―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》

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チャプター18:「Activate 〝Ravenholm〟」

18-2:「腐敗と粛清」

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また人によっては不快となるかもしれない描写があります。ご注意ください。


――――――――――


「じゃあ、この件はよろしくね」
「は、はい……!」

 建物上階にある一室。
 中では、置かれたベッドに並んで腰かけ、何らかの会話を交わす二人の女の姿があった。
 片方の端正ながらも妖艶な雰囲気を発する女は、艶やかな笑みを浮かべて。もう片方のあか抜けていない雰囲気の女は頬を赤く染めて、互いに顔を寄せ合っている。その様子は、まるで内緒の恋の話でもしていたかのようにだ。
 しかし、

「ふふふ、それにしても……」

 端正な顔立ちの女は、自身の足元に視線を降ろす。
 そこに見える光景が、この場で行われているのが、恋話などという微笑ましい物では無い事を示していた。

「あぅ……あひぃ……」

 女達の足元にあったのは、へたり込み、床に突っ伏した一人の少年の姿だった。そしてあろうことか、女達と違って少年は全裸姿であった。

「やっぱり私の見立ては正解だった。この子、犬としての素質があったね」
「ふわ……ネル君、こんなにトロトロに……」

 端正な顔立ちの女の妖艶な笑みは、少年に向けられた嘲笑。あか抜けない女の紅潮した顔も、少年の痴態を前にしての物だった。
 補足すれば、端正な顔の女は商議会の企みに加担し出資する有力者。あか抜けない顔の女は、商議会の役人であった。
 この一室では女二人による、商議会の企みに関わるとある密談が交わされていたのだが、二人の女はその片手間に、小間使いである少年を慰みものとして甚振っていたのだ。

「あひぃぃ……」

 少年は恍惚の表情で喘ぎ声を漏らす。
 それを見ながら女は再度笑みの声を零し、役人の女もこれからの淫靡な調教劇に、背徳感と期待を覚え、ごくりと唾を飲む。

「ふふ……」

 そして少年をさらに甚振るべく、端正な顔の女の脚先が、少年へと伸ばされる……


 ――盛大な破壊音が割って入ったのは、その瞬間であった。


 部屋の窓を荒々しく破り、淫靡な空気を清々しいまでに吹き飛ばし、迷彩服に身を包んだ侵入者が突貫して来たのだ。
 ヴォーだ。
 窓を破って越え、握っていたファストロープを放した彼の体は、衰えぬ勢いのまま部屋内の中空を突き進む。その彼の脚が付く先――

「ギョッ!?」
「ギェブッ!?」

 その答えは、二人の女の横面であった。
 右足と左足、それぞれが履いた戦闘靴の踵が女達の顔にそれぞれ直撃する。そして二人の女は白目を剥きながら、仲良くベッド上から同一方向に吹きとばされ、壁に激突、あるいは床に叩き付けられた。
 二人の女を蹴とばした反動で突入の勢いを殺したヴォーの体は、中空から床へと着地する。

「ぎゃッ!?」

 その際、丁度真下でへたり込んでいた少年の体を踏みつける事となった。

「―――」

 内部に居た動く存在を一通り無力化した事を確認したヴォーは、そこで室内を見渡す。

「―――フン」

 しばらくの観察行動の後に、この場であまり気分の良くない行為が行われていたという事に察しを付けて、ヴォーはそして不快そうに息を吐いた。
 ――そんなヴォーの背後に立つ人影があった。
 その両腕は振り上げられ、そこには花瓶が握られている。そしてその花瓶は次の瞬間、ヴォー目がけて振り下ろされた。
 襲撃者は、あか抜けない顔の女だ。
 およそ先程までの彼女からは想像できない行動だったが、敬愛に近い感情を抱いていた端麗な顔の女を護らねばという、献身の心と防衛本能が、彼女を駆り立てたらしい。

「あッ!?」

 しかし彼女の決死の行動は空しくも蛮勇に終わった。
 ヴォーは僅差で身を翻して女の攻撃を回避。女の体はヴォーの脇を通り抜け、そしてその体勢を大きく崩す。

「ぎゃッ!」

 そしてヴォーに背中を晒したあか抜けない顔の女は、ヴォーの構えた9mm機関けん銃の餌食となった。後頭部と背中に数発の9mm弾を食らった女は、悲鳴と共に床に崩れ落ちた。

「な――メリナくん!?」

 それを目撃した端正な顔の女が声を上げる。

「貴様ァ!」

 そして彼女はその手に鞭を繰り出すと、声を荒げてヴォー目がけて飛び掛かって来た。
その動きは、あか抜けていない女よりも機敏であり、瞬く間にヴォーとの間合いに踏み込んで来た端正な顔の女は、その手に握った鞭を思いっきり振るった。

「な――!?」

 だが、ヴォーはそれをくるりと身を翻して回避。
 そしてその瞬間に、目についた暖炉の火かき棒を掴み取る。身を翻した勢いを利用して、手に取った火かき棒を思い切り振るった。

「ぎゅェッ!?」

 火かき棒の切っ先は、端麗な女の後頭部に見事命中。脳天に致命傷を受けた女は、短い悲鳴と共に目を剥きだし、舌を突き出して、絶命した。
 ヴォーの持つ火かき棒が刺さったままの女の死体は、それが支えとなって宙にぶらりと垂れ下がる。ヴォーはその宙に揺れる女の尻に脚を掛けて、思い切り踏み下ろした。すると火かき棒が女の頭から抜け、死体となった女の体はべちゃりと床に落ちた。

「………」

 一通りの襲撃を凌ぎ切ったヴォーは、最後に未だにへたばっている少年に目を落とす。

「ぁ……へ……ぎゃッ!?」

 そしてヴォーは火かき棒を、へたばっている少年の後頭部に叩き下ろした。
 この場に居る人間たちが皆、囚われの身などではなく、己の意思でこの醜態に身を落としている者達であるということは、ヴォーには見ただけで理解できた。

「無様だな」

 少年に向けて吐き捨て、できあがった三人分の死体を冷たい目で一瞥するヴォー。そしてヴォーは9mm機関けん銃を構え直して、任務を全うすべく行動に移った。



 建物二階にある一室。
 その室内のベッドの上に、一糸まとわぬ姿の一人の太った中年の男と二人の娘があった。

「ふほほ、いい具合であったぞ」

 太った中年の男は満足げな表情でそんな言葉を発している。

「はぁ……はぁ……」
「ぁ……はぁ……」

 二人の娘はベッドに横たわり、顔を紅潮させ、艶の含まれた荒い呼吸を上げている。
 中年男と二人の娘は、今の今まで情事に及んでいた所であった。そしてそれは当然、健全な関係の上でのそれではなかった。

「小娘風情が儂を陥れ、失脚させようなどと企むからだ。これで身のほどを知ったであろう」

 二人の娘は、汚職に手を染めていた中年男の行いを明るみにし、中年男を追放させるために動いていた、密偵と協力者であった。二人は中年男の行いを明るみに出し、追放する事に成功した。しかし中年男は一度は投獄されたが、手管人脈を利用し釈放され、商会に復帰。そして自らを陥れた二人の娘を、逆に陥れて捕らえ、こうして手籠めにしたのだった。

「ふふふ、考えていたらまたいきり勃って来おったわ。どれ、もう一度可愛がってやるとするかのう」

 言うと、中年男は舌なめずりをして、娘二人に覆いかぶさろうとする。
 ――部屋の扉が蹴破られたのは、その瞬間だった。

「動くなァーッ!!」

 そして怒声と共に、波原と新好地がそれぞれの武器を構えて踏み込んで来た。

「な、なんだ貴様ら――一体……」
「やかましいァッ!」
「ぎぇげッ!?」

 波原は狼狽える中年男に詰め寄り、言葉と共に両腕を奮った。商会の中年男の横面に、9mm機関けん銃の後部が叩き付けられる。肉と鉄のぶつかり合う鈍い嫌な音が響き、中年男は近くの壁に叩き付けられて崩れ落ちた。後続で踏み込んで来た新好地が、ベッドに寝かされている二人の人間を目に留め、ショットガンを向ける。

「……はぁ」

 その姿、状態から状況を察した新好地は、ため息を零した。

「貴様ら、なんなんだ……!こんな事をして……――ごぶッ!?」

 床に崩れ落ちた中年男は喚き立てたが、それは途中で悲鳴に代わる。波原が中年男を黙らさるために、中年男の腹部に戦闘靴のつま先を叩き込んだのだ。

「波原三曹……〝また〟こんなんです」

 嫌気の差した表情、波原に向けて発する新好地。
 レンジャー班は降下後、建物の各部屋をクリアリング、制圧して来たが、その過程でこの建物がどういった目的で使われているのかが見えて来た。
 この建物は娼館、それも不当に拘束した人間に客を取らせる非合法な娼館として使われており、その他にも後ろ暗い数多の行いの温床となっているようだった。

「やれやれだな……。とにかく、ここも保護は後回しだな。まずこの男だけ拘束して――」

 波原は不快そうな表情で、中年男を一瞥しつつ言葉を発しかける。

「新好地、後ろッ!」

 しかしその途中で言葉を切り、波原は目を見開いて新好地の名を叫んだ。その言葉に、新好地は一度目を離していたベッド側へ再び振り向く。

「よくもご主人様を!」
「ご主人様にあだ成す者には死を!」

 そして新好地の目に映ったのは、その手に短剣を握り、襲い掛かって来る二人の女の姿だった。

「ヅッ!」

 新好地は咄嗟にショットガンを盾代わりに翳し、振り下ろされた娘の短剣を受け止めた。しかし間髪入れずに、もう一人の娘が襲い掛かる。新好地は先に襲い掛かって来た娘を押しのけ、もう一人の娘の攻撃を受け止める。

「ッ、やめろッ!」

 叫ぶ新好地は、しかし二人の娘に対して発砲を躊躇い、防戦一方となる。

「グフ……ふふふ……。そやつらは既に儂の従順な飼い犬よ……!」

 その様子を見ていた中年男は、苦し気ながらも笑みを浮かべてそんな言葉を発する。

「新好地ッ!」

 波原は9mm機関けん銃を構えて娘二人を狙おうとするが、新好地と娘二人の距離が近すぎ、安易に発砲できないでいる。

「くく……何者か知らんが小娘には攻撃できんと見える。そのまま小娘共の刃の餌食となるがよいわ!」

 光景に高笑いを上げる中年男。
 だがその声をかき消すように、発砲音が部屋内に響き渡ったのはその瞬間だった。

「ごッ!?」
「げぇッ!?」

 連続した射撃音が二回。
 同時に娘口から、鈍い悲鳴が上がる。
 そして娘二人が背後から打撃受けたように体をのけ反らせ、そして二人ともほぼ同時に崩れ落ちた。二人の後頭部から背中にかけて、撃たれた跡が生々しく線を描いている。

「なッ!?」

 そして先の笑いから一転、中年男の驚く声が上がる。
 いや、突然二人の女が倒れた事に驚いていたのは、中年男だけではなく、新好地や波原も同じであった。
 そして全員の視線が一斉に同一方向を向く。
 外側から蹴破られたと思しき部屋の窓。その窓枠上部に片手で懸垂の要領で掴まり、もう片手で硝煙の上がる9mm機関けん銃を構えているヴォーの姿がそこにあった。
 ヴォーは窓枠から手を放し、するりと部屋内に入り込んで床に着地。女二人の死亡を確認すると、新好地の方を見る。

「新好地。ためらうな」

 そして新好地に向けて端的にそれだけ言うと、新好地の脇を抜けて波原の前に立つ。

「おまえ、どっから現れんだよ……!」

 波原は驚きと呆れの混じった声でヴォーに向けて発する。

「二階の南側は全部抑えた」

 対するヴォーは質問には答えず、端的に自分が制圧を終えた個所についてだけを伝えた。

「糞……」

 そんな二人の傍らで、新好地は二人の娘の亡骸を見下ろしながら、悪態を吐く。

「新好地……嫌な気分に浸るのは後だ。コイツだけ拘束したら、次の部屋を抑えに行くぞ」
「………レンジャッ」

 波原に説かれ、新好地は苦々しい表情で返答する。

「俺は北側を抑えに行く」

 一方、ヴォーは淡々とそういうと身を翻し、再び窓から外へと出て行った。

「……ったく」

 波原はそれを見送りながら呟き、そして同時に足元で這いずり逃げようとしていた中年男の体を蹴り上げる。入った戦闘靴のつま先は丁度中年男の金的を潰し、中年男の「ひぎッ」という青ざめた悲鳴が足元から上がった。



 建物一階北側の各部屋をクリアリングしてきたウラジアと超保の二人は、廊下の突き当りにある最後の扉へとたどり着いていた。

「ここが最後だが、何かありそうだな」

 残った最後の扉には、物々しく錠がかけられ、中になにかあるであろう事を示していた。

「超保」
「了」

 超保が小銃のストックの底で鍵を叩いて壊す。そしてウラジアが扉を蹴破り、内部へと踏み込んだ。

「ッ……ここは……」

 踏み込んだ部屋の内部は、光取りの小窓が一つあるだけの薄暗い倉庫のような内装だ。しかしそこにいた多数の人影が、ただの倉庫では無い事を示していた。

「キャァッ……!」
「な、なんだ……!?」

 飛び込んで来た十人近いの男女の姿。
 皆、着の身着のままといった風体で服装に統一感はない。しかし皆一様に金属製の手かせで拘束されていた。

「成程、ここが商品諸々を閉じ込めておく場所という事か……。超保、峨奈三曹に伝えてくれ」
「了解。――1-3より1ヘッド、こちらで複数の拘留者を発見――」

 超保はこの件を報告すべく、インカムに向けて声を発し始める。

「皆さん、大丈夫です――」

 そしてウラアジは警戒を維持しつつも、こういった状況でのお決まりの台詞を発した。



 突入したレンジャー班と第1分隊によって、建物の制圧はほぼほぼ完了した。

「な、なんだ貴様らは……!」
「誰の、どこの手の者だ……!?」

 建物一階の廊下には、拘束された者達が跪かされて並べられていた。拘束された皆、狼狽し、喚き立てている。

「こんな事をしてただで済むと……ぎゃぅっ!?」
「あー、うっせぇ。動くな」

 それを監視していた波原が、不快そうに発しながら、その内の一人に蹴りを入れている。

「昨日から、こんなのばかりだな」

 その光景を、廊下を歩く峨奈が横目で見ながら呟く。
 その時、峨奈の傍にあった、廊下に面する扉の一つが、音を立てて勢いよく開かれた。

「うぉッ。――ヴォーか」

 扉の奥から出て来たのは、ヴォーだ。
 歩み出て来たヴォーのその片腕には、絞められ白目を剥く、二人の女の体があった。
 どちらも舌を突き出し涎をたらし、片方に至っては脳天を割られていた。

「どういう事だ?」
「――腐敗した奴等だ」

 状況が掴めず尋ねた峨奈に、ヴォーは端的に一言それだけ答える。
 しかしヴォーの言葉だけではやはり状況が理解できずに、峨奈はヴォーの出て来た一室の内を覗き込む。
 一室内には、複数名分の男女の死体が散らばり転がっていた。
 それも、女は皆扇情的な格好をし、男はなぜか一様に全裸で首輪を付けられていた。

「あぁ」

 一室内の光景を収め、そこで峨奈は、その場で何が行われていたのかを朧気にであるが察しを付ける。
 そして自分の隣で、ちょうど女達の体を放っぽり捨てた、ヴェトナム人〝風紀委員長〟の姿を見る。

「本当にこんなのばっかりだな」

 それから峨奈はその顔を顰め、げんなりとした様子で言葉を吐いた。

「峨奈三曹」

 そんな所へ、峨奈に声が掛けられる。視線を移せば、廊下を向かってくる策頼の姿があった。

「どうした?」
「見て欲しい物が」

 そう言った策頼の案内を受け、峨奈は一階へと降りる。
 案内されたのは、廊下の端にある、一階からさらに地中へと続く階段だ。
 そしてそこから見下ろした先には、流れる水面が見えた。

「これは、水路に繋がっているのか?」

 階段は地下を通って、建物に隣接する水路へと繋がっているようだった。

「ええ。そして邦人なんですが――」



「ここは非合法の性風俗のような施設のようです。それも、その一部に不当に拘束されている人達を利用した」
「また腐敗のお手本のような場所だな」

 建物の制圧が完了し、その中庭で長沼と峨奈が話している。

「用途の関係上、内外に音が零れないよう、防音効果のある魔法現象が建物全体に掛けられていたようです。それが原因で我々の接近、強襲に気付くのが遅れたようです」
「皮肉な物だな」

 長沼が言った直後、中庭上空を空中からの監視任務移ったCH-47Jが通過し、砂埃が巻き上がる。
 低い高度を跳ぶCH-47Jは、その胴体各部から突き出た各火器の銃身までもが、地上からでもはっきりと視認する事が出来た。
 飛び去るCH-47Jを見送った二人は、会話を再開する。

「建物の全ての階層の制圧は完了しました。ただ、この施設に積極的に関わっていたらしき人間も、多数拘束。保護の対象となる人と混在していて、分別に手間取っています」
「それは仕方がない。少しかかってもいい、確実にやってくれ。――それで、肝心の邦人は?」
「それなんですが……突入の少し前に、隣接する水路を用いて、船でこの町の警備隊本部へと運ばれたそうです」
「ッ、入れ違いになったか……」

 長沼は苦虫を噛み潰したような表情を作る。

「現在、警備兵の生存者から、その警備隊本部の位置を聞き出しています」
「判明したら、そこまで向かわなければならないな――よし。私は一度、指揮所に各件を報告する。峨奈三曹、そちらは保護すべき人達と拘束すべき者の選別、収容を頼むぞ」
「は」

 長沼の指示に、峨奈は端的に答えた。



「とんでもない物が来たな」

 副官のヒュリリと護衛の警備兵を連れて、警備隊本部である古城内の階段を下るポプラノステク。
 彼も先程、上階のバルコニーから、町の上空へと飛来した空飛ぶ奇怪な物体を目撃していた。

「隊長、あれは一体……」
「さぁな。分かるのは、想定していたよりもヤバそうな物がやってきたって事だけだ」

 狼狽した様子のヒュリリに、どこか他人事のような様子で返すポプラノステク。
 ポプラノステクは階段を下りきって廊下を進み、壁に並ぶ扉の一つに開け放たれた物を見止める。

「ヴェイノ」

 誰かの名を呼びながら、開け放たれた扉の内部を覗き込むポプラノステク。
 そこは警備兵等が休息に使う中庭であり、そこには緑色の肌をした巨大な存在が居座っていた。
 オークだ。
 一人のオークが長椅子に腰かけていた。そしてそのいかつい手に持った本を、その太い指先でしかし器用にページをめくりながら、目を落としている。
 ヴェイノと呼ばれた彼は、その禍々しい表情を、反する静かな動作でポプラノステクへと向けた。

「出番か、隊長」
「悪い、そうだ」
「かまわない。昨晩から騒がしかったからな、待っていた所だ」

 オーク独特の声色で、しかし流暢に言うヴェイノ。
 彼は読んでいた本を閉じて立ち上がると、背もたれに掛けていた上着を取って、袖を通し、シャツの上から羽織る。
 それは大きさこそオークの彼専用にあつらえられてたが、色合い装飾は他の警備兵と変わらない。
 すなわち彼もこの町の警備兵である事を示していた。
 服装を整え、ポプラノステク達に合流したヴェイノは、ヒュリリや警備兵達と同様にポプラノステクの後ろに付き、歩き出した彼の後に追従した。



 警備隊本部である古城のおよそ中心部にある広間。そこに多数の警備兵が集まっていた。

「新任の警備兵長のノトラも死亡したって?」
「ああ。息巻いてて危なっかしい娘っ子だったが、まさかな……」

 その中には各警備区域の隊長である者の姿もいくつかあり、会話を交わす者も見受けられる。

「隊長!」

 その時、警備兵の一人が声を上げる。
 広間の奥側にある扉から、ポプラノステク達が現れるのが見えた。
 ポプラノステクの姿を目に留めた各区域隊長や警備兵長達は、彼の元へと駆け寄る。

「町の上空に空飛ぶ怪物が――!」
「南東の門から、妙な者に乗った謎の一団が侵入したと――」

 そしてそれぞれが報告の言葉を順番も守らず、口々に張り上げた。彼らはかなりの混乱状態にあるようだった。

「皆、落ち着け。相手の正体は不明だが、この町は襲撃を受けた。我々はこれ等に対して、これより対応行動を開始する」

 混乱する警備兵達に向けて、冷静な口調で言って聞かせるポプラノステク。
 そして皆を落ち着かせたポプラノステクは、詰め寄る警備兵達の輪から少し外れた所にいる、一人の女を目に留めた。

「北西区域長」
「は」

 呼ばれた女は、整ったその顔を仏頂面で塗り固めたまま、ポプラノステクの前まで来る。
 呼ばれた役職名の通り、彼女は町の北西区域を担当する警備部隊の長であった。

「侵入して来た飛行物体が、君の区域隊の管轄地域で、人を降ろすのを見た。南東の門から侵入して来たという一団も、目的地はそこだろう。侵入して来た一団は、あの近辺に何か目的の物があると見える」
「ええ……そのようですね」
「だが、あの近辺に警備隊施設や重要施設は特になかったはずだ」
「……つい先程連行されてきた、勇者の仲間らしき異邦の娘でしょう。私の区域隊の警備兵が、あの近辺で発見して船により運んで来たと報告を受けています」
「成程……その娘を迎えに来たという所か。今、中央区域隊が相手をしている、昨晩からの侵入者。おそらくそれが、何らかの方法で居場所を伝えたんだろう」
「ええ……」

 ポプラノステクの考察を、北西区域長はどこか居心地悪そうにしながら聞いている。
 広間にある扉の一つが勢いよく開かれ、一人の警備兵が駆けこんで来たのはその時だった。

「あ、姐さん!た、大変です!」

 狼狽しきった様子の警備兵は、北西区域長の元へと駆けて来る。

「や、館の方に、おかしなヤツ等が……!」
「ッ――バカ……!」

 警備兵の言葉を罵倒で遮る北西区域長。そして警備兵は、そこでポプラノステクの存在に気が付き、その顔を青く染めた。

「館?」

 やり取りを耳にし、疑問の声を上げるポプラノステク。

「何の話です?そんな警備隊施設は無いはずです」

 そして傍にいたヒュリリが発する。

「……隊長殿のお耳に入れる程の話ではありません」

 仏頂面でそんな言葉を吐き出す北西区域長。

「それはそうだろうな」

 しかしそこへ、別の男の声が割り込んだ。

「西南西区域長」

 ポプラノステクが男を役職名で呼ぶ。
 町の西南西区域を担当する部隊の長だ。

「隊長に知られてはまずい事を行っているのなら、知られたくなくて当然だ。例えば、拘束している者達を使って客を取っている――とかな」
「な!?……言いがかりを――」

 西南西区域長の言葉に、北西区域長は反論しようとする。

「北西区域長、本当のことを答えろ」

 しかしその前に、ポプラノステクの声が割り言った。そしてその目が北西区域長を真っ直ぐ睨みつける。

「……」
「誤解であるならば、はっきりと弁明しろ。でなければ――」

 さらに言葉を続けようとするポプラノステク。

「……くく――ははは……」

 北西区域長がポプラノステクの言葉を遮り、笑い声を零し始めたのはその時。

「ここまで気付かないなんて、間抜けな男だねぇ」
「な!?」

 そして彼女は態度を一変させ、罵倒の言葉を吐き出す。その言葉に、ポプラノステク当人に代わって、脇に居たヒュリリが驚きの声を上げる。

「事実であると認めるのか」

 ポプラノステク当人は、変わらぬ静かな口調で尋ねる。

「ええ、そうよ。どうせお偉方連中の手に流れて、好き勝手にされる奴らだ。その前に、あたし達も有効利用して何が悪いってだい?アンタみたいな、どっちつかずで中途半端な事しか出来ないヘタレとは違うんだよ」

 悪びれもせず、ポプラノステクに対してあからさまに見下した態度を取り、高慢に話した北西区域長。
 そして次の瞬間、あろうことか北西区域長は抜刀し、ポプラノステクへとその剣先を向けた。

「な!?北西区域長!何を……!」

 副官のヒュリリが声を上げる。

「こういう事さ」

 言いながら、北西区域長は空いた片手で指をパチンと鳴らす。
 それを合図に、彼女の配下の警備兵が一斉に動き出した。
 その場に居た者の半数近くが、ポプラノステク達へと得物を向ける。
 残りの半分は敵意を見せていない者達だが、その多くは本部付き等の非戦闘要員であり、
ポプラノステク達は瞬く間に圧倒的不利に陥った。

「謀反か」

 状況にも関わらず、ヴェイノは落ち着いた声色で静かに発する。

「ッ、北西区域長!こんな事をしてタダで済むとお思いですか!?」

 一方のヒュリリは、ポプラノステクを庇うように前に出て、声を荒げた。

「フン、中央府のお偉方の中にもウチを贔屓にしてる人間が何人もいる。それを踏まえて、どっちのやり方が指示されるかは明白だと思うけどねぇ」

 それに対して北西区域長は嘲笑の含まれた言葉で返す。
 突然の北西区域長とその傘下による謀反行為により、警備隊本部の広間の空気は一気に緊迫した。

「はぁ」

 しかしそこで、ポプラノステクは顔色一つ変えずに、小さなため息を一つ付いた。

「北西区域長。確かに君の言う通り、私は間抜けな男だったようだ」

 そして静かに言う。

「はは!今更気付いたってのかい、どこまでも抜けた男だねぇ」

 対する北西区域長は呆れたように笑い、それに同調して彼女の傘下の警備兵達も嘲笑を零す。

「あんたはもういらない人間なのさ、あんたにできる事なんて何もありはしない」

 言い放った北西区域長は、剣を一度奮ってポプラノステクへ突き付け直す。

「さぁ、大人しく跪きな!慈悲を乞えば――」

 そしてその顔を加虐的な物に変え、降伏を宣告する言葉を吐きかけた。

「――ん?」

 しかしその時、彼女は異変に気が付いた。
 そして足元へ視線を落とす彼女。
 ――見れば、彼女の立つ足元は真っ黒い影に覆われ、そして黒い影は、彼女の足を覆いながら這い上がって来ていた。

「え――な!?」

 先程までの嘲笑から一点、彼女の顔は驚愕に塗り替えられる。
 さらに、黒い影に捕らえられた彼女の足は、動かす事すら叶わなくなっていた。

「うわぁぁ!?」
「いやぁッ!?」

 そして周囲からも叫び声が上がる。
 北西区域長の配下の警備兵達だ。
 彼等の状況も北西区域長と同じであった。皆一様に、黒い影に足元を覆われ、身動きが取れなくなっている。

「な、何よコレッ!?」

 藻掻くも彼女の両足はビクともせず、その間にも影は彼女の身体を侵食。
 腰、胸元へとどんどん這い上がって来る。

「ヴェ、ヴェイノさん……!これは……!?」

 ヒュリリは目の前の光景に戸惑いながら、脇に居たヴェイノに尋ねる。

「これが隊長の、本気さ」

 対してヴェイノは、冷静な様子でヒュリリに一言返す。

「君のような者を、今日この時まで野放しにしていたとは、自分の間抜けさに悲しくなるよ」

 その会話を背後に聞きながら、ポプラノステクは冷酷な眼で北西区域長を見つめて発する。

「ひ……!い、いや――ムグッ!?」

 恐怖に染まる北西区域長の顔。悲鳴を零しかけたその口も、黒い影に覆われてくぐもった声となる。
 そして彼女の全身は真っ黒い影に覆われた。
 そこでポプラノステクは初めて北西区域長に対して動きを見せた。
 今朝がた町長から返された、漆黒の大剣。
 それを腰の鞘から片手でゆっくりと抜き、その切っ先を北西区域長へと向ける。そして手首を軽くクイと動かし、剣先をわずかに跳ね上げた。
 その瞬間、北西区域長を覆っていた黒い影が、波が引くように消え去って行く。
 ――そしてそこに現れたのは、骸骨だった。
 それはまごうことなき北西区域長、彼女自身であった骸骨であった。
 影が引いた事により骸骨は支えを失い、ぐしゃりと崩れ落ちて四散する。

「いやぁぁぁ!?」
「うあぁぁ!?あ、姐さんが……!?

 謀反に参加した警備兵達は、その光景を目の当たりにし、悲鳴を上げ、恐怖で顔を染め上げた。
 そしてポプラノステクと敵対しなかった者達も、数名の区域長や警備兵長を除いて、皆呆気に取られていた。

「彼らを拘束しろ」

 ポプラノステクは、敵対しなかった警備兵達へと命じる。
 その言葉に、数名の警備兵は冷静な様子で直ちに、そして大半はおっかなびっくりと言った様子で、謀反に参加した者達の拘束に取り掛かって行った。

「――西南西区域長、君は北西区域長の行いを把握していたのか?」

 ポプラノステクは剣を鞘に納めながら、自身の脇を守っていた西南西区域長に尋ねる。

「私も噂を微かに聞いてい程度で、確証はありませんでしたが――北西区域長の態度を見て、カマを掛けてみました。まさかこの場で謀反を起こされるとは想定外でしたが。少し迂闊な事をしてしまいました、申し訳ありません」

 西南西区域長はやれやれと言った表情を浮かべながら、謝罪をする。

「かまわん。おかげで戦いの前に、不穏分子を燻り出すことができた」

 ポプラノステクは言った後、西南西区域長に向き直る。

「――西南西区域長。今後は君の隊に、北西区域の担当を兼任してもらいたい」
「は、分かりました」

 西南西区域長に伝えると、ポプラノステクは今度は一人の警備兵長を目に留める。

「ゼディ警備兵長。各区域隊長に守備行動を取るよう伝令を出せ。それと北区域隊と南西区域隊は、別途部隊を編成してその館に向かわせるように。目的は侵入した一団の鎮圧、そして北西区域長の息の掛かった者の拘束だ」
「は!」

 さらにポプラノステクは別の警備兵長に命じる。

「ラーア警備兵長。後方魔導隊に、遠方知覚魔法による上空監視の準備指示を。それと、箒隊も出動させろ」
「承知しました!」

 ポプラノステクの命を受け、警備兵達は各々の役割を果たすべく散会して行く。

「あの、隊長……」

 それを見送るポプラノステクの背中に、掛かる声がある。
 副官のヒュリリだ。彼女は何か言いたそうな顔で、ポプラノステクを見上げている。

「北西区域長が言っていた事なんですが……私たちは……」

 先に北西区域長が言い放ったように、今の警備隊は、中央府のやり方に申し訳程度に従うと言う、微妙な立ち位置に甘んじていた。
 ヒュリリはその事に対して、何か物申したい事があるようだった。

「ヒュリリ、言いたいことは分かる。だが後だ、今は侵入者に対応しなければならない」
「……はい」

 ポプラノステクはヒュリリに言って聞かせると、今度はヴェイノの方を向いて口を開く。

「ヴェイノ、見切りを付けて逃げるなら今の内だぞ」
「何度言わせる気だ、部族を追われてお前に救われた身だ。他に行く場所などない、最後まで付き合う」
「そうか」

 ヴェイノは何を今更と言った風に言葉を返し、ポプラノステクはそれに端的に返す。
 そしてポプラノステク等は、それぞれの行動に取り掛かった。
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