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6 パーティー
しおりを挟むいよいよパーティー当日がやって参りました。
リリス»「ミリア様、そんなオドオドしないで下さい。」
ミリア»「ゴメンなさい、落ち着かなくて…。」
リリス»「まだ控え室ですよ?」
侍女»「ミリアネール様、私達も控えておりますので安心してパーティーを楽しんで下さいませ。」
ミリアとリリスを心配して侍女2人が付いてきてくれた。
ミリア»「有難うございます、よろしくお願いします。」
侍女»「はい。前に出るのはリリスですが、私達も後ろに待機しておりますので心配は御座いません。」
ミリア»「はい…。」
侍女のメインはリリスで、後の2人はサポート役で来ている。
リリス»「そろそろ参りましょう、入室順に名前を読み上げるのでミリア様は最後あたりですので間違わないで下さいね。」
ミリア»「あぃ…。」
会場への入室は序列の低い男爵家から呼ばれ、侯爵家のミリアは最後の入室となった。
入室前にキョロキョロするのはマナーが足りていないと陰口を叩かれるので、皆は会場の扉の方を向いており、ミリアを見る事は無かったのだが、最後に自分の番が回ってきて入室した途端に超激レア侯爵令嬢の登場で皆が注目してしまった。
怯んで後退りしたミリアの背中をリリスが押さえ、皆には見えないように背中をポンポンと軽く叩いた。
実の所、リリスも皆の視線を浴びてビビった所ではなく超バビったのだが、主を第一に行動しなさいと先輩侍女達に教え込まれていたので、なんとかミリアを支える事が出来たのである。
だがそれもココまでで、侍女は入室後に指定された壁際へ素早く移動し、主人がアイコンタクトで呼ぶまで待機していなければならない。
ずっと傍に居る事は出来ないのだ。
リリスの両側には先輩侍女が控えており、こっちは問題ないのだが…。
今ミリアは他の令息令嬢より挨拶のコンボを受けている。
この会場で最も家格が高いのはミリアなので皆が挨拶に押し寄せているのだ。
リリスは駆け寄りたい気持ちを堪えて立っている事しか出来ない。
無意識に両手が動いてしまい、両側の先輩侍女に同時に腕をペシッと叩かれた。
リリス»「申し訳ございません。」
侍女»「気持ちは分かりますが主人が呼ぶまで動いてはなりません、そして私語は慎みなさい。」
リリス»「はい。」
一方ミリアは、パーティーに慣れていなくて緊張している所へ、立て続けの挨拶で既に限界に近かった。
そんな状態のミリアの後ろに2人の令嬢が回り込んで耳元で言葉を掛けた。
貴族令嬢①»「もう少しで挨拶の列は終わります。」
貴族令嬢②»「恒例の事なので避けられません耐えて下さい。」
2人の貴族令嬢はさり気なくミリアの身体を支えるように立った。
ミリア»「有難うございます。」
貴族令嬢①»「お初にお目に掛かりますミリアネール様、わたくしゼンライヤ伯爵家の次女ミレリアと申します、よろしくお願い致します。」
貴族令嬢②»「わたくしもお初にお目に掛かりますミリアネール様、セーリンガル伯爵家の長女、セアリーナと申します、よろしくお願い致します。」
ミリア»「お初にお目に掛かります、アドマイズ侯爵家の次女ミリアネールと申します、よろしくお願い致します。」
セアリーナ»「ご挨拶の列は終わりましたわ、パーティーは慣れていないとお見受け致しますが、ご気分のほどは?」
ミリア»「お気使い感謝いたします、セアリーナ様の仰る通りパーティーに不慣れでして、お恥ずかしい所をお見せしてしまいました。」
ミレリア»「ご挨拶の前に話しかけてしまい申し訳ございません、出過ぎた事では御座いますが、侍女の方もハラハラしていた様子でしたので。」
ミリアがリリスを見たので呼ばれたと思い動いた所を先輩侍女に服を捕まれて止められている。
ミレリア»「可愛い侍女さんですわね、私もあの様に懐いてくれる侍女を探そうかしら?」
セアリーナ»「そろそろ落ち着かれたご様子ですので私達は退散致しますわ、それでは。」
2人が離れて行ってしまった。
確か両伯爵家の令嬢は姉の友人だった気がする、ゼンライヤ伯爵家とセーリンガル伯爵家、我が家が伯爵家だった頃より姉と仲が良かった2人ではないだろうか?
この場に居なくても姉の手は自在に届くのかと思い眉間にシワが寄ってしまった。
しかし今は姉の事より限られた時間で少しでもリュークと話しがしたい。
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