーで主人が倒れても侍女は失格の烙印は免れないと主張し、リリスの頭を撫で[良く出来ました]と言葉をかけて去っていった。









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