42 / 94
42話
しおりを挟む
「みんなご苦労さん」
自宅でぐっすりと寝た後に祖母の家に帰ると、朝の準備をしていた3人が居る
「おはようございます」
「朝ごはんはもう食べた?」
まだ朝飯を済ましてない俺は便乗しようと声を掛けた
「はい、もう食べ終わって片付けも済んでいます」
日本語的質問の意図には気付かなかったようだ、まぁいいや、ファステルの食堂で食べるとしよう、あっちってとにかくまずいんだよな、味の薄さにどうにも慣れない
「じゃあそろそろ行くか」
3人と連なってドアを開ける、そう言えば一番最初に見つけたのが"補聴器" "メガネ" "指輪"の3点で、他に古い服があったけどあまり趣味じゃないから放置してしてたんだよな
どう見ても年代物だし、汚いし、一応向こうに持って行くか、お店に着くと3人は開店準備をしていた、
朝一はとにかく戦場のようで、それを捌くためにいそいそと肌着を陳列していった、今日が最終日だが100枚先着順だ
明日からはしばらく売らない、少しなら在庫はあるのだが、いつでも在庫があると購入意識は減退する
またしばらくしてから登場させると、ある時に買わなければと言う心理が発生するというものだ
忙しくしているところ声を掛けて邪魔してもなんだし、朝飯の為に食堂へ向かう
「ちょっと市場調査に行ってくる」
気を使わせないために朝飯を食べに行くとは言い辛かった、
(何食べようか、朝だから軽い物がいいな)
そう探してると軒先で麺をすすっている人達がいる、まさかラーメン?これは味見するしかないね、お店に入って注文する、出てきたのは脂が浮いてるスープと白い麺、多少は期待した。
箸はないのでフォークで麺を啜る。
(うん、まずい)
まず味がない、そして麺に腰がなく、形状でこそ麺だが、フォークを入れるとすぐに切れてしまう、何のために麺状にしてるのか全く意味がわからない
「お兄ちゃん久しぶりー」
声を掛けてきたのはリリム、最近町中を歩いていても見かけることはなかった
「最近見なかったけどどうしたんだ?体調でも崩したのか?」
「最近お母さんの体調が悪くて看病してたんだよ」
「そうか大変だな、お母さんのお見舞いに俺も行こうか?リリムには世話になったからな」
「ううん、いいよ、来てくれてもお母さん余り動けないんだ、足もむくんじゃって歩くの大変だし」
聞く症状で気になる病気がある、リリムのお母さんの病気って"脚気"じゃない?ビタミン不足でなる病気だ
「普段お母さんってどんな物食べているんだ?」
「別に普通だよ、パンとスープとかだけど、残すこと多い」
「果物って食べているか?生野菜とか」
「果物の値段っていくらか知ってる?そんなの年に1度ぐらいしか食べられないよ、生野菜は虫がいるから火を通さないと病気になっちゃうよ」
脚気の可能性が増した、俺は医者でもないからそんな詳しくはないが子どもの頃生野菜の苦味と果物の食べ辛さが嫌いでよく出された物を拒否してると母親から
「あんたそんな好き嫌いしてると脚気になっちゃうよ」
とよく言われたものだ、実際に本当になる子は居ないが、この世界なら栄養不足なんで珍しくはないだろう
「リリムちょっと今から俺の店に来い、渡したい物がある」
「え?何?飴玉ならいらないけど、チョコなら嬉しいな」
甘い物好きな女子のくせに何故飴だけは拒否するのだろう、おそらくうちの祖母が子供扱いしてる時に渡してきた物だから 飴玉=子供と図式が成り立っているのかも
「まあとにかく来い」
半ば強引にこんびにに連れて行く、麺は食べてる途中だったがまずさのあまり興味をなくした、これで銅貨3枚なんてほんと詐欺だ
お店の中でリリムを待たすと祖母の家に戻り、冷蔵庫にあったぶどう、りんご、バナナを持って戻る、それを渡すと
「これから毎日お母さんに食べさせろ、それでお母さんの身体が良くなるかも知れない、これで良くならなかったら俺には治す術はないがやれるだけやらせてくれ」
「こんなにもらえないよ」
「じゃあ花と交換だ、これから毎日果物を渡す、代わりにリリムはお店に飾る花を持ってきてくれ、いいな?」
「う うん」
「お母さんに早く食べさせてやれ、いきなりたくさんはだめだぞ、毎日少しずつ食べさせるんだぞ」
「わかった、ありがとう」
お礼を言うと帰って行った、俺の考えが当たってくれたらいいが、もっと早く症状を聞いておけば良かった、聞いてもなにも協力できないと思い込んでいた
(あっリリムに頼めば良かったけどすっかり忘れてた)
実は頼みごとがあったが脚気のことを考えていて、うっかりとしていた、テレサ達に頼んでもいいんだけど、まだまだお店の混雑は続く、一体いつになったら落ち着くのか
今では手伝いをしても邪魔なので、カウンターの椅子の隅に腰掛けて待つことにしたのだった。
自宅でぐっすりと寝た後に祖母の家に帰ると、朝の準備をしていた3人が居る
「おはようございます」
「朝ごはんはもう食べた?」
まだ朝飯を済ましてない俺は便乗しようと声を掛けた
「はい、もう食べ終わって片付けも済んでいます」
日本語的質問の意図には気付かなかったようだ、まぁいいや、ファステルの食堂で食べるとしよう、あっちってとにかくまずいんだよな、味の薄さにどうにも慣れない
「じゃあそろそろ行くか」
3人と連なってドアを開ける、そう言えば一番最初に見つけたのが"補聴器" "メガネ" "指輪"の3点で、他に古い服があったけどあまり趣味じゃないから放置してしてたんだよな
どう見ても年代物だし、汚いし、一応向こうに持って行くか、お店に着くと3人は開店準備をしていた、
朝一はとにかく戦場のようで、それを捌くためにいそいそと肌着を陳列していった、今日が最終日だが100枚先着順だ
明日からはしばらく売らない、少しなら在庫はあるのだが、いつでも在庫があると購入意識は減退する
またしばらくしてから登場させると、ある時に買わなければと言う心理が発生するというものだ
忙しくしているところ声を掛けて邪魔してもなんだし、朝飯の為に食堂へ向かう
「ちょっと市場調査に行ってくる」
気を使わせないために朝飯を食べに行くとは言い辛かった、
(何食べようか、朝だから軽い物がいいな)
そう探してると軒先で麺をすすっている人達がいる、まさかラーメン?これは味見するしかないね、お店に入って注文する、出てきたのは脂が浮いてるスープと白い麺、多少は期待した。
箸はないのでフォークで麺を啜る。
(うん、まずい)
まず味がない、そして麺に腰がなく、形状でこそ麺だが、フォークを入れるとすぐに切れてしまう、何のために麺状にしてるのか全く意味がわからない
「お兄ちゃん久しぶりー」
声を掛けてきたのはリリム、最近町中を歩いていても見かけることはなかった
「最近見なかったけどどうしたんだ?体調でも崩したのか?」
「最近お母さんの体調が悪くて看病してたんだよ」
「そうか大変だな、お母さんのお見舞いに俺も行こうか?リリムには世話になったからな」
「ううん、いいよ、来てくれてもお母さん余り動けないんだ、足もむくんじゃって歩くの大変だし」
聞く症状で気になる病気がある、リリムのお母さんの病気って"脚気"じゃない?ビタミン不足でなる病気だ
「普段お母さんってどんな物食べているんだ?」
「別に普通だよ、パンとスープとかだけど、残すこと多い」
「果物って食べているか?生野菜とか」
「果物の値段っていくらか知ってる?そんなの年に1度ぐらいしか食べられないよ、生野菜は虫がいるから火を通さないと病気になっちゃうよ」
脚気の可能性が増した、俺は医者でもないからそんな詳しくはないが子どもの頃生野菜の苦味と果物の食べ辛さが嫌いでよく出された物を拒否してると母親から
「あんたそんな好き嫌いしてると脚気になっちゃうよ」
とよく言われたものだ、実際に本当になる子は居ないが、この世界なら栄養不足なんで珍しくはないだろう
「リリムちょっと今から俺の店に来い、渡したい物がある」
「え?何?飴玉ならいらないけど、チョコなら嬉しいな」
甘い物好きな女子のくせに何故飴だけは拒否するのだろう、おそらくうちの祖母が子供扱いしてる時に渡してきた物だから 飴玉=子供と図式が成り立っているのかも
「まあとにかく来い」
半ば強引にこんびにに連れて行く、麺は食べてる途中だったがまずさのあまり興味をなくした、これで銅貨3枚なんてほんと詐欺だ
お店の中でリリムを待たすと祖母の家に戻り、冷蔵庫にあったぶどう、りんご、バナナを持って戻る、それを渡すと
「これから毎日お母さんに食べさせろ、それでお母さんの身体が良くなるかも知れない、これで良くならなかったら俺には治す術はないがやれるだけやらせてくれ」
「こんなにもらえないよ」
「じゃあ花と交換だ、これから毎日果物を渡す、代わりにリリムはお店に飾る花を持ってきてくれ、いいな?」
「う うん」
「お母さんに早く食べさせてやれ、いきなりたくさんはだめだぞ、毎日少しずつ食べさせるんだぞ」
「わかった、ありがとう」
お礼を言うと帰って行った、俺の考えが当たってくれたらいいが、もっと早く症状を聞いておけば良かった、聞いてもなにも協力できないと思い込んでいた
(あっリリムに頼めば良かったけどすっかり忘れてた)
実は頼みごとがあったが脚気のことを考えていて、うっかりとしていた、テレサ達に頼んでもいいんだけど、まだまだお店の混雑は続く、一体いつになったら落ち着くのか
今では手伝いをしても邪魔なので、カウンターの椅子の隅に腰掛けて待つことにしたのだった。
110
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件
☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。
もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。
俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる