7 / 21
7 パーティー②
しおりを挟むパーティーでキョロキョロするのは恥ずかしい行為なのだが、リュークを探す為には仕方ないのだ。
さりげなく辺りを見回しリュークを発見。
近付いて話しかけたいのだが足が言う事を聞かない。
これといった用も無いのにリリスを見そうになったが思い留まった。
動けずに時間だけが過ぎていき、それを誤魔化すのに近くのテーブルにあったスイーツを食べた。
暫くそんな事をしていると、さっきの令嬢コンビが近付いてきた。
ミレリア»「ミリアネール様、こちらのケーキは美味しいのですか?」
ミリア»「あ、はい、美味しいと思います。」
セアリーナ»「あら、美味しいですわね、あちらのクッキーも美味しいですのよ?」
とか言われて連れて行かれた所にリュークが居るのはワザとだろ。
などと思いながら2人に連行されてリュークの近くに来ている。
セアリーナ»「こちらのクッキーも美味しゅう御座いますよ?」
ミリア»「では。」
進められて食べたクッキーは美味しかったが、リュークが近くに居るのでドキドキ状態である。
ミレリア»「リューク様はお1人ですの?」
(o゚3゚)・;'.、ブッ
セアリーナ»「あら大丈夫ですの?」
ミリア»「すいません失礼しました。」
セアリーナ»「ミリアネール様とリューク様は確か同い年でしたわよね?」
リューク»「はい。同じ13歳です。」
リュークがミリアを覚えているとは思わなくて驚いていると。
リューク»「3年ぶりでしょうか、お久しぶりですミリアネール様。」
ミリア»「お久しぶりですリューク様、私を覚えておいでだったのですか?」
リューク»「覚えておりますよ、3年前は可愛かったですが、今はとてもお綺麗になられましたね。」
社交辞令だと分かっていても気絶しそうなぐらい嬉し恥ずかしい。
などと思いながら横を向いたら令嬢コンビがテーブルの反対側に居て2人で話しているではないか!?
(○ࠏ○)え!?
ヤバいテンパってきた。
なにか話さないと…。
リューク»「私はパーティーに慣れておりませんので失礼が御座いましたら申し訳ございません。」
ミリア»「え?いえ、私も慣れておらず失礼な事が御座いましたら申し訳ございません。」
焦ったらダメ焦ったらダメ。
ミリア»「リューク様が私を覚えていて下さった事は嬉しく思います、10歳のパーティーでお会いした1度きりでしたので。」
リューク»「あのパーティーで私は貴女に助けて頂きましたから。」
ミリア»「え?私なにかしました?」
リューク»「私は下級の男爵家の者ですので、中級貴族のご子息や上級貴族のご子息に逆らう事は出来ないのです、あのパーティーで私は下級貴族の子と罵られていた所を、ミリアネール様に睨まれて私を罵っていた方々は逃げて行ったのですよ。」
(〇⌓〇)…え…?
ミリア»「ゴメンなさい、その事は覚えておりません…。」
リューク»「いえ、私が覚えておりますのでお気になさらず。」
ミリア»「私そんな事したんですね…。」
リューク»「あれ以来、私を罵る方は今まで現れませんでした、ずっと貴女に守って頂いていたのですよ。」
ミリア»「まさか…その事があって婚約者がいらっしゃらないとか…?」
リューク»「まったく無関係では無いですが、私に婚約者が居ないとご存知なのですね。」
ミリア»「あ、はい、ゴメンなさい。」
リューク»「ミリアネール様も婚約者はいらっしゃいませんよね。」
ミリア»「あ、はい…。」
リューク»「婚約なさらないのですか?」
ミリア»「はい。今はまだ…。」
リューク»「私も同じですね、理由は違うのでしょうが。」
その理由が知りたい、でも聞いてアタリだったら私は立っていられないかも知れない。
ミリア»「理由を…聞いても?」
バカ
リューク»「けして自分には届かない人を好きになってしまった感じでしょうか。」
テーブルに手をつき、辛うじて身体を支える。
リリスが呼ばれていないにも関わらず先輩侍女が止めるのを振り切って駆け寄って行った。
リリス»「ミリア様ッ 」
ミリア»「大丈夫、ありがとうリリス。」
一介の侍女がパーティー会場を走って横切る行為は、如何なる場合であっても許されない最大級の失態である。
だがこのパーティーはミリアの為だけに仕組まれた集まりであった為、リリスは難を逃れられたが、普通であればリリスだけでなくアドマイズ家にまで多大な迷惑を掛ける所であった。
リューク»「お加減が優れないのでは?ミリアネール様?」
ミリア»「いえ、大丈夫です、有難うございます。」
リューク»「しかし、お顔の色が…。」
ミリア»「私は今日、リューク様にお会いしたくて参りました、できればリューク様とお友達になりたくて…ですが…お慕いしている方がいらっしゃるのでしたら…。」
泣いてはダメ…ここで泣いてしまったらリューク様のご迷惑になる…侯爵家の令嬢を男爵家の令息が泣かせたように見える…。耐えろ…。
リューク»「私と友達にですか?」
ミリア»「…。」
なにか喋ると泣きそうだ。
リュークが近付いてきた、顔色が悪いのだろう。
ミリア»「大丈夫です、問題ございません。」
リューク»「しかし…。」
これ以上リュークの前で醜態を晒せないと思い、少し休憩すると告げリリスに寄り添われ会場を出た。
暫く気持ちを落ち着かせてから会場へ戻り、リリスの事も含め場を乱した件を皆に謝罪して回った。
パーティー再開時のリリスは、腰にベルトを付けられ先輩侍女2人に両側からガッツリ握られており、哀れな事に〖私はご主人様が好き過ぎてシッポを振って駆け寄ってしまった脳みそがお花畑の嬉ション犬 リリスで御座います、深く反省しております申し訳ございませんでしたワン〗と長々と書かれたプレートを首から下げさせられ、半ベソで先輩侍女の厳重な監視下に置かれて異様な光景を醸し出していた。
涙目で首からプレートを下げて立っているリリスが可愛いとウケて、招待客達は許してくれた上、やたらと食べ物をクチに突っ込まれて構われ、忽ち主役級に人気が出たダメイドさんでした。
先輩侍女と貴族令嬢達のオシオキに耐えてプルプルしているリリスを気にしながら他の招待客と会話をしていたら、リュークと友達になる目的を果たす事が出来ずにパーティーは終わった。
皆で屋敷に戻ってからミリアは部屋へ閉じ篭もり、リリスは侍女軍団に連行されてプレートを首から下げたまま正座で2時間ほどコッテリ絞られる事件になった。
ちなみに侍女長は説教に不参加である。
リリスの行いは侍女として解雇級の大失態だが、ミリアのパーティーでの聞いた限りの状態と塞ぎ込んでいる現状を見て、リリスは主人の体調不良と判断して即座に身体を支えに駆け寄ったので専属の侍女として合格であり、パーティーで主人が倒れても侍女は失格の烙印は免れないと主張し、リリスの頭を撫で[良く出来ました]と言葉をかけて去っていった。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
【完結】二十五の誓い ― 傷物令嬢の私と銀の騎士 ―
朝日みらい
恋愛
侯爵令嬢リリアナと、執事の息子アレン。
身分違いながら、無邪気に未来を語るふたり。
丘で摘んだ25本の白薔薇を並べ、指切りを交わす。
「25歳になったら、迎えに行く。君を僕の花嫁にする。」
「わたし、そのときまでここで待ってる。薔薇を25本咲かせてね。」
それは、幼い二人の25の誓い、その最初の試練が静かに始まろうとしていたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる